そ、そんなに見つめられたら......
思いの外、収穫があった翌日。
バッチリ筋肉痛が来ましたよっと。バッキバキやで? グスン。
気分的に余裕が出来たので、少しゾンビについて考察する事にしたんだ。
決して動きたくない訳では無い。
「なぁ稲垣。お前此処までゾンビに追われたよなぁ。あいつ等って音だけに反応するのか?」
「どうかな? 俺は避難所で相対したけど、匂いを嗅いでた気がする。ヒクヒクって鼻が動いて」
「ほぉ。ウォ-キングなデッドって感じ? でも俺ネットで調べたらさ。脳が溶けてるって書いてあったんだよ」
「本当かよ。目が見えてる感じじゃ無いし、センサ-でもあったりしてな」
ほほう。センサーねぇ。
蛇とか見たいに温度を感じてたり? いやいやそれは......ヤバいな。
「流石にセンサーは無いだろ。俺は寄生虫を疑ってたんだけどな」
「ん? 何かそんなB級ホラ-映画あったな。お前色々観すぎじゃね? 恐ろしいけどよ。考えすぎると動けなくなるぜ」
「だよなぁ。俺こんな世界になってから、ほぼヒッキ-だから情報がネット頼りなんだわ。嘘情報に惑わされてるのかもなぁ」
「だと思うぜ。俺は馬鹿だから深く考えねぇけどさ。でも引き籠ってると病気にならねぇか心配はある」
稲垣にそう言われ、俺も思うところはある。
実際運動もしてないし、こんな生活してたら筋力も落ちる。
普通に風邪ひくぐらいなら良いけど、栄養が偏ったりして違う病とか困るよね。
多分医療機関もアウトだろうし。薬を手に入れる事は出来ないかも知れない。
だからと言ってゾンビと戦うのは怖い。
死人と言うけど対人戦闘なんて俺には無理だ。
喧嘩だってした事無いし。武術なんて嗜んでも居ない。
映画やドラマの主人公なら、格好よく戦うんだろうけどさ。
大半の一般人はそこまで割り切れるんだろうか?
これまでだって色々と妄想はした。
ゾンビの出るゲームもやってグロイ姿に耐性もあると思ってたんだ。
でも実際に本物だと思うと足がすくむ。
今の所、顔が崩れたりしたゾンビは見ていないけどな。
「ゾンビの顔ってどんな感じだったんだ?」
「ああ? とうま見てるんじゃねぇの? なんか血色悪くて血管が浮き出てたな。それと目は白濁して黒目じゃない。アレで生きてるとは思えないのが正直な感想。俺はテレビから出て来る髪の長い女より怖かった。それが自分の親兄弟でもな」
「マジか。まるっきりゲームとかの見た目だな。俺は髪の長い女と白い顔の子供が無理!」
「おいっ! ちょっと思い出したじゃねぇか! 呪われろムッツリ!」
「なんだとビ〇本野郎! 呪いのビ〇オ廻し観させるぞ!」
もう何の話か分からないが、取り敢えずゾンビの定義は某有名ドラマ設定にしておこう。
どう考えても囲まれない事が大事。逃げる時は基本的に隠れる場所を見つけてからだ。
今の所何故か裏の川近くではアイツらの姿は見ない。
もしかして水が苦手なんだろうかね? その可能性に期待したいんだけど。
なんて数少ない希望を抱きながら、ベランダの窓を開けてみる。
......う、嘘やん。バッチリ目が合ってるし!
そ、そんなに見つめられたらって馬鹿ァアアアアア!
「な、なぁ稲垣 勝君。ちょっとこっちに来てごらんよ」
「気持ち悪い話し方すんなよ。何か良い物見つけたのけ?」
「フフフフ。そこに愛はあるんだろうかね?」
「アハハハ。見上げる仕草は美少女限定だろうが! なんやねん一体! どっから湧いたんじゃい!」
うん。土手にさ。横一列で整列してたんだ。奴ら。
傾斜がきついから登れないみたいだけど、ちょうど見上げてる感じなんだわさ。
お隣さんいたよね。頬の肉無いしグロいんだけど! どうせならエモい顔にしてくれや!
