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終末に向かう世界に希望なんて見つかるのだろうか?  作者: 早寝早起き
第5章:集団闘争サバイバル編
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違和感の正体

 稲垣達に連れられて古い工場へ到着。

 ここでキララ姉妹と会えるはずだ。

 俺は無口な男に案内され、建物内へ入って行く。

 稲垣は先に済ませる事があるそうなんだ。


「ちょっと何でよ! 何でキラリだけ閉じ込められるの!」


 案内された先に、叫ぶキララの姿。

 まぁそうなるのも仕方ないよなぁ。

 作戦の成否は未だに不明だし、明らかに情報が洩れていた節があるし。



「おいキララ。落ち着け」

「と、とうま。だってキラリが」


 俺の顔を見てホッとするも、明らかに気落ちした様子だった。

 純粋なのも良いけど、知らされてないとは言えこれじゃ困る。

 だから一度真剣に話す事にした。


「キララ。近くに話せる部屋を借りた。そこで聞きたい事がある」

「え? ん......分かったわ」


 キララも何か思うところもあるようだが、素直に俺に着いて来る。

 俺達が入った部屋は机と椅子があるだけだ。

 真面目な話をするなら丁度良いな。


「ま、待ってとうま。私、心の準備が」

「ああ。分かった。落ち着くまで待つ」

「ふ、ふ、はぁ~。よ、よし! 良いよ!」

「キララ。俺はお前の 『ちょっと待って!』 妹の事で?」

「ごめんなさい! 私、今はとうまの気持ちに答えられないの!」

 

 ......コイツ何言ってんだ?


 もしかしてだが、今のこの状況で自分が告白でもされるとでも?

 

スパァ―――ン!

 

 うん。イラっとしたから、軽く頭をはたくぐらい良いだろう。


「あほか! 状況を考えろ! 俺がお前に告白する事は無い!」

「へ? だ、だって真剣な顔で話したい事があるって言ったじゃない!」

「黙れ。何で死にそうになった後に、そう言う思考が出来るか分からん。話したい事じゃ無く聞きたい事だ。脳内で都合よく変換するな」

「ぶー。とうまのいじわる!」

 


 ......と冗談はコレぐらいで良いだろう。

 正直このノリはしんどい。

 それにもういい加減、騙されるのも飽きて来た。




「なぁキララ。演技はもう辞めようぜ」

「演技って何?」

「まぁ面白キャラも嫌いじゃ無いけどな。こっちは死にかけたんだ。これ以上ふざけるなら容赦はしない」

「怖いなぁ。その目。そ・れ・で? 何が聞きたいわけ?」


 やはりな。

 俺が市役所でキララ達を助けた際、妹のキラリの表情が印象に残っていたんだ。

 喜ぶわけでも無く、どちらかと言うと怖がっている様に見えた。

 

 確かにあの状況なら恐怖も感じただろう。

 でもこちらに視線をよこしたキラリの目は、何かを訴えていたんだよ。


「もう単純に聞く。お前何者だ? いやお前が黒幕か?」

「どうしてそう思うの? 私はレジスタンスのメンバ-で、キラリの姉なんだけど」

「そうだな。表向きは。キャラ作りは大変そうだがな」

「キャラって何よ。私は何時も普通に......」


 俺はここでキララに対して銃口を突きつける。

 本部に突入した時に拝借しておいたんだよね。

 

 さぁ。

 

 もう茶番は懲り懲りだ。



「もう一度聞く。お前は何者で、何が目的だ」

「......怖いわね。貴方本気?」 

「まさか殺せないとか思って無いだろ? 俺は生きる為なら女子供も区別はしない」

「はぁ。分かったわよ。ちゃんと話すから銃は下して頂戴」


「お前さぁ。自分の立場分かってる? 俺は自分の実力が分かってるから、この銃は下ろさない。お前と距離を空けている意味は分かるだろ?」


 

