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異世界帰りのTS転生ロリババア、ひ孫のヒロインになる  作者: ひさなぽぴー/天野緋真
第一章 始まりの夏、TSロリなひいじいさんと

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第五話 幼な月、双つ 7/7

 体勢を立て直した間森が、こちらをにらんでいる。……いや、俺よりは優一のほうか?

 しかし戦いで乱れた服を軽く整えながらであるからか、魔石の意思に振り回されているという印象は薄い。先ほどは苛烈に攻め立てていたし、それによって呼吸も少し乱れているが、それだけだ。

 優一に対してはアレなのかもしれないが、今改めて構えなおす姿からは理性を感じる。


「……魔導士にしては珍しいな」


 その様子に少しだけ眉をひそめて、思わずひとりごちる。


 魔石の侵食で意思を歪められている魔導士は、理性を吹き飛ばして獣のようになる傾向が強い。そう、ちょうど昨日戦った男のようにな。

 特に暴走している感情が愛情の場合なおさらで、そうであれば冷静な判断が難しいからか、戦い方も単調になりやすくて戦いやすいんだが。これはちょっとばかし厄介かもしれない。


 とはいえ、一対一だ。おまけに俺の魔法は、彼女の魔法に対して相性よし。逃げ腰になる必要はあるまい。


「……っ、あなた! お嬢様がたをたぶらかすだけに飽き足らず、こんな小さい女の子を矢面に立たせるなんて……! 鬼畜の所業ではないですか!」


 ところが、俺をよそに間森は優一に怒鳴った。優一をにらむ顔には義憤の色が浮かんでおり……端的に言えばそれは、まったく俺が予想していない反応だった。


 いやまあ、経緯を知らずに状況だけ見れば、彼女の言い分はさほどおかしなものではない。俺だって同じ状況であれば、口に出すかどうかはともかく似たような感想は持つだろう。


 ただ残念ながら、違うんだよな。


「違ぇ」

「……?」

「矢面に立たせているのは俺のほうだ。心配してくれるのはありがてぇが、あいつを責めるのは筋違いってもんだぜ」


 そう、戦いに巻き込んだのは俺なのだ。

 だからか、俺は思わずそう言っていた。別に俺は何を言われても構わないが、優一を悪く言われるのは……やはり嫌な気持ちになったから。


「かわいそうに……まだ小さいのに、あの男に染められてしまって……!」


 これに対して間森は勝手に同情してきたが、その言い方は……なんというか、こう、別の意味が感じられるからやめてくんねぇかな。

 いやまあ、優一のことが嫌いってことはないんだがな? あいつはただのひ孫であるからしてだな。


 俺はそうやって、どう返すべきか迷っていたが……そんなことができていたのはほんの数秒だった。


「であれば仕方ありません……お嬢様がたをお助けするためにもこの間森、容赦は致しませんよッ!」


 先ほどまでの同情はどこへやら。間森はギラリと鋭い視線を俺に移すと、そのまま床を蹴って殴り掛かって来た。

 感情の動きが極端! これもまた魔導士の特徴ではあるが、一見すると狂わされていないような姿を見たあとだからこそ、変化の振れ幅がやたらと大きく見えるな!


 だがそんなことを考えている場合ではない。今は目の前のことに集中しなければ……ということで、俺はしっかりと身構えた状態で腕を盾として前に突き出す。身にまとう魔力を多めに回し、叩き込まれた拳を真正面から受け止めた。


「むむ……っ! やりますね!」


 微動だにせず攻撃を受け止められたことに、間森は一瞬驚愕の顔を見せたもののすぐに気を取り直した。


 だが、せっかく向こうから近づいてきてくれたのだ。再び動き出す前に、まずは一発入れてやろう……と思ったが、すんでのところでするりと逃げられた。


「さすがにそう簡単にはいかねぇか!」

「三日月のメイドたるもの、これくらいできて当然ですとも!」


 思わず声を上げれば、そんな言葉が返ってきた。


 メイド……女中って、そういうものだっけ? と一瞬首を傾げてしまったが、疑問は飲み込んで間森と改めて相対する。


 自信満々な発言に反して、間森はこちらを見逃すまいと目を凝らしながら少し距離を取った。俺の防御力は想定外だったようだし、警戒を強めたのだろう。


 であればと今度は俺から距離を詰める。そのまま懐に入ってやろうと思ったが、弱めの殴打で小刻みに、何度も牽制されれば近づくのはなかなか難しい。強引に踏み込んでみるも、


