Vo.20
今回はみちる視点です。
まったくなんなの?マジ意味わかんないんですけど?
危うく声を上げそうだった。危ない危ない。ここはコンビニよ?深夜とはいえこんなところで声なんて出したら、私があの神山みちるだってばれちゃうじゃない。
でも...
"俳優植草葵、まさかの隠し子疑惑?"
なんで葵の妹が子どもになってるの?ふんっバカバカしい。すぐに分かる事実じゃない。こんな嘘を鵜呑みにするなんて週刊青空も落ちたものね。
♪~♪~♪
こんな時間に電話?
"葵"
「はい?」
「お前ふざけんなよ?!」
うわっ!うるさいわね。近くのおじさんが私を睨みつける。
「なによいきなり?急に大声出さないでよ。」
「僕のことは勝手にすればいい。でもなんで千里を巻き込んだんだ?!手を出すなって言っただろ?!」
「はぁ?なんのこと?」
おじさんの睨みがひどいから、外に出る。外にある私の車に寄りかかった。
おじさん、ムカつく。おじさんがいなければ涼しいコンビニの中でゆっくり出来たのに。
「お前だろ?千里のこと週刊誌に流したのは!根も葉もないこと言いやがって!!!」
「だからなに?意味分からないんですけど?」
「なんでこんなことしたんだ!?」
「だーかーら...!もしかして週刊誌にあんたの妹の情報流したのは私だと思ってる?だったら違うから。」
「お前以外に誰がいるんだよ?!」
うっ!もう、怒鳴らないでよ。
「なんでだ?!どうして...」
ピッ、
もう話にならないし、言っても聞かないわ。
車に乗った。
「行きなさい。家にね。」
なによ。あくびしながら運転するんじゃないわよ。私を事故に合わせたらあんたの責任なんだからね。
はーあ。イライラする。
なんで私があいつの妹を売らなきゃいけないの?そんなにお金に苦労してないっつーの!
ありさ...急にその名前が頭に浮かんだ。
あいつの元カノ。デブで地味女だった。なんなのよ?葵はなんであんな女が好きだったの?どうして...?なんで私を見てくれないの?今でもありさっていうやつが好きなの?
1年前に急にファッション雑誌のライターをやめたっていう情報からパッタリと姿を消してるわ。そこで葵と別れたんだわ。なんで別れたのかしら?ありさっていうのが浮気したとか?葵は浮気するようなタチじゃないし。でもあのブスがそんなにモテる?まさか~。
「みちるさん?着きましたよ。」
「あっそう。」
車の扉をマネージャーが開ける。
「明日、9時よ。忘れないでよね?」
それだけ言って私はマネージャーを背に部屋に向かって歩き始めた。
ありさ...もうすぐ会いにいくから...




