私の生活どうしてくれるの?
その夜やっぱりラクシュミーが夢にでましたよ。
「ラクシュミー、サラスさんって弁天様なの?」
「サラスヴァティーはサラスヴァティーですよ。」
「聞きたいのはサラスヴァティー・モトワニさんは神様の化身かどうかって事なの。」
「彼女はブラフマーの奥さんのサラスヴァティーの化身ですよ。」
「やっぱり。で、どうしたら良いのかな?」
「祥子の好きなように。」
「好きにして良いわけ?」
「どうせ好きにするでしょう?」
「幸運を配れとか言わないの?」
「サラスヴァティーは偉大な女神ですから。」
「そりゃそうだ。どっちかと言うと私がサラスヴァティーに……。」
「あなたは私の化身だって自覚が足りませんね。」
「そんな事言われても。第一ラクシュミーがピカってしたせいで、多分明日から大変なんじゃないかな。」
「それも修行だと思って。」
「そんな修行いらないし。」
「とにかく、サラスヴァティーとは仲良くして下さい。」
「分かりましたよ。」
朝起きてからも憂鬱な気分だったよ。
朝食の時TVつけて、あ、まずい。
昨日録画したのそのままだ。
えーい、消しちゃえ。
「祥子、何やってるの?」
「へへ、何でもないよ。」
「早く食べて学校に行きなさい。」
うーん、行きたくないな。
登校途中から何だか周りのみんなに避けられてる気がする。
これ気のせいじゃないよね。
ラクシュミーは幸運の女神のはずだけど、私に取っては疫病神のような気が。
席につくと、サラスさんがこっちを見てたので、昨日避けようとしたのを謝りに行きました。
「昨日は避けようとして御免なさい。」
「分かれば良いんですよ。仲良くしましょうね。シュリー。」
サラスさんとは仲直り出来ても、他のみんなとは壁が出来た気がする。
あのピッカリ直に見ちゃった子は引いちゃうよね。
えっちゃんですら後ろ向いてくれないし、こちらから声を掛けるのも気が引ける。
結局お昼まで誰ともほとんど話せずにいたよ。
いつも通り霧子ちゃんが弁当持って来た。
「えっちゃん、何で前向いてるの?いつも通り一緒に食べようよ。」と霧子ちゃん。
「いや、今日はちょっと。」とえっちゃん。
「祥子ちゃんが神様なのは前からわかってるじゃない。今更だよ。」
霧子ちゃん、あなた何言ってるの……。
「三人の間でそう言ってるのと、みんなにそう見られるのは違うよ。」
「祥子ちゃんは幸運を配れって言われてるんでしょ。」
「うん。」
「だったらまず身近にいる私たちから配ってよ。ほら『隗より始めよ』ってならったじゃん。」
「でも、幸運を配るって言ってもどうしたらいいのか。」
「日本画が駄目なら、ポスターとか値札とか書いてくれないかな?うちの店で。」
「うん、色鉛筆かポスカでよければ。」
「えっちゃんは何か頼まないの?」
「私は良いよ。うちサラリーマンだし。」
「じゃあ、祥子ちゃん、今度の日曜日にうちに来てよ。」
あれ、なんかサラスさん来たよ。
「シュリー、放課後ちょっとお話しませんか?」
「うん。」
「じゃあ後で。」
霧子ちゃん、いつになく興奮して
「二大女神の会談って凄くない?」
「え、霧子ちゃん知ってるの。」
「昨日のあれ見たら当然調べるよね。
ラクシュミーを親友呼ばわりするって言ったら。」
「何?」とえっちゃん。
「サラスヴァティーって弁天様だよ。」と霧子ちゃん。
「うん。ラクシュミーも、ブラフマーの奥さんのサラスヴァティーの化身って言ってた。」
「あー、あの人もそうなんだ。
と言うか、このクラスなんかおかしくなってない?
神様の化身が二人もいるなんて。」
とえっちゃん。
「サラスさんは祥子ちゃんに会いに来たんだよ。」
「えー、私が悪いの?」
「悪いなんて言ってないし。」
「あ、ごめんごめん。」
霧子ちゃんは大切。もうこれ以上味方を減らしたくない。
授業が終わってサラスさんのところに行ったよ。
「サラスさん、話って何ですか?」
「ここではちょっと。私の部屋まで来てもらえないかしら。」
「えー。」
「何もしませんよ。話すだけです。帰りは送って行きますから。」
ラクシュミーはサラスさんと仲良くしろって言うし、ぶっちゃけ芸能人の私室って興味あったりして。
「そんなに遅くならないなら行きます。ちゃんと送ってくださいね。」
「安心してください。」
仕方が無いのでサラスさんと一緒に校門まで歩いて行ったよ。
みんなは遠巻きにして見てるだけで、近寄りもしない。
校門に大きなベンツが待ってたよ。
どうなってるの?
「さ、シュリー、乗ってください。」
「あ、うん。」
なんか高級そうなマンションの地下駐車場に入って、エレベーターで最上階に一直線。
部屋も家具もゴージャスだね。
さすが世界の歌姫。
ふかふかのソファーに座って、紅茶とケーキをメイドさんが持ってきたよ。
何この格差。
「で、サラスさん。話って何?」
「シュリー、インドに帰りません?」
「え、何?」
なんか目の前が一瞬真っ暗になったよ。
「みんなシュリーの帰りを待っていますよ。」
「ちょっと待って。私日本生まれの日本人だから。」
「あなたは、インドの女神ですよ。向こうの信者はみんなあなたの帰りを待ってます。」
「そんな事言われても。」
「あなたが姿を与えた店の主人は、凄く感激してましたよ。
でもこの国の人のあなたに対する振る舞いは……。」
「ちょっと待って。私感謝されるような事何もしてないよ。」
「じゃあ、あなたがこの国の人々に恩寵をほどこし、彼らがそれに対して感謝を示さなければ、インドに帰りますか?」
「サラスさん、変なことしないでよ。」
「私は何もしませんよ。」
「それなら良いけど。」
「とにかくよく考えて下さい。」
ケーキを食べ終えて車で送ってもらったけど、釈然としなかった。
確かに日本じゃ吉祥天ってメジャーじゃなのよね。
弁天様は七福神の一柱で超有名だけど。
何だか元々は七福神には吉祥天が入ってたらしいけど。
学校の南西の方に吉祥の付く町名があるけど、あの辺に吉祥天を祭った神社かお寺だかがあるらしいよ。
吉祥天女社
あとは東京の吉祥寺ぐらいしか知らない。




