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見つけたよ。

 お昼に、教室でいつもの三人でお弁当食べてた。


「へー、そんな夢見たんだ。でもいつかは一等って欲張りすぎじゃない?」とえっちゃん。


「あの人の言う事、別に信じてないし。それにやっぱり夢は大きく持たなきゃ。」と私。


「ジャンボ宝くじの一等をずるして当てるとか駄目じゃないかな。」と霧子ちゃん。


「ずるじゃないよ。抽選機に細工するとかじゃないし。」と私。


「したら犯罪だよ。でもどうするの?」とえっちゃん。


「ノープラン。」と私。


「威張って言う事じゃないでしょ。」とえっちゃん。


「不幸な人をどうやって見つける?

どうやって幸福にするの?

それが分かる人がいたら代わりにやってよ。」


「代われるわけないでしょ。」とえっちゃん。


「冗談だって。大体ただの夢の話だよ。」


「祥子ちゃん目が真剣。」と霧子ちゃん。

この子にほ何故か見抜かれちゃうのよね。


「そりゃ、ジャンボ一等当たるんだったら。」


「大体言われたのは四等当たるって事で一等じゃないでしょ。」とえっちゃん。


「頑張って四等じゃ夢がないし。」


「そもそもあの絵の人誰かわかったの?」


「わかんない。」


「インド料理屋なんかで、ゾウの顔した人の絵飾ってるよね。

あれインドの神さん。

仏教で言ったら聖天(しょうてん)さん」

と霧子ちゃん。


「へー、そうなんだ。よく知ってるね。」とえっちゃん。


「だから、インド料理屋で聞いてみる。」と霧子ちゃん。


「え、インド料理屋で?」と私。


「忙しく無い時間帯に行ってみたら?」


「うん。授業終わったら二人とも付いてきてよ。」


「良いよ。」と霧子ちゃん。


「私部活あるし。」とえっちゃん。


「お願い。」


「じゃあ、もし四等当たったらお裾分けね。」


「一等じゃなくて良いの?」


「あんたやっぱり一等当てる気なの?」


「夢の話だし。」


「夢があるのは良いよ。」と霧子ちゃん。


「昼間から夢ばかり見て授業で寝たら駄目だよ。」とえっちゃん。


「そうだね。」と言って目をそらしました。


「あー、祥子ちゃん、目そらした。」と霧子ちゃん。


「駄目じゃん。」とえっちゃん。


「えへへ。」


 授業が終わってから、三人でインド料理屋に行ったよ。

ここは客席からインド人のコックさんが料理作ってるのが見えるお店。

お昼と夜の間でお客さんはいないみたい。

コックさんが椅子に座って暇そう。


「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですが。」と私。


「ナンデスカ?」


「この絵の人って誰か分かります?」


 コックさん、急に立ち上がって、私から絵を取って真剣に見てる。


「コレウッテクダサイ。」


 え、何?一体どうしたの?