 キララは何か格闘技をやっていると俺は思っている。

 別に意識していた訳じゃないんだが、キララの身体の動きに違和感があったんだよ。

 たまに足音がしないしな。


 偵察時も感が鋭いと思っていたが、それ以上に動きが洗練されていた。

 上手く隠している様だが、訓練された人間だと思う。

 俺も気づくまで違和感も感じなかったんだけどな。



「私は黒田 希星(くろだ きらら)。元高崎市の市長、黒田 道夫(くろだ みちお)の娘よ」

「続けてくれ」

「妹は星凛(きらり)。父の無念を晴らす為警察官に......」


 ここからキララによる説明が始まった。

 かなり長い話だから要点だけ纏める。


 キララの父親は市長時代、権藤警察署署長と仲が良かった。

 しかし何かのきっかけで、父親が裏切られ失職の上死亡する事に。

 母親も後を追う様に自ら命を絶った。

 

 キラリは父親の死に疑問を持ち、大学卒業後警官になり、数年かけて権藤の内偵捜査に加わる。

 しかし証拠を掴む前に今回のパニックが起こり、捜査が進まなくなってしまう。

 このままでは父親の死の原因が有耶無耶になる。

 法では裁けないし、妹も立場上勝手な動きが出来ない。

 それなら妹を手伝って私が権藤を始末すれば良い。


 という事をつらつらと話したんだよ。


「経緯は分かった。だが肝心なお前の事を聞いていないんだが?」

「......やっぱり騙されてくれないかぁ。残念。私は強くなりたかったの」


 

 キララは物心ついた頃から父親が嫌いだったらしい。

 だから中学、高校と学校で問題を起こした。

 酒にタバコにドラッグ。手に入れられる物は何でも使った。

 警察に補導される事はあったが、何時も直ぐに釈放される。


 何をしても父親が揉み消してしまうからだ。

 最初は自分に注目してほしかった。でも父親はこっちを向かない。

 子供にはお金さえ渡していたら良い、などと思っている父親に反発したかった。

 高校を卒業したキララは、周囲の反対をよそに防衛大学校へ入学。


 様々な技術を習得して、陸上自衛官になった。

 ただ力が欲しくて入った自衛隊。

 それを得てしまうと、心にぽっかり穴が空いた。

 だから自衛官を退職。


 その後は、再び薄暗い世界に身を置く生活。

 しかし相次ぐ両親の訃報、そしてパニックの発生もあり意識が変わる。

 父親の事はどうでも良いが、母親が好きだったキララは怒りに震えたんだ。

 

 そこで裏の世界の人間と手を組み、復讐を行う事を決意した。

 表向きはレジスタンスの一員として。



「妹をどうするつもりなんだ? ここはお前達の拠点だろ?」

「そこまで分かるのね。マサルの知り合いなんでしょ」

「稲垣とは友人だが、敵になるなら戦う」

「そう。貴方って聞いていた話と随分違うのね」



 稲垣と別れた頃の俺なら、もう確実に生きて無いよ。

 今の俺は別人だと言うぐらい変わったと思ってるし。

 稲垣は見た感じあまり変わってなかったけどな。



「ある意味地獄を見たからな。今はその話は良い。質問に答えろ」

「妹は公安警察と離すつもり。アイツら勝手なのよ。私達に協力を要請しながら、裏では権藤と繋がっていたわ」

「じゃあ裏切者はカズヤ君か。それでこの後はどうするんだ?」

「勿論、潰すわ。権藤もカズヤ達も。貴方はどうするの?」


 

 そうキララに聞かれるまで、今後の事を完全に忘れていた。

 もう俺は関わる必要がない。

 元々拒否権無しに参加されられた様なものだし。


 それに公安警察にも嵌められた感もある。

 初めから信用は無かったんだろうけど、捨て駒みたいにされる(いわ)れはないんだ。


「そうだなぁ。今の所何も考えて無い。稲垣と話はしたいけどな」

「じゃあ彼に貴方の事を頼もうかしら。戦力的に欲しいのよね」

「それは遠慮したいな。怖い女も苦手だしな」

「残念。気が変わったら教えて」


 俺はここで銃を下ろす。

 信用はしていないから、一定の距離を保つけどな。

 俺はそのまま部屋に残り、稲垣を呼んで貰う事にした。


ガチャ。


「よう。うちのリーダ-と話はついたか?」

「まぁあな。あの手の女と関わりたく無いけど」

「あの人は凄いんだぜ? 俺も助けられた1人なんだけどな」

「離れた後に何があったか、教えてくれるんだろ?」


 ここからは稲垣の話を聞く事になったよ。

 お互い突然の事だったし、俺の話は後でするけどな。


 まぁここで、驚きの事実を知る事になるんだけどさ―――


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