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終末に向かう世界に希望なんて見つかるのだろうか?  作者: 早寝早起き
第5章:集団闘争サバイバル編
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襲撃者来たる

 工場での生活も1ヶ月程経った頃、りさちゃんが立てるまで回復した。

 いやぁ。ここまで本当に大変だった。

 食べる物が缶詰と少量のお米だけなので、どうしても栄養が偏ってしまう。


 そこで俺は周辺の住宅を片っ端から捜索。

 サプリメントを探したんだよ。

 未開封なら期限切れでも劣化が抑えられているし、足りない栄養が摂れると思ったんだ。


 面白い事に結構多くの家で発見できたんだよ。

 皆、普段から健康に気を使っていたんだなぁと感心した。

 俺なんかコンビニ飯中心の生活だったし、健康に気をつけた事は無かったよ。


 子供達には、骨が丈夫になって欲しいからカルシウム。

 それと何となく緑黄色野菜のサプリを中心に与えた。

 俺も一緒に飲んでたんだけどさ。

 何故か兄妹は試しに飲ませた青汁がお気に入りになったんだよ。


 不味い・苦いと言うイメ-ジがあったんだけどなぁ。

 最近は色々な味があるみたい。

 基本的に粉だから持ち歩けるし、数は揃えておいたけどね。


 そうそう。

 事務所棟にいた男女も、今は自分達で物資調達に出ているんだよ。

 ゾンビとの戦いは危なっかしいけど、彼らでも何とか対応できているみたい。

 暑い日が続いてゾンビの身体もかなり腐って来てるからな。


 動きも鈍くなってるんだよ。

 それでも上手く立ち回らないと、大量のゾンビに囲まれてしまうけど。

 是非自分達で経験を積んで、自立した生活を送って欲しいものだ。

 それは良いとして、俺はまた気になっている事がある。


 少しずつ周辺の探索範囲を広げているんだけどさ。

 嫌な視線を感じるようになったんだ。

 ねっとりとした嫌らしい視線でさ。俺は碌でもない連中だと思ってる。

 だから出来るだけ遠回りをして、拠点が分からない様に帰って来てる。


 でも事務所棟の奴らは何も考えて無い。そこまで余裕もないんだろうけど。

 後を着けられていれば、近々工場に襲撃があるだろう。

 その時にどうするかを今、真剣に悩んでるところだ


 りょうたは逃げるぐらいは出来ても、りさちゃんはまだ激しい動きは出来ない。

 そうなると工場に立て籠もって戦うのか? 或いは子供達を連れて逃げるのか?

 俺が1人なら各個撃破で戦う一択なんだけどな。

 

 別に自分が強いとか思って無い。1対1でも負ける時は負けるし。

 複数人を相手にしたら、あっという間に殺られるだろう。

 でも戦って駄目なら仕方ないし諦めもつくだろ?

 子供達は絶対逃がすつもりだけどさ。


「とうまお兄ちゃん。僕も戦うよ! りさを守るって約束したし」


「そうか。でも今回は見るだけだ。ゾンビなら立ち回り方を教えても良いが、相手が人間だからな。でもりさちゃんの事は任せるから」


「そうなんだ。分かった! 任せて!」


「わたしだいじょうぶだよ?」


「うんうん。りさちゃんはもっと食べて、元気になろうな」


 最近の癒し成分は、りさちゃんなんだよ。

 まだ幼いから無条件に可愛い。

 

 外が殺伐としてるからさ。

 精神安定剤的な? まぁ自分でもキモイと思ってるけど!


 とりあえず癒し成分を守る為に、生き残る事を考えねば。






◇◇◇





 

 俺は逃げるのを諦める事に決めた。

 まだ体力のない兄妹を抱えて、ゾンビから逃げるのは難しいからだ。

 じゃあ俺だけで戦うのか? それも厳しい。


 相手が何人で、どう言う集団なのかも分からない。

 もしかしたら食人集団の可能性もある。

 そう考えると比較的防御力の高い、今の拠点を使う方が良いだろう。


 だから事務所棟のやつらにも声を掛けた。


「アンタらも自分の命が大事なら、戦うしかないぞ」


「ど、どうして襲われるんだ⁉ まさか君が何かしたのか?」


「は? まだそんな事言ってんのか? 状況を考えろよ。今は食料を得るのも難しいんだよ。だから手っ取り早く、持ってる奴を襲う集団がいるんだ。そいつらは情け容赦ないぞ?」


「で、でもどうやってそんな奴らと戦うんだ? 私じゃあ戦力になりそうもない」


 はぁ。


 何時まで他人事なんだよ。このオッサン。

 こんな世界で平和ボケしてる場合じゃないっての。


「それは自分で考えろ。と言いたいところだが、いきなり対人戦は無理だろうな。なら建物の出入り口をガッチガチに固めて、遠距離で戦うしか無いだろう。例えば......」


 俺は自分の考えを話して、使えそうな案を提示した。

 どうするかは自分達で決めれば良い。

 俺も守る気は無いしな。


 ただ頑張ってくれたら助かるかな? って言うぐらいだし。

 何だか内輪で揉めてるから、俺はさっさと退散。

 時間が勿体ないから、偵察に出たんだよ。


 そしたら工場を出て、わずか5分で発見したよ。

 人数は10人程度だろうか。

 見るからにガラの悪い集団だ。


 腕に刺青が入っていて、手には鉄パイプ。

 何人かバイクに乗ってる。

 よく燃料があったな。公安関係者?


