表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤翼のワイダー  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/25

第17話:魔力修行と老人魔導師ザックル


 村の老人たちは、三人に強く頼み込んだ。

「頼む……しばらくこの村にいてくれんか」

 若者がいなくなったこの集落にとって、三人の存在は希望のようなものだった。

 山の上から生き延び、魔石を持ち、ワイバーンを従える少年少女たち。

 そんな者たちがこの村に来たこと自体が、奇跡のように思えたのだ。

 アリュウたちは顔を見合わせた。

 山の上の村には帰れるが、ここにはザックルという魔石のことを知る人物がいる。魔力の扱いを学ぶには絶好の機会だった。

「……じゃあ、しばらく世話になります」

 その一言で、村は大騒ぎになった。

 その夜、小さな歓迎会が開かれた。

 豪華とは言えないが、村人たちは保存していた肉や野菜を持ち寄り、焚き火の周りに集まった。

 老人ばかりの村に、久しぶりの賑やかな声が響く。

 そして、三匹のワイバーン――アルフェリス、ブモー、スノウィルも大人気だった。

 子どものように目を輝かせる老人たちに囲まれ、ワイバーンたちは少し得意げだ。

 アルフェリスは胸を張り、ブモーは翼をばさばさ動かし、スノウィルはちょこんと座って首を傾げる。

「触ってもいいのかの?」

 恐る恐る手を伸ばす老人。

 アルフェリスは少し考えた後、鼻先を近づけた。

「おおお……温かい……!」

 その瞬間、村中に歓声が広がった。


 翌日から、魔力の特訓が始まった。

 ザックルの家の裏には、小さな空き地がある。そこが修行場となった。

「まずは呼吸じゃ。魔力は息と共に流れる」

 ザックルは杖を地面につきながら言う。

 話を聞くと、ザックルは若い頃、王都の魔法師団に所属していた魔導師だったという。

 老いて村に戻り、静かに暮らしていたが、その知識は今でも確かなものだった。

 三人は武器に魔石をはめ込み、集中する。

 何度も、何度も、魔力を流そうと試みる。

 最初はまったく反応がなかった。

 だが数時間後――

「……光った!」

 アリュウの剣先が、バチッと小さく弾けた。

 黄色の魔石がかすかに輝き、剣に電気が走る。

 まるで冬の日の静電気のような、小さな火花だった。

 しかし確かに、帯電していた。

 シリューとユウが目を丸くする。

「やったじゃんアリュウ!」

「すごい!」

 だがザックルは腕を組み、静かに首を振った。

「うむ……確かに成功じゃ」

 三人の顔が明るくなる。

 しかしザックルは続けた。

「だが、それではまだ1割にも満たん」

「え?」

「魔力の流れが粗い。力の9割が無駄に散っておる」

 三人は固まった。

 あれほど集中し、やっと出た火花が、まだ一割以下。

「魔石は本来、雷を剣にまとわせるほどの力を持つ。今のお前のは……まあ、冬のドアノブじゃな」

 ザックルはニヤリと笑った。

 悔しさと、驚きと、興奮が三人の胸に混ざる。

「つまり……」

 アリュウは剣を握り直す。

「もっと強くできるってことだよな」

 ザックルは満足そうに頷いた。

「その通りじゃ。魔石の力は、お前たちの想像より遥かに大きい」

 空ではアルフェリスが旋回し、ブモーが翼を広げ、スノウィルが小さく鳴いた。

 三人は再び剣と弓を構える。

 本当の魔石の力を引き出す修行が、今まさに始まったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