「ふんッ!」

「ぐ……っ!」


 しっかりと安定した体幹から放たれた蹴りで、吹き飛ばされてしまう。離れたところから双子の悲鳴が聞こえてきたが、そっちに反応する余裕はない。


 敵対している相手を褒めるのもなんだが、昨日の男とは身体の動かし方が違った。優一と正面からやりあっていたときからなんとなく察していたが、これは格闘の心得がある人間の動きだ。

 こりゃあ真っ向勝負は厳しいな。俺も前世の兵卒時代での調練や、今世の生まれゆえに格闘そのものができないわけじゃないが……修めたと言えるほど学んでいたわけでもない。本気で打ち込んだ使い手には、何歩も劣るだろう。


 しかし取れる手段はまだまだある。格闘には打ち込んでいなかったが、魔法については打ち込んでいた。俺は魔力の扱いには少し自信があるのだ。


「こいつはどうだ!」


 今度は足を狙う。野球の滑り込みの要領で、足を刈ろうという魂胆だ。

 俺ほど小さい人間がやると、これがなかなか対処しづらい。相手が大きければ大きいほどそれは顕著で、咄嗟の対策としては踏むか蹴るかしかない。


「性懲りもなくッ!」


 間森もそう動いた。床すれすれに滑り込んだ俺を横にかわしつつ、蹴り飛ばそうと足を上げたのだ。


「そいつを待ってたぜ!」


 だから俺は、滑りながらも右手を掲げた。掲げる右腕を左手で固定し、間森の顔に手のひらを向けたのだ。


 直後のこと。今世では縁がなく、前世では死ぬ直前の一年ほどで嫌というほど聞き慣れたのとよく似た音が響いた。

 金づちで金床を叩くよりもなお刺々しく、けたたましい──銃のような音。実物よりは音量は小さいが、そんな音と共に、俺が掲げた右の手のひらから白い弾丸が放たれる。


「なぁッ!?」


 通称魔力弾という応用技だ。そのままだが、他に適当な表現もないだろう。

 普通に戦うよりは魔力を使うし、できないやつはマジで一生かけてもできないくらい才覚に左右される技だが、魔法を使うよりも消耗はかなり低い。使えるなら使いどころは多い技だ。

 遠距離攻撃は当然のことながら、今回のように近距離からの不意打ちとしても機能するからな。


 知っている相手には効果も下がるし、こちらで最初に戦った悪魔のように未来視なんてされたら、どうしようもないが……逆に言えば、備えられない相手には効果的ということだ。


「マジか、完璧入ったと思ったんだがな……!」


 だがやはり間森はできる人間だ。魔力弾を見てから動くことができるとは、称賛に値する。上半身をのけぞらせるにとどまったとはいえ、あそこから回避しようとしたのは、見事と言うしかない。


 ただ、完ぺきではなかった。当初狙った顔には当たらなかったが、それでも間森の回避は間に合わず胸に魔力弾が命中した。素肌に思いっきり張り手を決めたときのような音が響き渡り、その隙間に双子の歓声が重なって紛れる。


「痛ぅ……! やってくれるではありませんか……!」


 ただ弾が当たったのに打撃を加えたような反応なのは、狙ってのこと。


 というか魔力弾に威力を込めすぎると、銃弾のように人体を貫通するくらいまで行く。元来は悪魔側が使っていた純粋に攻撃のための応用技だから、殺意の高いものなんだよな。悪魔に対してはそれもありだが、まだ悪魔になっていない相手にそれはない。

