Vo.27
お待たせしました!!
最近、自分の携帯から小説が投稿できないという事態が発生しまして・・・(;_;
大変でした・・・(笑)
「うーん、どっちにしようかな?」
「どっちも一緒にみーえーるーラララー!!」
「山下さん、全然違いますよ!あっちはベビーピンクで、今持ってるのはコーラルです!チークは色と付け方で雰囲気が変わるんですから!...って、聞いてます?」
山下さんは明らかに差し入れで入ったわらび餅に目がいってる。
「やーまーしーたーさーん?」
「...」
「山下さん、娘さんいるんでしょ?!覚えておかないと...」
「...」
わらび餅パワーすごい。山下さんの耳に私の言葉が一切入っていかないんですが...
「それでは、まずすっぴんの撮影行きますよ~!」
はいは~い。
実は私の本が出ることになったんだ!私の化粧の仕方とか、私服とか、行きつけのお店とかを特集するんだって。本のレイアウトとかも出版会社と一緒に決められるんだって!
で、今日はメイクの撮影なんだけどなんとすっぴんも撮られる...はずい。
「美咲さん...すっぴんですか?」
「はい。バリバリです。」
「すごい...肌めっちゃキレイ...」
「いえいえ...そんなことないですよ~。」
だってこの日のためにニキビできないように死ぬ気で頑張ったんだもん。きつかったな~。油っこいものとか食べれないし。いつもはニキビあっても修正してもらえるけどさ~、すっぴん撮影なのに修正だらけじゃ嫌じゃん?まあ、どっちみち修正されるけどね。
カシャカシャ、
「美咲さん、小悪魔顏お願いします!」
小悪魔顏だと?知らん。小悪魔なんてしたことないわ!
どうすれば....
がんば、美咲。
「はい、オッケーです!美咲さんお化粧お願いしまーす!」
絶対小悪魔顏は使われないな。うん。
やっぱ口紅はMacだよね~。
真っ赤よりちょっと薄い赤の口紅を塗ろうとした時だ。
ピリピリ、
携帯が鳴った。
"松田さん"
頭の中のオーケストラが一斉に喜びの曲を奏で始めた。
ハーレルヤ!ハレルヤ!ハレルヤ!ハーレルヤ!
キタァァァァァァァァァァァァァァァァ!!
今日あいてる?的なメールだといいな~!私バリバリあいてるしっ!!!
"今日空いてる?もし良かったら、今日俺の家に来ない?"
...
キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ....
お家へのお誘い?!おさそい?!オサソイ?!どうしよどうしよどうしよ!!!!今日のファッションゆるゆるなんだけど?!ポロシャツにジーパンなんだけど?!ねえ、ねえ、...あっ、着替えればいいのか。バカか私っ!!
まだ口紅を塗ってない唇に触る。
あのwonderfulな夜から一週間経つ。唇には今だに松田さんの唇が残ってるよ。柔らかくて、シャンパンの味がした。しかも何回もいろんなところにキスしてきたんだから!!唇はもちろんだけど、頬とかおでことかあごとか!ホント、松田さんのシャンパンと松田さんに酔っ払うかと思ったわ!!はぁ...ヤバイ、顔が赤くなる。
Wonderfulな夜以降は会ってないんだよね。...それにしてもいきなり家?
...でも、行ってみたい。
あとで返信しよっと。
「♪ハーレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ...♪」
私は口紅を塗り終え、上からグロスを薄く塗る。
オーケストラは余韻に浸れる音楽に変えた。
ああ...幸せだわ...
ピリピリ、
ん...だれ...
"あいつ"
化粧停止。音楽停止。余韻停止。
この邪魔者めぇぇっ!!タイミング悪すぎなんだよっ!
