第17話:先輩とお泊まり①
船が港についた。私と先輩は港の近くの駐輪場に停めてある自転車を取りに行く。一度私の家に寄って荷物を取ったあと、先輩の家に向かう予定だ。もう日はほとんど地平線に沈んでいる。
私の家に着いた。自転車を家の前に停めて玄関に入る。
「じゃあすぐ荷物取ってくるので、ちょっとだけ待っててください。」
そう言うと私は2階の自分の部屋へ階段を駆け上った。まとめておいた荷物を持って階段を駆け下りる。
「お待たせしました…って先輩?」
玄関に先輩の姿はなく、リビングからお母さんと先輩の話し声が聞こえてくる。
「あ、恵那。紗凪さんを玄関で待たせっぱなしで部屋に行くなんて。」
「先輩が玄関で待ってるって言ったんだもん。」
先輩は少し気まずい表情を浮かべている。お母さんはそのまま先輩の方を見て、
「恵那が迷惑かけますが、よろしくお願いしますね。」
「迷惑だなんてとんでもないですよ。恵那ちゃんは良い子ですよ?」
先輩がそう言ったのを聞いて私は恥ずかしくて俯いてしまう。
お母さんに見送られて私と先輩は家を出た。
「お母さんになにか変なこと言われませんでしたか?」
「いや?別に変なことは言われなかったよ。」
「なら良いんですけど…」
自転車に乗って走り出す。もう結構真っ暗だ。
先輩の家には結構すぐ着いた。自転車を置かせてもらって、玄関に入る。
「おじゃまします…」
玄関からなんだかいい香りがする。靴箱の上には猫の置物や、家族写真、車などのキーケースが置かれている。靴を脱いで振り返ると猫ちゃんが私の足元に転がっていた。
「ぽんちゃん、お客さんに挨拶してるの?えらいね〜。」
先輩がぽんちゃんのお腹をわしゃわしゃしている。
「可愛いですね。」
猫ちゃんに言ったが、半分以上は猫ちゃんをわしゃわしゃしている先輩に向けて言った一言だった。先輩はそんなことに気がつくはずもなく私の方を見て、
「恵那ちゃんも撫でる?ぽんちゃん、人懐っこいから誰でも撫でれるよ。」
「いいんですか?じゃあさっそく…」
ぽんちゃんのふわふわなお腹を撫でる。毛がかなり長い子だ。お腹まで長い毛で覆われている。
私が優しく撫でるたび、体を捩っている。
ぽんちゃんと戯れていると、リビングから先輩のお母さんが出てきた。
「紗凪、いつまで玄関にいるの?あら、恵那ちゃん?いらっしゃい。もうすぐご飯できるからちょっとだけ待ってね。」
「お邪魔してます…」
リビングへ戻っていく先輩のお母さんの後を追うようにぽんちゃんもリビングへ消えていった。
「行っちゃった…」
「部屋行こっか。」
そう言うと先輩は階段を上がっていく。私も着いていって階段を上がった。
階段を上がって右に曲がると正面に先輩の部屋が見えた。
「ちゃんと片付けたから。荷物は適当に置いといて。」
「ありがとうございます。」
部屋を見渡すと、ぬいぐるみやぽんちゃんのベットが床にあったり、壁には星座のポスターや英語で描かれた世界地図、先輩の小さい頃の写真が飾ってある。
「ぬいぐるみいっぱいですね。」
「好きで集めてたらこんなになっちゃって。」
ペンギンやイルカなどの海の生き物やキャラクターのぬいぐるみがかなりの数ある。
「先輩って水族館とか好きなんですか?」
「うん。ペンギンが特に好きなんだよね。」
「可愛いですよね。今度は水族館行きませんか?」
勇気を出して誘ってみた。普通の女子高生からしたら遊びに誘うなんてなんでもないことかもしれない。でも誰だって好きな人を誘うのには勇気がいるはずだ。
「いいよ。テスト終わったら行こうか。」
テストと言われ一瞬気が沈むが、ご褒美だと思って頑張るしかない。
「テスト頑張ったご褒美にもなるしね。」
先輩の口からご褒美と言われると尚更やる気が出る。
「私、絶対テスト良い点取ります。」
そう言うと1階からご飯だと声が聞こえた。




