表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/151

ファッ〇ン!クソヤロ-共!

ドォ―――ンッ!



 テント内の人影が倒れる。



「終わったか。全く用心の為とは言え、後藤達も容赦ないのぅ」

「まぁ一応は技術を教えた弟子ですからね。最後の介錯ってやつでさ」

「ふぃ。しかしこの辺りは獲物が豊富じゃ」 「狩り放題ってか?」

「おいおい。ちゃんと()()な獲物の最後も確認してやれや! アハハ」

「それもそうだな。ついでに物資も使ってやろうじゃないか。なぁ諸君?」



 町長、後藤、斎藤、金城、新垣。

 クズ共が揃いも揃ってやって来た。

 ああ。良かった。


 遠慮はいらないな。




ドパ―――ンッ!




 歪んだ顔でテント前に集まる5人が、撃たれた衝撃で地面に倒れる。

 流石だよ散弾銃さま。射線にさえ入れば当たる。

 わざわざ集まってくれてありがとう。



「何だ⁉ 痛っ⁉ あ、足がぁああ!!」

「ぐっ! さ、散弾か⁉」 「ちぃ! 膝やっちまってる」

「おい後藤! ちゃんと仕留めとけよ!」「......く、来るぞ」


 

 俺は汚物共に近づく。

 こいつらみたいに油断はしないけどな。

 呻いて転がってるから、大丈夫そうだけど。

 


「無様っすね。自分達が育てたくせに、弟子の実力も測れない」


 

 クズ共が睨んでくるけど、全く怖くない。

 反撃されない様に武器を取り上げ、1人づつ順番に移動させる。

 ずりずり引き摺って、深く掘った穴へ蹴落とす簡単作業だ。

 その際に何か叫んでいるが、耳栓してるから聞こえない。

 ちゃんと耳栓しないと、鼓膜が破れるんだぜ?

 聞く気もサラサラ無いけどな。


 


 全員落としたら、優雅にコ-ヒ-ブレイクだ。

 勿論、穴の見える場所に椅子を置いて。

 醜いジジイ共では景観が悪いけどな。

 


「ふぅ。外で飲むコ-ヒ-が旨い」

「き、貴様! 私にこんな事をして、許されると思ってるのか!」

「うるさいよゴミの親玉さん。殺されないだけマシなのわかんないの?」

「うるさい! 早く出して治療しろ!」


 

 ギャアギャアうるせえし。町長って醜い性格の割に、打たれ弱すぎでしょ?

 許されるって? 誰が誰にだよ? お前は神か? 気持ち悪い。

 師匠達はだんまり。悔しくて何も言えないか?  

 ああ。目だけは感情を隠せないみたいだな。

 怖い怖い。

 


「師匠......って呼ぶのも何か嫌だな。殺しに来た相手だし」

「ど、どうやった? テント以外に人の気配は無かったはず」

「苦労したんすよ。ゾンビの生け捕り。テントに入れるのも嫌でしたけどね。気配は頑張って消しました。以上」

「ワシらをどうするつもりじゃ? 殺しも出来ん若造」

「ええ。アンタらの様なクズを相手に、自分の手を汚すのもどうかと思いましてね。なら任せようかと」




 本当に追ってきたら......って考えて準備して来た。

 この期に及んで、まだ何かを期待していた俺。

 未だに謝罪すらないゴミしか居ないのにな。



 町で後藤と町長が話している時、後藤は俺の事を気付いてたんだよ。

 一般人とは違い、罠師だから気配に敏感だし。

 だから移動する際に、俺は敢えて痕跡を残してきた。


 足跡も消さず、火の後もそのままに。

 何時まで経っても上達しない半人前ってね。

 まぁそれでも慎重だった後藤には、残念賞を差し上げるけど。

 俺に誘われてるのが分かっていたから、遠距離から狙撃したんだ。


 でも周囲に色々な臭いをばら撒いたら、慎重な人も騙されてくれましたけども。

 息を潜めて銃を構えてる間は、何時こっちが撃たれるか分からないからヒヤヒヤしたけどね。

 


 でもさぁ。いくら俺を舐めててもさ。

 全員が何の警戒も無く集まったらダメでしょ。

 油断しすぎだわ。

 

 侮ってくれたおかげで、最高の結果が出たけどさ。

 俺の射撃が上達しないからって、散弾銃を渡したの後藤達なのに。

 そんな事も忘れるぐらい興味持たれなかったのか?

