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終末に向かう世界に希望なんて見つかるのだろうか?  作者: 早寝早起き
第5章:集団闘争サバイバル編
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何が真実なのか?

 今回の作戦は、至極単純。

 だけどハッキリしているのは、無茶を通す必要がある事だ。

 監視を掻い潜り、高木、権藤まで辿り着かなければ失敗。

 当然、生死がかかっている。

 どこまで内通者であるキラリが、敵の内部情報を得ているのか?


 俺は作戦当日になっても不安が拭えなかったよ。

 

「では事前の打ち合わせ通り、とうまさんは単独で行動してもらいます」


 どこまで信用されているのか分からないが、俺は撹乱(かくらん)を主として作戦に参加するんだよ。


 敵の本丸にはカズヤ君達、公安警察が突入する。

 まぁ俺は部外者だから、そこは任せたいので異論は無い。

 現在、高崎市内を移動中。


 事前に打ち合わせたルート上に敵はいない。

 巡回のルートを事前に把握しているが、情報に誤りは無かった様だ。


 俺はこのまま敵本部から離れた場所で騒ぎを起こす。

 出来ればゾンビを誘導して、敵にぶつけたいところ。


「さぁ。ここらで始めようか」



ヒュ―――ン!



バァ―――ン!



 俺はロケット花火をセットし、空に向かって打ち上げる。

 撹乱(かくらん)するにあたり、俺の意見を採用する事になったんだ。

 1番目立つしな。花火が手に入るかが問題だったが、運良くマンション上階の一室で見つかったらしい。



 無ければ連絡用の照明弾を、使う必要があったので助かったよ。

 権藤なら照明弾でこちらの正体が分かるだろうし。

 

 響いた破裂音は、ゾンビの集団と巡回の男達を呼び寄せた。

 一体何処に隠れていたのか、至る所からゾンビが出てくる。

 こちらに向かってくる男達の足止めも出来ているし、この場所での仕事は成功だな。


 俺はここで準備していたロケット花火に着火。



ヒューン! ヒューン! ヒューン!



パァーン! パァーン! パァーン!


 

 発射された花火が男達のいる付近で破裂。

 その音で大量のゾンビがそちらへ向かう。

 それを確認した俺は直ぐに移動を開始。


 次の作戦ポイントへ指定されたルートを進む。

 ここまで順調だと、逆に不安なんだよな。

 

 俺は自分の感覚を信じ、周囲を探る事を怠らなかった。

 すると......おかしい。


 本来なら公安の部隊を援護するはずの人員の姿を確認。

 これがただの監視なら、俺が信用されて無いだけだが。


 あまり不自然な行動は出来ないので、ルートを守りつつ進み続けたんだ。






◇◇◇






 俺は次のポイントでも同様に花火を打ち上げ、敵グループの足止めを成功させた。


 そろそろ本隊が敵本部へ突入を開始したはず。

 これだけ騒げば権藤の部下以外は浮き足立っていると思う。


 所詮は訓練も受けていない素人だしな。

 ゾンビに囲まれた敵グループも無事では済まないと思うし。

 自分で誘導しながら、エグいやり方を選んだものだ。

 監視があるから手は抜けないんだけどな。

 明確に敵対されて無い相手だから、思う所がない訳じゃないんだよ。

 

 撹乱が無事に終わったので、最後のポイントへ向かう。

 そこは失敗した時、逃げる為に使う抜け道なんだ。

 安全に移動出来るようにゾンビの排除が目的。


 状況次第で俺も本部へ向かいたいんだけどさ。

 監視が俺に張り付いてるから鬱陶しい。

 そんな暇があるなら、本隊を手伝えば良いのに。



パァーン! パン! パン!


 

 移動する俺の耳に拳銃の発射音が聞こえる。

 時刻は午前1時30分。

 予定よりもかなり遅い。



「トラブルか? どうするべきなんだ?」


 

 予定が狂っているなら、失敗の可能性が高い。 

 なら助けに向かうより退路の確保に動くべきなんだよ。

 これが普通の作戦なら。


 でも俺が取った選択は、敵本部へ向かう事だった。

 嫌な予感がするんだよ。

 

 急に方向を変えた俺の周囲に、監視者達が集まってくる。

 行かせない気かよ!


 この作戦は何かおかしい。

 俺は監視の追跡を巻く為に、ビルやマンションへ入りながら移動する。

 

 本部に近づくに連れ、更に俺の予感が現実になって行くんだ。

 侵入者があったはずなのに、警備の人間がそのまま配置されている。


 普通なら慌てふためくはずだろ?

 どっちだ? どっちが裏切ってる?

 俺は市役所正面から突っ込んだ。


 その方が警備の動きが狂うはず!



「オラァ!」


 

 一瞬怯む相手をバットで横なぎに払う。

 直ぐに応援が来るが遅いっ!

 俺は敢えて向かってくる相手へ走る。


 そのまま手前へスライディング。

 股の下を潜り、急所へナイフを突き立てた。



「ギィヤァアア⁉︎」


 

 俺は振り返らず上階を目指した。

 やはり反応が鈍い。

 本来、先に侵入があれば、もっと警戒してるだろ?


