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護国獣 4

「自分の国が被害を受けているけど、他の国はその情報を貰って事前に対策をする。それを理不尽だと思って情報公開を渋っているんだね。何なら巨躯出現を報告しない国だってあるし。この情報だって結構な額で買い取ったはずだよ、被災地の補填に当てるため」

「だから情報局や民間人に巨躯との戦闘を撮影とアップロードWさせないために取り締まりがある。私はそういう阿呆の上げたデータを集めてるんだけど」

「助かるわ」


「まぁこの国は巨躯の戦闘をエンタメに消化している変な国だから、専門チャンネルの会員になれば軍の映像じゃない動画が見られるよ。視聴率で会員になるとジャイアントハンターが命がけで巨躯の映像を撮影に行く。毎回行方不明になったりけが人が出てたりするけど。チャンネルは月額60万円」

「高いわねぇ~」

「それに命かけるだけの価値はあるのかな。っていうか誰が見るのそんな高額で」


「金持ちか他国の巨躯研究機関。映画館とかも契約して巨躯が現れたら特別放送したりしてるんだったか。すごく儲かるよ、一放映で都市の一等地に部屋を借りられる。最近は巨躯の出現率が高いから」

「一財産……考えちゃうわね~」

「やめときなよ。避難とかの邪魔になるんじゃない」


「もちろん避難を待つ、戦闘の作戦区域には入らないとかの規定やルールはある。それを守っているかはチョットワカラナイ」

「これは守ってないわねぇ」

「巻き込まれる側はたまったもんじゃないのに」


話ながらユウスイが報告書の画像を最小化させ自分のデバイスとつないだ動画ファイルを再生させる。


再生された動画の時間帯は夕方か夜明けの薄暗い時間帯、広大な畑を横断し町へと到達している巨躯が映った。

カメラのブレと乱れがあり、それに加えて多くのノイズを含んでおり、映像は非常に見辛かった。

報告書の巨躯とおおよそ同じものが映っていて、今まさに光の中から現れた2体の護国獣と戦おうとしていた。


「護国獣の名は?」

「むこうでは護国獣をジャイアントガーディアン、GGって呼んでる。見えているのはジャッチメメントとメテオジェット。どっちもランキング上位の護国獣みたい」

「ランキング?」


ハクマが訊ねるとユウスイがジュースを飲みながら答える。


「各州で護祈に当たる人材を契約確保し育成。巨躯討伐には国から報奨金が出てそれで政治や防衛費の財源の確保している。よそからの応援も可能で倒した護国獣の所属する州の早い者勝ち。この2体はやられたGGか、向こうは防衛隊みたいな戦車、戦闘機とかがないから一番着が攻撃方法とかの情報なし一番危険だが。見ててスリルがある」


分厚いでこぼこした皮に生えた回転するドリルと丸鋸、タイルのように並んだ鱗に長い角と棘だらけの体をした護国獣が現れた巨躯に正面から戦いを挑む。


「人型? いや霊長類の動物っぽさがある感じなんですね。向こうの護国獣は恐竜というかロボットというか、そういう形じゃないんですか?」

「ええ、国ごとの神獣や伝説上の生き物。伝承や古くからの守り神とされる人の創作物が。もちろん効率的な武器とした形のものもあるけど、この間の脈晶砕地みたいなものが兵器の形をしていると考えて」


「そういう物の方が強そうですけど」

「巨躯はたいてい近距離か中距離の攻撃能力しかないからね。でも兵器型は前も行った接近戦が苦手と外した場合の被害が大きい。生き物型をしているのは接近戦をメインにとらえていて格闘でなるべく周囲への被害を減らそうとしていること。ぶつかり合うことで進路妨害もできるから、兵器型は動く的を足止めすることができない、すばしっこかったりすると攻撃で地面が抉れていうだけという自国を破壊するどっちが暴れているかわからない状態になるから。見せようか? 隣国の護国獣、20もの誘導砲撃がスケール2程度の巨躯に躱され続けて直径10メートル深さ50メートルの大穴だらけになっていくところ」


ユウスイの説明を聞いていたルツキがむくれている。


「どしたの~」

「私も説明したかったわ」

「あはは、ユウスイの知識には勝てないからね」


話している間に戦闘は始まる咆哮から始まり格闘戦のため接近。

2対1の数の優位性から何の警戒もなく近寄っていくと、そこで件の石柱が爆発し赤く発行した無数の石片の雨が2体の巨躯を飲み込む。


「一瞬だ」


攻撃を受けたジャイアントガーディアンは反射的にバリアを張るものの容易く砕かれ複数の大穴を開けて大きな体が仰向けに倒れていく。

画面は空からのものへと切り替わり扇状に広がる火災現場を映している。


「ちょっとぉ……攻撃後不自然に映像切り替わったけど~、余波の炎……これリポーターとカメラマン……ねぇ、これトラウマ映像じゃない」

「よくこんなのが商売として成り立つね」

「無謀や愚行を栄誉ある行動と間違えることはいつの時代も起きる。規模が違えど危険行為や迷惑行為はどれだけ対策や注意をしても消えないように」


話が連れてきたためユウスイが仕切り直す。


「スケール4。アースライトの密度が高く、その攻撃力は他のスケールの巨躯の比にならない。現在確認されている最高レベルの巨躯で撃破には複数の護国獣による連携が必要になる。今回現れたスケール4は広範囲高火力に能力が振られていたため防御能力はスケール3程度の防御力だったため速やかに討伐された。被害は3000世帯、死者行方不明者は推定400名、負傷者推定2000名、被災者は一万名を超えるってさ」


「早口ねぇ。ゆっくりはっきり喋りましょうよ~」

「少し目が生き生きするよね」

「すごい被害……」


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