 

 ......はぁ。

 ここまで馬鹿にされても、殺すつもりで銃は撃てないや。

 情けないなぁ。



「オ、オイ! 聞いてるのか貴様! 早く助けろ!」


 

 さて。

 先にテントを片付けて......ってゾンビ邪魔だなぁ。

 イラっと来て穴に投げちゃったよ。

 何かわぁわぁ聞こえるけど気のせい気のせい。


 散弾って身体に残りやすいみたいだから、血が止まらないと思うんだよね。

 早く治療しないと、死んじゃうかもな。

 まぁ下半身の何処かにしか弾は当たってないし、簡単には死なないでしょ。

 腕だけで登れたら逃げられるかも? 間に合えばだけど。

 

 急がないと生きている事が地獄になるぞ。



「じゃあ俺はこれで。頑張って勝手に脱出してくださいね。あっ。この辺りゾンビ多いので早くした方がいいですよ。って知ってますよね? アハハ」



 俺がその場を立ち去る際、大声で叫ぶ町長の声にゾンビが集まり出していた。

 都市が近いからゾンビの数も多いんだよね。やだやだ。


 結末まで見ても良かったけどさぁ。

 正直に言って、もうそこまでの興味も無くなった。

 望んだ結果なのに、達成感が湧かないんだよ。

 準備している時は、あんなに気持ちが充実していたのに。


 復讐心? 

 そうだな。今回はあちらが本気で俺を殺しに来た。

 テント内のゾンビは、頭を撃たれていたし。

 俺自身は怪我もしてないけど、見つかれば殺される。

 だから撃った。急所を撃てないヘタレだけどな。


 まぁ俺自身が手を汚すより、始末を殺しの専門家(笑)に任せるみたいな?

 ゾンビってそう言うの得意でしょ。

 

 川越町の住人については、何も思っていない。

 子供達も含めて、どうでも良いだろ。

 今後の事なんて興味が無い。


 ああ。

 追われた時の対策で、数十体のゾンビを町方面へ誘導したの忘れてたわ。

 まぁその位の数に襲われても問題ないでしょ。

 皆に慕われるイケメンさんが居るんだしな。

 それ以上の集団になってたら、ごめんなさいって事で。

 ファッ〇ン! クソヤロ-共! 


 

 さてさて。

 囲まれる前に俺も移動しますかね。







◇◇◇


 

 

 


 

 丘の上からは近く感じていた街も、歩いたら遠いんだなコレ。

 ゾンビも多いし。誰も戦って無いのか?

 俺だってドラマみたいにカッコ良く相手には出来ない。


 1年近く経って脆くなったゾンビだから、1対1なら無理なく倒せるぐらい。

 あんまり数が多くなると、今の俺でも直ぐに捕まるよ。

 銃は持ってるけど、残弾無いしな。


 今撃ったらゾンビの大群を呼んじゃうから、絶対に撃てないんだけども!


 ぶつくさ言いながらも足は止めず歩く。


 結局、2時間も掛かったよ。

 それだけ頑張って、何故に人のいる都市へ来たのか?

 山での生活はお気楽で自由。

 毎日がキャンプで飽きる事は無い。

 

 そんな夢の様な生活だったんだけどさ。

 どうしても我慢できない事案があるんだ。

 夜寝れないんだよ! 耳元でブンブン、ブンブン!

 虫には慣れたけど、蚊だけは無理なんだぁあああああ!


 はぁはぁ。

 奴らから逃れるには、建物に入るしかないだろ?

 そして絶対見つけるんだ。蚊取り線香を。

 〇鳥のやつカモン!

