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第1話 記憶と決意

人類が築いた文明、歩んできた軌跡 、建築物、生活。それらは一瞬のうちに無慈悲な白き閃光に飲まれ,いつまでも続くと思われていた日常は瞬きの間に崩れ去った。


超大規模災害「量界化」

それは一瞬にして世界の半数の生物を白色で理性を持たぬ怪物に作り替え、土地や建築物をも冷淡な白に染め上げた。


それだけにとどまらず、この厄災は今もなお少しずつ世界を蝕み、世界中に「量素」というエネルギーを吐き出している。


量素。それは人類に与えられた希望なのか それとも、、、、、、、、





[ここは、どこ?」

少年は見知らぬ土地で一人、そう呟いた。

足に力をこめる。


立てない。


次の行動を脳に入力しようとした刹那、世界が白く染まる。


なにも、できない。とにかくにげなきゃ、はやく、はやく、はやく、はやく、、、、、、

「―-ド!」


何かが聞こえる

「ーーーモナド!」

俺の名前?


「お、き、ろ!モナド!」

それが怒声であると理解すると同時に頭に衝撃が走る。


「~~っつーっ!」


頭をさすりながら、モナドと呼ばれた青年はベッドからむくりと起き上がる。


そして先ほど受けた衝撃の行為者に向けて精一杯の反抗を試みる。


「ばあちゃん!起こしてくれるのは助かるけど、フライパンでどつくのやめてくんない?マジで痛いから。気持ちも頭も凹んじゃうから。暴力反対!」


寝坊した上、口答えまでしてきた青年に対し、老いて尚屈強なシルエットの女性は言い返す。


「それはお前がいつまでも寝こけてるからじゃろ!仕事に遅れちまうよ。叩き直すのは頭じゃなく根性だったみたいじゃのう。馬鹿者が。次はないと思え?」


明日からは寝坊しないようにしようと決心した青年に、彼女は声をかける。


「随分とうなされていたが、また例の夢かい?」


怒気の後、急に心配をのぞかせた彼女に青年は言葉を返す。

「ああ、いつものやつだよ。白い夢。ごめんばあちゃん。寝過ごして悪かった。すぐに仕事に出るから朝飯頼むよ。」


青年は顔を洗い、食卓に着く。


今日はフレンチトーストだ。

口の中に広がる甘さが一日の活力を与えてくれる。


もぐもぐと幸せそうな青年を尻目にばあちゃんと呼ばれた女性が尋ねる。


「試験まであと1ヶ月じゃろ?学費はもう十分に稼いだじゃろうに。仕事ではなく勉強に精を出した方がいいのではないか?」


フレンチトーストをココアで流し込み、青年は答える。

「勉強の方は大丈夫だよ。学費は十分だけど、、、、、、、もう少し稼いでおきたいんだ。」


少し間があった気もするが、静かにそう答えた青年に対し、彼女は「そうかい。」と一言もらすだけだった。



この青年の名はモナド・ニューフィスト。

18歳。黒髪で白いメッシュが一本。瞳は黒に近い灰色、身長は平均ぐらい。見た目ではそんな風に見えないが、結構筋肉質である。


彼には記憶がない。12歳の時に記憶喪失になったらしく、さらに周囲に誰もいなかったためどこに行けばいいかもわからずやっとの思いでたどり着いた村でばあちゃんことキリカ・ニューフィストが面倒を見てくれることとなった。


そんなこんなで6年の月日が過ぎ、彼には目標ができた。それは、学園に入ることである。


理由は一縷の記憶だ。


彼はキリカから聞いた量界化の概要が頻繁に見る夢と近しいと思い、量界化について調査しようと考えた。


100年前だから自分とは無関係だと思いつつも唯一自分についての手掛かりとなるかもしれないものをモナドは無視できなかったのだ。


量界化した土地に踏み入ることができるのは学園で優秀な結果を残したものだけが入ることができる量界調査隊だけなので、彼は隊に入るための第一歩として学園への入学を望んでいた。


とはいえ、学園へ入学できるのは一握りの優秀な人材だけ。問題は山詰みであった。


朝食を食べたモナドは仕事場に向かいつつ今日の依頼をまとめる。

「マルリさんの家に荷物を、、、、、あとペンキを塗って、、、、、して、、、、農作業で、終わりか。よし!まとめ完了。」


ほっぺをパチンと叩いて気合を入れ、作業を始めようとしていたところに水が差される。


「おっと!学園志望のミニマムくんじゃないかぁ~。今日も、無駄な努力、ご苦労サーマ!」


ぽっちゃり体系の偉そうな男がおどけた口調でモナドを茶化す。


この男はオナカ・タルンデルン。村長の息子で、いつも偉そうにしているやつだ。


(やる気満々だったのに、、、嫌な奴が来たな、、。もう慣れたけどね。)


