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この結婚は王命ですから。初夜で拒絶された花嫁です、それでは自由にやらせていただきます!  作者: 夏目みや
第四章 ネザークロウの洞窟

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章間

 うららかな昼下がり。


 本を片手にまったりと過ごす。温かな日差しが眠気を誘う。ほんの小さなあくびが自然と出てしまう。


「お疲れでしたら、少しお休みになられますか?」


 その様子に気づいたドリーが微笑み、声をかけてくる。

 恥ずかしくなり頬を染めた。


「最近は忙しくて、ゆっくりと休む時間もなかったですからね」

「そうね……」


 結晶が採掘できるようになってからというもの、ここ最近では目まぐるしい日々を送っていた。

 南部の実家と連携を取り、北部から出荷する手はず。

 それに加えて結晶にせっせと魔力を注ぐ日々。


 確かに働きすぎかもしれない。


「ですが、もうここまでくれば北部の発展は約束されたようなものですよね! それもシャルロット様のご活躍があったからこそ!!」

 

 ドリーは顔を輝かせ持ち上げてくるが、私はクスリと笑う。


「それは北部に可能性があったからよ。王は北部の発展を見越していたのよ。私はただ、王命に従っただけ」


 王命結婚だったがイザークとはなんだかんだ、仲良くなれたと思う。

 最近ではなるべく時間を合わせて、毎食一緒にとってくれたり。不器用ながらも言葉を選んで声をかけてくれる。

 

 ただ時折、なにか言いたげな視線を感じることがある。


 彼は私に南部に帰らないで欲しいと言った。でもそれはどうして?


 もとより責任感の強い人のことだから、王命に忠実に従う気になったとか?


「これでいつでも南部に戻れますね」

「えっ?」


 ドリーの発言に心を見透かされたような気がして、心臓がはねた。


「だってシャルロット様、そのつもりでしたよね?」


 ドリーは顎に手をあて、不思議そうに首を傾げている。


 私だって最初はそのつもりだった。イザークに婚姻関係を拒否されたあの夜から。


 でもイザークは私に帰って欲しくないと言った。


 もう少し彼と話をしないとダメだわ。それでなければ本心がわからない。


 でも彼はなにか言いたげな視線を投げてくるが、私と目が合うと、サッと逸らすことが多い。

 これじゃあらちがあかないと思ってある時、自分から切り出してみた。 


「今度、お話が――」


 全部言い切らないうちにイザークの頬がピクリと動く。


「疲れているだろう? 源泉につかって体を癒してくれ。俺は使わないから」

「いえ、そこまで――」

「あの源泉は疲れが取れるから、入った方がいい」


 ……うまく話を逸らされた気がする。


 しまいには源泉を私専用に改築するとか言い出した。

 その他にもなにか欲しいものはあるかとか、好きな食べ物を聞いてきたり、すごく気を遣ってくれる。


 本当、最初の態度とはえらい違いだわ。

 

 思い出すと自然と頬がゆるむ。


 だからこそ、彼と話をする時間を取らなくてはいけない。

 帰って欲しくない、それに私と最後まで添い遂げたいと言ったのは、私の力が北部の発展に欠かせないから?


 それとも――。


 その時、ノックされる音が響き、ハッとする。

 

 返事をすると静かに扉が開き、執事のガルドが顔を出す。


 対応したドリーは一通の封書を手にして戻ってきた。そこに押された紋章を見て、読んでいた本を閉じた。


 ドリーに渡されたペーパーナイフで封を開け、中を確認する。


 手紙を確認すると同時に、勢いよく顔を上げた。


「大変だわ、私、行かなくては……!!」


 驚きに目を見開いたドリーに手紙を見せる。


「まあ……。では、今すぐ準備をいたします!」


 ドリーはクローゼットからトランクを取り出すと、手際よく荷物を詰め始めた。


 でもイザークが……。


 彼は今、魔物討伐で留守にしている。


 仕方がない。事情を説明すれば、きっとわかってくれるはずだわ。


 それよりも急がないと……!


 はやる気持ちを抑え、唇をギュッと噛みしめた。

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