 

 そういう訳で桜井市に入った訳だが、パニックから1年足らずで都市機能を失った感じだ。

 緑の多い都市だったのか、伸びた枝が建物にまで及んでいる。

 誰も手入れする人間が居ないしな。


 このままだと、都市全体が植物で覆われるかも知れない。

 なんかそう言うアニメか映画を見た事ある気がするけど。

 題名がちょっと思い出せない。何だっけ?


 まぁいい。

 大通りから進み、付近の建物をチェック。

 通り沿いのお店関係は、1階部分が全滅だな。

 何処もかしこもガラスは割られ、商品棚も倒れて散乱。


 期待していなかったから、特にガッカリもしないけどな。

 無理に探索はせずに、身を隠せる場所を探す。

 当たり前だが、ガラスが割れていない場所を優先だ。


 

 ん?

 俺は目線の先にある建物に足を踏み入れる。

 まるで探し物を見つけた様に。

 これで動かなければ気のせいで済む。

 果たして......。




ガサッ。




 居る。

 何かは分からないが、視線はずっと感じていた。

 何者だ? 姿勢を低くして気配を探る。




タッタッタッ。




 何だ? この素人丸出しの動き。

 囮か? ならば他にも居るのか?

 俺は獲物になるつもりは無い。

 半人前だが、猟師なのだから。


 相手の動きを読み、居るであろう場所へ移動。

 無言で相手の後ろへ近づき、そのまま頭に銃を突きつける。


 

「動くな。妙な動きをしたら撃つ」

「......ま、待って下さい。う、撃たないで」

「そのまま両手を挙げて跪け。抵抗したら......す」

「ひぃ⁉ た、助けて」



 両手を頭の後ろで組ませ、武器を探す。

 おいおい。何でこんな物持ってんの。

 拳銃って。

 散弾銃持ってる、俺が言うのもおかしいけどさ。



「先ずは俺の質問に答えろ。お前は誰で、何故拳銃を持ってる?」

「わ、私はエンドウと言います。桜井市の住民です。け、拳銃はゾンビから盗りました」

「へぇ。まぁ安全装置も掛かってるしな。で? 何故俺を狙った?」

「ね、狙ってなんていません! 今も貴方にいきなり襲われて」

「黙れ。そう答えた時点でお前は敵でしかない。俺は誰も信用しないが、噓つき野郎は許さない」




ゴツン。




 散弾銃の柄で後頭部を殴り意識を奪う。

 手加減は出来ない。しないんじゃなくて出来ないんだよ!

 喧嘩もした事無かった俺に、手加減なんて高等テクニックがある訳無い!

 意識が奪えたことが奇跡。ちゃんと息はしているからオッケ-。

 グッジョブ。



 拳銃は回収したが、予備の弾も持ってない。

 俺にも必要は無いけど、撃たれても怖いからな。

 ただ銃は重いから、持ち歩くのが大変なんだけど。


 気を失った不審者エンドウは、只の素人の様だ。

 特に身元を証明する様な物は持ってない。

 名乗った名前も多分偽名だろう。

 これ以上無駄に関わる気は無いので、置き去りにして移動。

 


 外へ出ても嫌な視線は感じない。


 前から想像はしていたが、実際に拳銃を持った奴がいた。

 警官がゾンビになったんだろうけどさ。

 興味が無ければ、使い方も分からないはずなのにな。


 夢は壊したく無いけど、警官が使う様な拳銃はゾンビには通用しない。

 威力が低いし装填できる弾数も少ないし。

 俺みたいにバットか鉄パイプで殴る方が効率良いよ。


 映画やドラマの中なら、主人公がカッコ良く撃つんだろうけど。

 現実はそんなに甘くないっす。

 戦うのに格好は必要無いって理解しないと死にます。


 まぁでも。

 1年経つと秩序もモラルも完全に崩壊か。

 人が人を襲うのが当たり前の都市ってか?


 気をつけないと足元をすくわれそうだ。

 俺は目立つ行動を避け、拠点となる場所を探し彷徨う。

 嫌な事全てを忘れる為に―――

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