 流石にそれはないか。

 この分ならあまり時間がない。

 これが山ならトラップも仕掛けられるんだが......ん? トラップか。


 別に足止めになるなら、敵にバレても良いんだ。

 俺は直ぐに近くの住宅に入り、適当な袋に缶類を集めて行く。

 そして相手のル-トを予想し、道路に缶をばら撒いた。


 あの風貌の奴らなら、邪魔な缶とか蹴ったりするだろう。

 バイクも踏むはず。その音でゾンビを集めてくれたら、待ち受ける時間が出来る。

 罠って単純な方が引っ掛かりやすいからな。



カン! カン! カン!



「何だよこれ! 邪魔だ!」 「オラァ!」 「轢いちゃえよ」



 アホだ。

 見た目通りで助かるわぁ。


 自信があるんだろうけど、襲撃前にゾンビと戦って体力使ってくれ。

 

 俺は工場へ急いで戻った。

 一応事務所棟にも、襲撃者が来る事は伝えた。

 後は自力で生き残れ。


 りょうたとりさに隠れるように指示し、俺は戦闘態勢で身を潜めた。


ブロロロロ!


 来たな。


 バイクは勢いよく工場の敷地へ入って来る。

 ご丁寧にゾンビも引き連れたままだ。

 本当に何も考えて無いのか? グルグルと敷地内を走り回っている。


 じっくりとタイミングを計り、1台のバイクの側面から鉄の棒を突き出す俺。

 コンベアの部品なんだけど、軽いし持って来たんだよ。

 俺の狙いはバイクのホイ-ル。


「うわぁああ!」


ガシャーン!


 良かった。

 上手く倒れてくれた。


 倒れたバイクの男にゾンビが群がる。

 それを助けようと寄って来るもう1台のバイクにも、同じように鉄の棒を突き出した。

 と言っても今回は身体を目掛けてだけどな。


 運転している男の注意が、完全に倒れた男の方に向いていたんだよ。


ゴシャッ!


 バイクから男は投げ出され、無人のバイクはゾンビへ突っ込んだ。

 俺は冷静に倒れた男を鉄の棒で滅多打ち。

 そこにゾンビが寄って来たので、素早く離れ距離を取った。


 これで2人。

 他のメンツも各々がゾンビと戦っているか、事務所棟に侵入を試みている様だ。

 俺は人間と戦うには不向きな鉄の棒を捨て、右手にバット、左手にナイフを持って襲撃者へ走る。


 そしてゾンビの攻撃に合わせるように、襲撃者に近づきナイフで足を斬りつける。


「てめぇ! 汚ねぇぞ! ゾンビ共、邪魔だ!」


 そうそう。

 ゾンビが邪魔だよな。

 でも連れて来たのお前らだし。


 俺もゾンビを注意しながら、何度も同じことを繰り返した。

 地味に嫌らしいだろ? これ狩りでもやってたんだよ。

 獲物の機動力を奪うには、地味な攻撃を繰り返すのが基本。

 一撃で倒せる程、俺は強くないから。


 あまり同じ場所に居ると、ゾンビに囲まれるから移動を繰り返す。

 狙えそうなタイミングを計って、他の襲撃者にも攻撃。

 もう見るからにイライラしているのが分かるんだ。


 今の世界は食料を満足に食べられないから、体力がない奴が多い。

 俺は結構スタミナがある方なんだよ。

 1人で移動をして来たし、山で活動したおかげで鍛えられてるしな。


 そんな俺よりも、事務所棟の奴らの攻撃がエグイ。

 瓦礫をぶん投げてるんだよ。襲撃者に向ってさ。

 俺が提案したんだけど、あれ当たったら痛そうだわ。


 現に侵入しようとしていた男は血まみれだし。

 出血で動きが鈍くなってる。

 もう時間の問題だな。後始末はゾンビに任せればいい。


 俺は念の為、もう一度斬りつけた襲撃者に攻撃。

 動けなくなるのを見守ってから、一度兄妹の元へ帰った。

 

「ああ。疲れた。結局、奴らが何者か分からなかったな」


 2階の窓から襲撃者の最後を確認しながら、行き当たりばったりな作戦を反省する。

 今回はたまたま相手が馬鹿だから上手く(はま)った。

 でも組織的に動いてくる相手には通じないよな。


 冬になるまで、こう言う襲撃はまた必ずある。

 その時までにもっと色々考えないと駄目だな。


 全てが終わった後、必死にゾンビを駆除した俺は本当に疲れたよ。


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