第二のヒロイン
「ルシア、大切な話があるの!」
家出して1週間程経った平和で素晴らしい今日このごろ、何やら深刻な顔でアルマとバルに詰め寄られた。
「な、なんでしょう…?」
なんというか、迫力があるな。
「クルドは信じてくれないんだけど…。」
アルマがためる。
「この世界は、物語をもとに作られた世界なんだ!」
あ、なんか知ってるパターンだぞ。
「…お二人は転生者なんですよね。」
アルマとバルは転生者なのだそうだ。
なんでも、クルドは転生者を集めて異世界の技術を盗み、荒稼ぎするために、平民の転生者を拾い集めているのだとか。まぁ、今のところこの二人しか見つかっていないらしい。
「え、なんでそれが今関係すると思ったの?」
「前にも同じような話を聞いたことが。」
「マジ?え、じゃあ、今度平民でものすごい魔力を持つ人が見つかって、来年の春に学園に入学するって知ってる?」
あれ?
「聖女じゃないんですか?」
「え?聖女?ちょっと違うと思うけど…。」
「ああ!でも、神に会ったときに、複数の物語を参考にしていると言っていたからな!もしかしたら、アルマの知らない物語も使われているのかも知らないぞ!」
安易に神に会ったとか言うんだな。バルはやはり頭が悪そうだ。
…って言うか、転生者はみんなそんな安易に神に会っているのか?私は会ってないぞ…?
え、私っておかしい?
それか周りが特別なのか?
「…とりあえず、その物語について教えて頂けますか?」
曰く、ヒロインはパン屋の娘で、戦争の後、平民の活動が活発になると、ヒロインは王宮魔導士になれるほどの魔力の持ち主であることが王家に知らされ、学園に通うことになる。
はじめて学園に行くと、道に迷い、宰相の息子ルドルフに会い、道案内してもらう。そこでルドルフに媚びないので、『俺に媚びないなんて、オモシレー女。』ってやつをやる。
その後、昼食の時に屋上でルドルフとその仲間たち…つまりは生徒会メンバーである、王太子フランツ、ルドルフ、騎士団長の息子で女嫌いのバルト、平民で強力な魔法を持つあざとい系のミクラスと会い、バルト以外からはオモシレー女判定を貰って、生徒会メンバーに加わる。
ヒロインが学校で起きる様々な事件を生徒会メンバーと共に解決したり、メンバーの過去などに触れていいこと言ってコイツは他の奴とは違う判定を貰って仲良くなったりする。
そして、魔王発生。で、ヒロインが聖剣の力に目覚めて、生徒会メンバーと協力して魔王を倒す。
その後、ヒロインと王太子がくっついてハッピーエンドという話らしい。
…なんでメインヒーローは大体殿下なんだ。
まぁ、スペックは圧倒的に高いけどさ。
「あくまでモデルだから、どのまで物語と同じかわからないんだけど、俺達はそのヒロインと同じ時期に入学するわけだから、注意しておいた方がいいだろうと思ってな。」
「でも、ヒロインと同じことをすれば王太子妃になれるから…頑張って這い上がるなら…。」
それは嫌。
オモシレー女とか言われてときめける気がしない。
ひたすら引く。
「…普通に正攻法で攻めます。程遠いかもしれませんけど。」