モナドは少々鬱陶しいと思いつつ、特に何を返すでもなく作業を再開した。


無視されたことが気に食わなかったのか、オナカはさらに言葉を吐く。


「ミニマムくんは量素適合率もプログラムの数もお粗末だもんな~。脳みそもお粗末で返す言葉が見つからないんだろ!学園はそんなお粗末野郎の行くとこじゃねぇっての!」


「、、、、、、」


それでもなお黙って作業をしていると、呆れたのかオナカは去っていった。


(まぁ、アイツがいうこともあながち間違いじゃないんだけどな。)


そう。学園への入学の問題は金や学力だけではない。


学園の入学試験は筆記30%、量素試験70%なのだ。つまり、試験で合格するには量素の扱いに長けていることが必須なのである。


「量素」それはかの災害で世界中にばらまかれたものだが、生き残った人類は災害の直後、量素に適応した。

なぜか力の使い方が分かるようになったのだ。


その量素を媒介として発揮される力が「プログラム」である。


プログラムは量素を用いて事象を起こすというもので、火の玉を飛ばすという事象をしっかりとイメージすれば、酸素や可燃物、推進力といった起こしたい事象に必要な素材やエネルギーなどの過程を量素が吹っ飛ばし、火の玉が飛んでいくといという事象のみが空間に現れるのだ。


プログラムには属性があり、どの属性が使えるかは人それぞれだ。


火、水、地、風、木が主な属性だが、まれに希少な属性を持つものもいる。また、使える技の数も人によって異なる。


プログラムというのは生まれたときに使える数が定まっていて、平均は6個程度である。


オナカの場合、〈火量素〉「ファイアボール」「ファイアウォール」「インクリーズファイア」「ブースト」「バレット」「ファイアチェイン」の六つである。平均なのに威張れるのは逆にすごい。


また、このようなプログラムの個数を決めたりしているのが量素適合率である。


人類は量素に適合したとは言え一度に体内に入れられる量素の量は決まっている。


適合率が高ければ高いほど量素による肉体強化、プログラムの質、手数の多さなどが変わってくる。簡潔に言えば、適合率が高いと強いのだ。


つまり、学園の量素試験というのは適合率を測り、生まれ持ったプログラムをどこまで使いこなせているかを試すというものなのである。


ここで話をモナドに戻そう。

彼は仕事しながら勉強もしているので学力は問題ない。ただし、プログラムの数が最低値。〈地量素〉「ガントレット」ただ一つなのだ。


平均以下、それも最低値。学園を目指すモナドは同年代からはミニマムと馬鹿にされ、村の大人には時間の無駄だと嘲笑する者もいる。


しかし、モナドはめげなかった。応援してくれる人もいたし、何よりキリカの存在が大きかった。


初めてキリカに学園を目指すと伝えたとき、彼女は言った。


「プログラムが一つだけのあんたがかい?そりゃ厳しいね。やめたほうがいい。無理だとわかっていることに何年もつぎ込むのは馬鹿者がすることじゃからな。」


予想していた通り厳しい言葉を返されたモナドは言葉を返そうとした。だが、それは彼女の言葉で遮られる。


「じゃが、あんたは馬鹿でも私は違う。その目を見ればわかる。本気なんだろう?ならあたしは全力でサポートさせてもらうよ。子供の夢を応援しない親なんていうのはとんだ大馬鹿者だからね!」


キリカはそういってモナドの頭をなでた。


その日から勉強、プログラムの使い方、世の中の事などを真摯に教えてくれた。


モナドは知っている。試験のお金や入学金がキリカから聞いた3倍かかることも、影でモナドに降りかかる悪意を防いでいることも。


そんな強く、厳しく、何より優しいキリカに報いるためにもモナドは試験への決意を固める。



そして、1ヶ月は風のように過ぎていった。









初めまして。外街不義と申します。

小説を書くというのは初めてのことで右も左もわからない状態なのですが、読んで面白いと思えるような作品を目指して努力していきます!モナドくんとともに私も成長しますので、これからもよろしくお願いします!

次回からは試験編です。

戦闘描写もガンガン入れていきますので、次回からが書きたい!ともっていた内容です。モナド君の行く末を見守っていただけると幸いです。


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