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筋肉は魔法世界を制す  作者: 清正
筋肉の夜明け
1/7

第一話 筋肉、入学する

 目を覚ますと見知らぬ洞窟の中にいた。長い間気を失っていたようだ。


「仲間は……」


 記憶は断片的ではあるが残っている。


「とりあえず……街を目指そう」


 鋼鉄の鎧を身にまとった203cm113kgの巨躯を揺らしながらマハトは歩き始めた。

 王立サンドラ魔法学園。その門の前にマハトは立っていた。

「……」

 登下校時間外のため生徒手帳がなければ開かないようだ。

 

「……仕方ない」

 次の瞬間、奥に開くはずの鉄柵が門柱にめり込んだ。轟音を聞いてすぐに警備員が駆けつける。


「き、貴様っ……何者だ!」

 今まで見た中でぶっちぎりの大男を前に、声を詰まらせながらも牽制する。

 

「……すまなかった」

マハトは中に入るとめりこんだ鉄柵を元に戻し、警備員に紙を渡した。

 

「……推薦書?」

 街に着いて最初に寄ったギルドで書いてもらったものだ。それを見た警備員の顔が一変し、校舎内へと案内された。

 

「理事長、ギルドからの推薦者が来ています。」


 メガネを掛けた金髪の女性が座っている。年齢は30手前といったところか。


「話は聞いているわ。座りなさい」

 促されて椅子に座ると、彼女は警備員を外に出し、部屋には二人だけとなった。

 

「とりあえず、説明するわね」

 彼女は、マハトがかつて魔王との戦いに敗れ時を止める永眠魔法をかけられていたこと、今はその200年後の世界であること、そして現代は魔法が世の中の中心であることを説明した。


「おそらく、あなたに永眠魔法をかけた魔王が倒されたことで目が覚めたのね」

「そうだったのか……」

「このことは私とギルド長しか知らないから安心しなさい」

 マハトは困惑していた。共に戦った仲間はもういない。さらに、彼は魔法を使えなかったのである。

 

「もし良ければ……」

 理事長が言いかけたときだった。


「理事長!大変です……!」

 先程の警備員が息を切らしながら走ってきた。


「魔物の大群が街に……!」

 理事長は何も言わず立ち上がり、外へと向かった。

 

「あなたも来なさい」

 マハトは困惑する頭のまま、ふらふらと理事長の後を追った。

 

 学園の外では魔物の群れが暴れていた。住民の一人が人質に取られている。 

「グヒャヒャ!人質の命が惜しかったら王を出」

 言いかけた魔物の頭に氷柱が突き刺さる。

「王立サンドラ魔法学園理事長、サラ・リベルがお相手になろう」

 

「理事長が来てくれた……!助かった!」

「いけぇー!サラ!やってやれー!」

 住民は安堵の表情を浮かべる。理事長は絶大な信頼を寄せているようだ。


「こ、このォー!」

 魔物たちはその戦力の大半を理事長に費やした。しかし、理事長は強かった。ハンデとも言わんばかりに初級魔法の氷柱をどんどん突き刺していく。

 最後の一体になる。おそらくこの軍勢のボスだろう。理事長は攻撃をやめた。

「マハト。やってみなさい」


 マハトはまだ整理できない頭のまま敵の目の前に立つ。


「グアァ!」

 敵の一撃がマハトの鎧にヒットする。が、ピクリとも動かない。

 

「グ、グワアアアアァァァ!」

 魔物の攻撃は乱打となり次々とマハトに当たる。が、マハトはそれでも動かない。

 

 次の瞬間。魔物は粉々になり、肉片が飛び散った。鈍い音が響いたのはその数秒後だった。

 見ていた者は大勢いた。しかし見えた者は理事長だけであった。


「理事長、寮はあるか?」

 拳に返り血を浴びたマハトの顔からは戸惑いが消えていた。


「ようこそ、王立サンドラ魔法学校へ」

 微笑みながら歓迎する彼女の顔は、これから起こる波乱を予想していたかのようだった。

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