 こんな脆い筈がないんだよ。

 一体何なんだこれ?

 俺を騙したのか? 意味が分からない。


 俺は走りながら今の状況への対応を考える。

 どうせこのままなら、俺は捕まる。

 そうなれば生きて帰れないだろう。


 だけどそのつもりなら、最初から俺を本部へ向かわせたら良かったんだ。

 なら何で揺動(ようどう)などさせるのか?



 ......ん? 前提がおかしいのか?


 

 俺は今の状況を公安警察の仲間割れだと考えていた。

 どちらかが裏切り、権藤達へ情報を売った?

 いやそれなら動く前に潰せただろ。


 あっ⁉︎ 予想外の展開か。

 ヤバいな。

 思惑無視で突っ走る奴が1人いるじゃん!


 俺は囲まれない様に右へ左へ進路を変えながら走る。

 いちいち相手にしてられないが、相手も必死。

 でも階を上がると、厄介な奴らが出てくる。


 ちっ! 警官だ。

 格闘は無しだ。接近したら投げられる。

 くそっ。流石にプロは違う。



パン!


 

 え? 誰が援護を?


「とうま! そのまま走れ! ここは任された!」

「おまっ......何で此処に⁉︎」



 まさかの人物からの援護に、思考が止まりそうになる。

 俺は話したい衝動を必死に抑え、前に進む事を優先したんだ。


 生きてたよ!

 良かった。

 本当に良かったよ。稲垣。


 稲垣が外部協力者だと知っていたら、別の動きも出来たのに。

 個人情報の保護なんていらないっての。

 

 馬鹿のキララを確保したら、絶対後で合流しよう。

 気合いの入った俺は、一切止まらず走り続けた。






◇◇◇





 情報通りなら、間も無く高木や権藤のいるフロアだ。

 


「キラリを離しなさい!」

「無駄な抵抗は辞めろ! 全く余計な手間をかけやがって」



 俺は声の方へ走ったが、やっぱり居たよ暴走娘が。

 アレが高木か?

 少し小太りな男が、キララとよく似た女性を羽交締めにしている。


 その前で銃を構えるキララ。

 それを囲む様に距離をつめる制服警官達。

 カズヤ君達は権藤の方か。

 

 選択を迷ってる時間はもう無い。

 なら此処はこれしか無いだろ!



「キララ! 目を閉じろ」



パァ―――ン!


 

 激しい閃光がフロアに走る。

 俺が作戦終了時に使う筈の閃光弾を撃ったんだ。



パン! パン!



 そこに2発の銃声。



「ぐぁああ」


 

 撃ったのはキララだ。

 俺は肩を押さえ唸る高木を蹴飛ばし、キラリとキララを確保。

 強引に警官の包囲を突破した。



「キララ! このまま妹を連れて走れ! 俺が警官を引きつける」

「わ、わかった!」



 俺は急停止し、腰からナイフを抜いて警官へ投げる。

 勿論、当たらないが、怯んだ所をバットで殴りつけた。



「貴様! 先にこいつを取り押さえろ!」




パァーン! パァーン!



 突然鳴り響く銃声。

 俺の目の前で警官が倒れる。

 呆気にとられる俺に、声をかけるのはアイツだ。



「全く。詰めが甘いぞ。とうま。変わって無いなぁ」

「ははは。稲垣が何時もタイミング良すぎるんだよ」

「まぁな。積もる話もあるが、時間は無さそうだ」

「ああ。今はとにかく逃げるべ」



 俺達のいるフロアへ、次々と足音が近づいて来るんだよ。

 俺と稲垣は苦笑いした後、一緒に駆け出した。

 持つべきものは、やっぱりずっ友だ


 稲垣は俺を誘導する様に前を走る。

 どうしよう。キララ達が気になるよ。



「とうま! 俺の連れが、さっきの子達を保護してるはずだ! だから気にせず走れ!」

「了解だ!」



 全く。ヒーローかよ。

 俺の考えなんて、丸わかりなんだよなぁ。

 どうしても顔のニヤケが治らん。


 稲垣は俺の知らないルートで市役所を出ると、そのまま待機していた車へ向かう。

 俺も考える事を辞めて、それに続いたんだ。


 車の中には知らない男達。

 稲垣の知り合いみたいだな。

 車内は未だ緊迫した空気だから、俺も喋らず静かにする。


 何処へ向かうんだろう?

 車は高崎市の外へ進路をとる。

 そしてそのまま出入り口へ突っ込んで行った。


 バリケードをぶち壊し、ブレーキもかけなかったよ。

 俺は絶対顔が引き攣っていたと思う。

 心臓はバクバクだよ。



 そのまま30分ほど走り続け、到着したのは古ぼけた工場だった。



「悪いなとうま。此処が俺達のアジトなんだ」

「そうか。ちゃんと色々聞かせてくれるんだろ?」

「ああ。その前にご対面があるけどな」

「そうだな。ちょっとあのアホに説教しないと」



 車は敷地内へ入り、シャッターの閉まった建物の前で止まる。

 

 さて。


 どう言う事か、聞かせて貰おうか―――

 

 

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