ほんの少し前の俺の希望を返せ! これは脱出危機だ。
昨日までなら、きっとベランダ脱出作戦が成功してたはず。
食料ゲットでウハウハとか考えてた昨日の俺を殴りたい。
これは早急に今後を考えねばならぬ。
ぐぬぬぬ。
◇◇◇
という事で少しでも猶予を延ばす為に、入っていない部屋を探索する事に決定。
202号、203号.205号室は済。残り204号、206号~208号室を手分けして回る事にする。
用意するのはガムテ-プ&タオル&ドライバー的な物。
窓ガラス割るんだけど、大丈夫なんだろうか。
稲垣はこんなの適当だと鼻息荒くサッサと行っちゃいました。
俺も考えても良い案も浮かばないので、取り敢えず頑張ってみる事に。
「えっとガムテ-プは後だっけか? やべえ分からん。鍵の位置は真ん中の少し上のはずだけども」
昼間でも少し薄暗いので、ある程度の位置を決めて盗賊開始っす。
これが考える程簡単じゃなかったんだわ。
先ず力加減が分からない。もう考えても分からないからタオル当てていざ参る!
はい。何とかなりました。詳しくは説明できません。
穴が空いたから怪我しない様に頑張った。以上解説終わり。
俺が入ったのは204号室。この部屋は目が痛い色の部屋だった。
た、多分女性の部屋なんだろうけど、ピンク色に統一されてました。
見える場所全部ピンクピンクピンク。香水の匂いが強いのか鼻がヤバい。
我慢できそうも無いから、マスクを取りに帰りましたよ。
そして探索開始。
はい。保存食なし。冷蔵庫も謎の液体以外空っぽデス。ファッ〇ン!
クロ-ゼットオープンからの目の毒だから速攻閉めた。
この部屋って業者さんが使ってんじゃね? 色々物がヤバいんだけど。
ピ〇とかピ〇とかマッ〇-ジマシ-ンとかさ。 (青少年条例案件っす)
気力を失い探索終わり。次じゃ次。後で絶対封印してやるんだからねっ。
何とも言えない気分だが、気を取り直して206号室へ向かいます。
先程と同じ作業をしていざ入室。
「あぁ何だろうこの気持ち。普通って最高だわ」
シックな暗めの色で統一された室内。
ゴミも無くとっても素晴らしいジャマイカの人! (意味は不明)
こう言う整った部屋を汚すのは申し訳ないと思う。
ほんますんませんです。
整理整頓ってこう言う事を言うんだろね。
全ての置き場が決まってるキッチン。
軽いDIY愛を感じる。
そして場違いな仕送られた感じのお米がある。
愛されてますなぁ。母さんを思い出す。
あれ? うちの母親片付け苦手だった気がする。
想い出補正入り過ぎました。無かった事にしよう。はい。
嘘!? ぬか漬けありますやん! 今時見ないよ。
ちょっと手入れされてないから、長い事部屋に帰ってないんだ。
これも有難く頂こう。この部屋の主さん。後は俺に任せんしゃい。
缶詰が10個、お米、ぬか漬けをゲット。
あぁこの部屋は癒しの空間だったわ。
勿論冷蔵庫もちゃんと駄目な物は捨てました。
とここで稲垣が来る。何だろう? ちょっと嬉しそうなんだけど......顔が。
そこはかとなく嫌な予感がビンビンする。
「とうま! パソコンでDVD観れるよな?」
「え? まぁ多分観れると思うけど何で?」
「アハハ。大量ゲットだぜ!」
「黙れエロザイル! 俺の癒された気持ちを返せ!」
「オホホ。今の俺ならグルングルン周るぜ!」
「もうヤダコイツ。腰を回すな放送禁止猿!」
本日の探索結果報告。
204号室、封印。206号、室貴重な物資ゲット。207号室、まさかの空室。208号室、裏D〇D......。
以上。