 それに、魔力弾はある種の牽制だ。近づいて攻撃を当てるための布石でしかないから、これでいいのだ。


 俺は心の中でひとりごちながらも体勢を整え、間森に接近する。一瞬でも彼女がひるんだスキに懐に入り込もうという魂胆なのだが、途中で俺は視界の端でそれを見た。

 優一がポケットから取り出した何かを投げつけ、それを殴り潰しがてらガードマンを殴りつける瞬間を。


 彼が何を使ったかはわからない。今日は色んなものを持ち出していたし、現代の事物にまだ疎い俺ではよくわからないものも多いからな。

 だが彼が意味のないことをするはずがないし、あれだけ頭が回るやつだ。それが効果のあるものだと考えて実行したはずだから、きっとあそこからこの状況をひっくり返しに行くんだろう。


「よぉし、勝負の絵は描けた! ()()()!」


 そうして耳に飛び込んできた言葉。昨日も聞いたその言葉に、俺も了解と内心で返す。


 と同時に、俺は方針を転換する。直前まではこのまま間森の懐に入り、みぞおちに一撃ぶちかましてやろうと考えていたが、その計画は破棄だ。


 代わりに俺は、拳を振り上げる。腹ではなく、顎をカチ割りに行く。どちらも急所を狙う攻撃だが、顎を狙うのは少々危険な攻めだろう。


 だがそれでいい。これは誘いなのだから。


「甘い! そんな攻撃を受けるとでも思っ──!?」


 間森が俺の攻撃を上から抑えに──あるいは物理的に、押さえに──かかった瞬間だ。俺は攻撃を続けながらも足元に亜空間の出入り口を開き、落下した。

 制圧目標を喪失した間森は動きをスカされ、体勢を崩した状態になる。驚愕に目を見開く彼女の様子を見上げながら、俺はほくそ笑む。


「ここは俺が作った亜空間。どこに飛ぶかは自由自在なのさ」


 とは言いつつ、出入り口を開くだけでも魔力を使うから、あまりやりたくない。亜空間内に仕掛けを施すのも消耗するから今は避けるが吉、というのは教えてやらないけどな。

 何せこのあと、間森の体内から魔石を取り出さないといけない。現状魔石の調子が悪いこともあって、魔法はできるだけ使いたくないんだよな……と思いながら、優一の三歩後ろに着地した。


「行ッけぇぇーーっっ!!」


 その直前、優一は手にしていたものを間森めがけてぶん投げた。なぜか二体、ぴたりとくっついた状態のガードマンをである。


「……!? くっ、仕方ありません!」


 だが間森は、俺への迎撃を外され体勢を崩している真っ最中。飛んでくるガードマンどもを回避することができず、次善として身を固めることを選んだ。


 彼女の身体に、ガードマンたちがぶつかる。それで何か大きな音が出たわけでも、衝撃が出たわけでもない。言ってみれば、ただぶつかっただけだから当然ではある。

 しかし異変は、すぐに起こった。


「な、なんですか!? くっ、お前たち! 離れなさい、この……っ!」


 ぶつかったガードマンが、離れないのだ。間森にぶつかったところにぴたりとくっついてしまっている。

 しかも、その状態にもかかわらずガードマンは動きをとめようとしない。召喚時に設定された行動……敵対者を攻撃するという命令を愚直にこなそうとするものだから、くっつかれた間森はたまったものではない。


 それはガードマン二体とも共通であり、彼女はガードマンが動こうともがくたび右に左にと引っ張られ、まともに動くことができなくなってしまっている。


「あっ!? こら、勝手に動いてはダメです! ちょ……わたくしの命令が聞けないのですか!? わたくしの作り出したものでしょうに!」


 ガードマンに向けて間森が怒鳴るが、それは無理な相談だ。

 少し前に触れた通り、こういう融通の利かないところが自律型使い魔の欠点なのだから。


「僕の魔法、『コピー&ペースト』は僕の触れているもののなにがしかをコピーして、対象にペースト……付与するというものでね」


 そんな中、間森に近づきながら優一が口を開く。拳を握った右腕を肩ごとぐるぐる回しながら迫る。


 全身の防御力すべてを捨て、それを右手にのみ集中させる勢いで魔力を操作しているようだ。あれを真正面から見るとなると、凄まじい迫力があるだろうな。魔力が見えるやつにとっては、特に。