"有理沙、千里なんだけどそろそろこっちに戻っても大丈夫だと思う。千里は兄妹だって正式に記者会見したし、マスコミの騒ぎも収まってきたころだから。"
...記者会見なんてしたんだ。あいつがニュース出てきたら即チャンネル変えるからな。それでよく千里に怒られるけど。
てか、最初に有理沙って書くところに妙な下心を感じるのですが。
でも...確かに千里が向こうに戻ってもいいかもな。
そろそろ行くか。
「はい、笑ってー!いい感じですっ!!」
さっきの化粧をしてから
撮影→化粧を落として別の化粧→撮影
これを三回もしたとです。さすがに疲れるとです。
早く松田さんに会いたいとです。
「はい、撮影終了です...!?」
撮影現場がいきなり異様な空気に包まれる。
この威圧的な空気の根源は...
「...浅沼さん?!」
全身黒のスタイリッシュなファッションで身を包んだユア・スタイル編集長。
浅沼さんっていうんだ。
「なぜここに...!!」
「あら、いけない?」
聞いた人は震え上がり、5歩くらい後ずさる。
「ちょっと、見たかっただけよ。モデルになって2年も経たない美咲さんの実力を。...まあ、化粧は中学生がやるメイクに毛が生えたくらいね。」
下から寒気がしてびくりと姿勢を正す。
つかつかと撮影場所に入ってきて、私のあごをぐいっと持ち上げた。
「ひっ...!」
「口紅の色は流行りじゃない、これなら暗めの赤の方が良かったわ。チークはまだマシだけど...あら、あなたコンシーラーどこにいれてるのよ。コンシーラーの存在皆無じゃない。」
あごを強く持たれながらいろんな方向に向けさせられる。
痛い...!
「...ふん、これでモデルだと名乗れるなんて大したものだわ。」
ひぃぃぃぃぃぃぃぃ...!!!!!!
「ちょっとマネージャー。」
「へぇっ?...はっはい!!!」
空気を読まずにわらび餅をむさぼり食ってた山下さんは不意打ちをくらい、ネクタイにポロポロときな粉を落としていた。
「この子の今後の予定は?」
「こんごのよてい...」
山下さんは右上を見つめた。
「あなた日本語分かる?」
「こんごの...!!あっはいはい!!美咲ちゃんは、何もないですよ!!!」
「そ。じゃあこのあとお食事でも行きましょう。」
「えっ?!僕ですか?!」
「あなたの頭ってサルレベルね。美咲さんとよ。」
えっ?!今から?!マジかよ....!!これから松田さんと会うのに...!!
「すいません...今日は...」
「いいでしょ。女同士、仲良くしましょうよ....」
私の耳元で編集長はこう囁く。
「...葵のこといろいろ知りたいでしょ?あの子の心理が分かるのは...世界で私だけ。」
...まただ。
あの日の夜もそうだった。
松田さんの誕生日パーティーのときだ。
葵を追っ払った直後だった。誰かに肩を叩かれる。
「あなたも忙しいですこと。2人の男から求愛を受けて。」
編集長だ。ドレスまで黒でいつも通り人を威圧させてるみたいだ。
「そんなんじゃないですよ。...植草さんは仕事で仲良くしていただいただけです。」
いろんな場所から陶器の音と甲高い笑い声、話し声が聞こえる。
「ふっ。どうかしら?あなたはそうでも向こうはそうでもないかもよ。」
「さあ。私には関係ないことです。」
「ふぅん...」
編集長が私に詰め寄り耳元で囁いた。
「ま、ヤラセだとしてもあなたが裏切られたときの心の傷は大きいでしょうね。」
.....!?なんで...!!
「どうしてそれを...!!」
「あら、やっぱり覚えてないの。残念。ま、あなた男運は無いとだけ言っておきましょうか。」
気持ちがついていけない私を置いて編集長は近くの人に愛想を振りまき始めた。
私はあの人を知らない。少なからず、あいつと付き合っていたころは...
あの人は私たちの何を知っているの?
次回、葵の秘密が...!?




