家族に(語り手:ツェルシア)
アルマのところに居させてもらえることになった日の夜のこと。
「ルシア、ちょっと良いか?」
クルドが部屋に来て、今後のことを2人で話したいと言われた。
部屋の案内をしてもらった後、生活必需品を買ってもらい、少し休んでからのことだった。
「はい。大丈夫です。」
貴族では、男女が部屋に二人とはあり得ないことだが、家族みたいなもの、らしいし、そもそも平民の間では普通によくあることなのだそうだ。
「まず、ツェルシア・ノーランド、だよな?」
さっき、自分をモデルにした官能小説を読まされたために名乗りにくい…。
名前については、一応隠したものの、正体を隠し続けたかった訳じゃないのに!
「…はい。アルマさんには、気づいて頂けなかったのですが。」
「それは、本当にすまん。」
「いえ、そこまでは気にしていません。」
「なら良かった。それから、ノーランド公爵家だが…
取り潰しになった。公爵は死刑だ。もう死んだ。」
…え?
「…結構守りの固い家だったと思いますが…。」
そう簡単に取り潰しにできる家門ではない。まず、屋敷に入れないし。
「王太子が強行突破したらしい。罪名は、国家反逆罪だ。」
「あ…あぁ。」
なんというか、散々悩んだのに呆気ないな…。
「だから、お前は今日から、完全にうちの子だ。それで良いか?」
…うちの子。ちょっと歪だけど、いい家族になれるだろうか。
「お、前…!あんまり無防備に笑うな。可愛いすぎるだろ。」
少しにやけてしまった。
「…はい、あの、ありがたいです、その、お世話になれたら嬉しいです。」
「俺はそれなりにお前を利用するが、嫌だったら、嫌と言えばやめる。だから、自分の意見はちゃんと言えよ。」
「…嫌と言うわけではないのですが。」
「なんだ?」
「なんで王妃になることをミッションにしたんですか?」
「俺は貧しい家の出身だ。王家との正式なコネを得て、貧困層に優しく、大嫌いな系統の貴族に地獄を見させることが夢なんだ。」
なるほど。それなら力になれそうだ。
「色々、ありがとうございます。」
大きな変化がたくさんあったが、これからは新しい生活が始まる…!もう、家に帰るのが憂鬱になる事はないんだ…!