 実際、これは間森がもっと大量の魔力で全身を覆っていたとしても、しっかり通るだろう。そういう量の魔力が、どんどん優一の拳に集中していっている。


「だから付与させてもらったよ。瞬間接着剤の接着力をね」

「……!」


 ほほう、瞬間接着剤。現代にはそんな便利なモンがあるのか。名前を聞くだけでも、色々なものに使えそうじゃないか。

 もちろん、すぐにくっつくというのであれば使い方を誤ったとき、惨事になりそうな予感もあるが……今回はそれを、あえて敵に対して使ったということだろう。


 実行するまでに少し時間がかかったのは、ガードマンどもの遠距離攻撃……頭に茂る葉っぱを使い果たしてから動いたからかな。実際、二体のガードマンは既にどちらもハゲ頭になっているし。


 ただ優一の魔法で対象にできるのは、まだ一つだけのはず。

 ということはガードマンに瞬間接着させる性質を付与して、もう一体のガードマンにぶつけてくっつけたあと、そいつを間森に投げたということかな。接着力を付与したほうのガードマンに触ったら、優一までくっついちまうだろうし。


「くそっ、くそぉ……ッ! わたくしが! わたくしめがお嬢様がたをお守りするのです! お前のような不埒な輩に……ッ、わたくしめが負けていいはずなど……ッ!!」


 この推測を裏付けるかのように、一体のガードマンがどんどん間森やもう一体のガードマンにくっつく範囲が増えていっている。なんなら床にもくっついてしまっているので、もはや間森はその場から移動することもままならない。


 にもかかわらず、ガードマンはまだまだ動こうとするせいでくっついてしまう。命令に従順なガードマンは、その状態でもまだ動こうとしていて……という、悪循環の典型みたいな状態になっている。

 間森なんて、その長い髪の毛の大部分がくっついてしまっており、下手に動くと大量の髪の毛が引っこ抜かれる状態だ。そのせいで、首をほぼ真横に傾ける形になってしまっている。


 当然、防御なんてできるはずもない。


「その状態の人に攻撃するのは正直気が進まないけど……悪いのは君の中にある魔石なんだ。申し訳ない、間森さん……せいやァ!!」

「ぐはぁッ!?」


 そうして放たれた渾身の一撃は、間森の急所に直撃。彼女はあえなくその意識を手放したのだった。


***


 間森が気絶してもなお、ガードマン二体は動いていた。ここは先に語ったのとは逆に、自律型使い魔の利点だ。操縦型なら消滅するんだが、まあ仕方ないだろう。


 ということで優一には接着力を付与していた魔法を解除してもらい、次いで俺が亜空間に収納。これでガードマンも一掃した。実際に破壊するのはあとでいい。


 残るは間森に埋め込まれた魔石の除去だが、こちらも問題なく完了。魔力の節約と、過剰励起をこうも短い間隔で行うのはさすがにまずいということで実空間で行ったが、人がほとんど来ない場所だったことが幸いして、誰にも気づかれることなく終わらせることができた。


 あ、もちろん女性の身体に刃を突き立てて血が噴き出すところは、双子には見せていない。彼女たちには人が来ないよう少し離れたところで見張りを任せるという建前で、見ないようにさせてもらった。


「かんなぎまつり先生におかれましては、大変申し訳ありませんでした……。お嬢様がたにも、ご心配をおかけしまして……」


 手術後、正気に戻った間森はまずそう謝って来た。見事なまでの土下座であった。


 ただ、彼女との交戦が魔石のせいであることは全員が既に承知している。誰も彼女を咎めたりはせず、むしろ双子などは率先して彼女をなだめたり甘えるなどして、励ましていた。


「やだなぁ、間森さんはずっとぼくたちのことお世話して来てくれたじゃない」

「そうだよ。今さらこの程度のことで、嫌いになったりしないって」


 テイルは満面の笑みで、シオンはしょうがないなぁと言いたげに肩を小さくすくめてだったが、どちらも間森のことを慮っての言葉だった。これを正面からぶつけられた間森が、感極まって崩れ落ちたのは言うまでもあるまい。


 人に仕える、という行為をほぼしたことがない身だからよくわからない。それでも双子には、間森のような大人が忠誠を誓うに値する大物の片鱗が、早くも見えているような気がした。


