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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第一章:一番星
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第20話:先輩とお泊まり④

「先輩、もしかして好きな人出来ました?」

私がそう尋ねてから、少しの間沈黙が流れた。私は恐る恐る先輩の方を見る。

「出来たって言ったらどうする?」

「どうするって…」

応援します。という一言が言えない。先輩にとっての私はただの後輩で止まっている可能性が高い。ほぼ100パーセントの確率で、先輩の好きな人は私以外の誰かだろう。

「ごめんね。困らせるようなこと言って。」

そのあとにでも…と先輩が続ける。

「今は恋愛はするつもりないかな〜。すっごい良い人が現れたら話は変わるかもだけど。」

一瞬ほっとした。先輩が他の誰かのことを好きになったと言ったら私はどうなっていただろうか。別に先輩が悪いわけじゃない。でも、心の奥底の隅で先輩のことをほんの少しだけ責めそうになった自分がいた。

「じゃあ…私がその“良い人”になって見せます。」

私は先輩に聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。

「なにか言った?」

「いいえ、なにも。」

私はそういうとさっきまで握っていたコントローラーを握り直した。

「先輩、もう一回しませんか。」

「お!良いね!やろやろ!」

さっきとはお互い違うチームで試合を始めた。さっきは2試合とも先輩が勝ったから、次は私が後攻でやらせてもらった。終盤に追いつかれたが、最終回にサヨナラで試合を決めた。

「やった!勝てた。」

私は小さくガッツポーズをした。ゲームではあるけど、先輩に勝てて嬉しかった。

「いや〜惜しかった〜!」

先輩はベットに転がって悔しそうにしている。

「緩急とかつけたり色々やったんだけどな〜。」

「なんだか今日の先輩、ずっと元気ですね。」

先輩は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔になって。

「だってお泊まりするの久しぶりなんだもん。」

先輩はいつのまにか体を起こしている。

「どうする?まだ日付も変わってないけど。」

壁の時計に目をやると23時46分を指していた。普段ならもう寝ている時間だから少し眠たいが、まだ余裕で起きていられる。

「先輩は普段この時間は起きてるんですか?」

「日によるかな。宿題とか、勉強の捗り方次第って感じ。」

先輩の部屋にはベランダが付いている。私の部屋はベランダがないから少し羨ましい。

「この部屋ベランダあるんですね。なんか羨ましいです。」

「そう?そんなにベランダあってよかったって思うことないけど。でも、夜眠れないときにはベランダに出て星を見るから、それができるのはいいかもね。」

「ロマンチックですね。眠れない夜に星を眺めるなんて。」

私がそう言うと先輩は立ち上がってベランダの方へ歩いていく。

「まだ流星群は見れないけど星見る?」

「はい!」

少し寒いと先輩が言うから、カバンからパーカーを引っ張り出した。


ベランダに出るとたしかに結構肌寒い。もう4月も後半に差し掛かってきているのに。

「やっぱり夜は冷えるね〜。」

そう言って先輩は寒そうに腕を組んでいる。先輩が寒いのは間違いなく足をほぼ全部出していることだと思うけど、そこには触れないでおいた。触れてしまったら、先輩の足が拝めなくなるような気がしたから。

「これから夜も暑くなってきますよ。」

「そうだね〜。本格的に夏になったら部活の時間の変更も考えないと。」

「去年はどうしてたんですか?」

「去年は私一人だったから、暑い日は部活せずに帰ってきてたんだ。でも今年は恵那ちゃんがいるから、帰るわけにはいかないからね。」

夏は先輩に部室で勉強を教えてもらえるのか。それとも何か別のことをするのか。

「夏の星座も素敵だからね〜。恵那ちゃんと一緒に見たいんだけど。」

すぐそうやって私を期待させてくる。先輩は絶対こんな感じで何人か惚れさせてるはずだ。思わせぶりというやつだろうか。


日付が変わる。先輩と過ごす休日は折り返し地点を迎えていた。

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