「何ですか?」


「コレ、ホシイデス。ダカラウッテクダサイ。」


「何々?」と霧子ちゃん。


「どうしたの?」とえっちゃん。


「何かこの絵を売って欲しいって。」


「ゴマンエンデドウデスカ?」


「五万円って言うと六等が16回か。」


「どうしてそういう計算になるの。」とえっちゃん。


「まだこの人が誰か分からないから売れない。」


「コノカタハらくしゅみーサマデス。」

と言って絵に手を合わせます。


「え、ラクシュミー?」


「いんどノコウウンノメガミサマデス。」


「幸福の女神様。」と私。


「本当なんだ。」とえっちゃん。


「エキノチカク二ねぱーるジンノミセガデキマシタ。

オキャクガヘッテコマッテマス。

ダカラコノエガホシイデス。」


「キノウユメ二らくしゅみーサマガアラワレテ、イイマシタ。

『もし私の絵を持ってる者が現れたら、絵を受け取って店に飾りなさい。

そうすれば悩みは解決するでしょう。』ト。

ダカラソノエヲウッテクダサイ。」


「分かった。これあげます。」


「えー、只であげるの?だって五万円だよ。」とえっちゃん。


「だって4等当たる様になれば、一回十万円だよ。一回限りの五万円より良いでしょ。」


「おすそ分けも毎回くれるの?」


「そんな事言ってないし。」


「ナンノハナシデスカ?」


「いえ、こっちの事です。」


「ソレジャアコノシンガハコチラカザリマスネ。」


おじさんは絵をもって客席の奥の象の神様の絵が飾ってある所に持っていった。

奥は窓が無く、雰囲気のある屋内照明だけ少し暗い。


絵が何か光ってるみたいな気がするんですけど。


「ちょっとまって。外で見てたから気づかなかったけど、あの絵なんか光ってない?」とえっちゃん。


「本当、綺麗だね。」と霧子ちゃん。


「あんた蛍光塗料で描いたんじゃないよね。」


「色鉛筆。」


おじさんは象の神様の横に私の絵を置くと床に正座して私の絵を拝み始めた!


「何かやばくない。おじさん、拝み始めたよ。」


「逃げよう。」


 皆で一斉に走って逃げた。次の信号渡った所まで走った。皆息が切れてる。


「どうしてこれまで気づかなかったの。」とえっちゃん。


「だって、あのお店みたいに暗い所で見たことなかったし。」と私。


「そうね。あのお店の中、ちょっと暗いよね。」と霧子ちゃん。


「そう言う問題じゃなくて、何で色鉛筆で書いた絵が光るのよ?」とえっちゃん。


「知らない。」と私。


「神様だからじゃないかな。」と霧子ちゃん。


「ラクシュミーだったっけ?」とえっちゃん。


「祥子ちゃんがだよ。」と霧子ちゃん。


「え、何で?」と私。


「夢の中で、女神様に自分の化身だって言われたんでしょ。

化身って姿を変えた神様の事だよ。

祥子ちゃん、ラクシュミー様の化身だって言われたんでしょ。」

と霧子ちゃん。


「えー、化身ってそうなの?」


「そうだよ。」


「でも夢の中の話だよ。」


「祥子ちゃんが描いた絵が光ってたのは現実だよ。」


「なんか頭痛くなってきた。」とえっちゃん。


「もう一つあるの。」と霧子ちゃん。


「祥子ちゃん、あなたのお名前は?」


(よし) 祥子(しょうこ)だよ。知ってるでしょ。」


「あのね、ラクシュミー様って仏教にも取り込まれてるの。

仏教の天部の一柱で、仏教での呼び名は吉祥天。

祥子ちゃんの名前は吉祥天の子供って言う意味じゃない。」と霧子ちゃん。


「霧子ちゃん、それ本気で言ってるの?」とえっちゃん。


「本気も本気、大本気だよ。」


「祥子ちゃん、これまでジャンボ宝くじで、一枚買って六等当選だった回数は連続何回?」


「中学入学してから買い始めたから、15回ぐらいかな。」


「六等当選って1/100だから、15回連続で6等の確率は10の30乗分の1だよ。

これって偶然ではありえない数字だし。

一等を一回であてるのが10の7乗分の1だから。

一等4回連続で10の28乗分の1だから。」と霧子ちゃん。


「えー、一等の方がずっと良いよ。」


「ところで霧子ちゃん、ラクシュミーの事知ってたの?」とえっちゃん。


「皆がおじさんと話してる間にスマホでググッたの。

吉祥天さんの事はもちろん知ってたけど。」と霧子ちゃん。


「いつに無くすばやい。」とえっちゃん。


「ところでどうしよう。もうあの店行けないよね。」と私。


「行かない方がよさそうね。」とえっちゃん。


「おじさん、夢にラクシュミーが出てきたって言ってたけど。」と私。


「なんか言ってたね。」とえっちゃん。


「夢にラクシュミーが出てきて、あの絵で悩みが解決するって言われたって言ってたよね。

あの絵私が描いたし、私がおじさんにただで上げたよね。

これでおじさんの悩みが解決したら、私が幸運を配った事になるのよね。」


「そうだね。」とえっちゃん。


でも、なんか結果も見れなくてやりっぱなしになるのは残念な気がしたよ。


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