「ねえせんせー! 事件も解決したしさ、このあとやるぼくたちのミニライブ、よかったら聴いてってよ!」

「いいのかい? 嬉しいけど、こういうのはチケットがいるだろう?」

「間森、二人にはいっぱいお世話になったしなんとかできない?」

「本日はフリーライブですので、チケットは必要ありませんが……本ショッピングモールで一定金額以上のお買い上げ時に配布される、優先入場券というものがございます。前のほうで見られるというものでして、こちらでよろしければ……」


 そして最終的には、双子に招かれて彼女たちの公演を聴いていくことになった。


「ぼくたち一生懸命歌って踊るから、楽しんでってね!」

「うん。今日の感謝の気持ちを込めて、いつも以上にがんばるからさ」

「「それじゃ、またあとでね!」」


 二人にこう言われてしまったからな。聴かずに帰るという選択肢はなかった。


 とはいえ、謝礼とか付き合いでとか関係なく、聴かずに帰るつもりもなかったけどな。ごくごく短い時間しか付き合いのない双子だが、友人足り得るやつらだと承知しているのだ。何より、現代の音楽がどういうものか興味もある。

 だから優一と二人、揃って最前列で双子の歌と踊りを見ることになった。


 ま、本人たちがまだそこまで売れていないと言っていた通り、客席を埋め尽くすほどの観客はいなかったが。それでも俺にしてみれば、決して悪い入りではないと思う。


「みんなー! 今日は来てくれてありがとー! 姉のテイルと!」

「妹のシオン。二人合わせてー……」

「「ぼく(ボク)たち、クレセント☆ジェミニ!」」

「よーし、それじゃあ早速一曲目行こっか!」

「はいはい、突っ走りすぎて息切れしないでよ?」

「そんなことしないもーん! ……じゃあみんな、聴いてください!」

「一曲目はいつも通りだからね。行くよ」

「「『ミルキーウェイ』!」」


 双子特有の、息の合った会話と共にかかった音楽は……やはりというかなんというか、かつて俺が光太郎だった頃にはまったく聴いたことのない類のものだった。聴いたことがないというか、恐らく当時は影も形もなかったのではないだろうか。


 まず何より、音の数が多い。管楽器や弦楽器とは明らかに違う、軽妙な……というべきか。そういう不思議な音──優一いわく、しんせさいざー──が様々含まれていた。その音がなんともかわいらしくて、二人には似合っているように感じられる。

 さらには、曲調が早い。西洋の曲ならこれくらい早い曲はいくつか知っているものの、俺が知っている日本の曲はいずれも緩やかだったものだが。

 あと、歌詞に英語がかなり入っているのも驚いたな。これも時代の変化なんだろうが、音楽も八十年でここまで変わるんだなぁ。


 だが嫌いじゃない。


 確かになじみのない音楽ではある。だが早い曲調は自然と踊りたくなるような彩りが随所に見られるし、楽しく感じる音楽だ。

 実際それに合わせて踊る双子はどこまでも嬉しそうで、とても楽しそうである。何よりそんな二人を見て、嫌いになんてなれるはずもなかろうよ。


 それはきっと、優一にとって期待していた感想なのだと思う。だからこそ、彼に投げかけられた感想を問う声に「嫌いじゃない」と返した俺に、「それはよかった」と嬉しそうに笑ったのだろう。


「それじゃあそろそろ二曲目、行っくよー!」

「なんと次は新曲なんだ。気に入ってくれると嬉しいな」

「「聴いてください……『お願いお月さま』!」」


 それからも、双子が歌う音楽は続いていく。彼女たちの澄んだ歌声を聴きながら、俺も楽しくなって、思わず笑みが漏れた。


 やがて公演が終わる頃は、他の観客と同じように、たくさんの拍手を響かせる俺なのであった。


書いていて毎回思う。

毎回面白いバトルを考える荒木先生やべぇなって・・・。


まあ何はともあれ、第五話はこれにておしまいです。

第六話が書きあがるまでまたしばらく更新がとまりますが、楽しみにお待ちいただければ幸い。


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