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第二話 次元の狭間

 魔神によってこの世界は瘴気に侵されている。国土の大半の植物は枯れて不毛の大地となり、それは今なお侵攻し続けている。


瘴気の侵攻を止められなければ、この世界の住民は死に絶える。それを止めるため、国王は不老不死の魔神を封印することにした。


しかし、国王の軍だけではそれは難しかった。そこで、異世界から魔神を封印出来る能力を持つ人間を連れてくることにした。




 国王は世界を救おうとしている。それならば、なぜ魔神は世界を滅ぼそうとしているのか、俺はマルコスから事情を聞くことにした。



「聞かせてくれ、お前の知っている全てを」


「......それならば......まず、この世界の成り立ちから話しましょうか」


マルコスはこの世界の創世の話を始めた。



 はるか昔、とある世界に【次元に干渉】する力を持つ人間がいた。その人間は絶大な力で国王となり、民を幸せにした。


別の次元から金品や食料を奪い、民に分け与えたのだ。人々は無限の富を得て、他のどの世界よりも豊かになった。


しかし、神はそれを許さなかった。


次元の力を持つ国王は殺され、次元の狭間に王国ごと封じ込められた。国民達は神を憎み、呪った。そして、とある男はかつての国王の亡骸を喰らい、その力を得た。


次元の力を得た男は、追放された元いた世界を侵略し、土地と食料を奪い、国民に分け与え、国民は歓喜に沸き立った。


しかしながら、そこで終わらなかった。次元の狭間にあるこの世界は次第に朽ちていき、土地も水も枯れ、風は止まり、世界に瘴気が満ち始めた。


世界からエネルギーが失われ続け、生命を維持することが出来なくなっていき、このままでは民は飢え死にしてしまう。国王は次元の力を使い、別の異世界から新たなエネルギーを奪い取ることにした──





「つまり、この世界の国王は滅亡を阻止するために別の異世界からエネルギーを奪おうとしているのか?」


「そうです。国王こそ、次元の力を受け継いだ男。この世界が滅びかけているのは魔神様のせいでは無く、長年この世界の力が外に洩れ続けたからです」


「............なら、魔神はこの世界の奴らが異世界を侵略するのを防ごうとしているってことか......でも、この世界も侵略をしなければいずれ滅びると......」


「はい。我々の先祖が犯した大罪により、この世界は神に見放されました。もう、滅びるべきなんですよ、こんな世界」


マルコスは苦虫を噛み潰したような顔で憎しみを覗かせた。


「俺は、そうは思わないな」


「は? わかってるんですか? 私たちの世界は、貴方がたの世界を侵略しようとしているのですよ?」


「だとしても、滅びていいとは思わない。この世界にだって生きている人間がいる。もちろん、俺たちの世界を侵略して、誰かを悲しませるなら許さないが、平和的に解決出来るなら、それに越したことはない」


「そんなこと、出来るわけないだろう?」


「お前たちの話だと、この世界にはエネルギーが足りないんだろ? だったら、能力のある俺たちの世界ならどうにか出来る奴には心当たりがある」


(まあ、その心当たりのある奴は、俺が捕まえた犯罪者なわけだか)


「夢物語だな。次元の力を持つ国王ですら出来ないことを、ただの異能力者が解決できるわけがない」


マルクスは椅子から立ち上がり、部屋を出た。



どちらの世界も救いたい。確かに傲慢な考えだろう。だが、最後まで諦めることはしない。手が届くかもしれないなら、助けるために動く。


そういえば、俺だけにこのことを話していたが、異世界人というくくりなら鳥宮にも話していいはずだ。なぜマルクスは鳥宮にもこのことを話さなかったのだろうか、そんな疑問が湧いたか、一旦は保留にして、どうすれば良いのか色々考えてみることにした。




「マルクス」

背後から私の名前を呼ぶ声がした。


恐る恐る振り返ると、そこには国王がいた。私は跪き、挨拶をした。


「国王陛下.....護衛もつけずにどうなさったのですか?」

「わかっているだろう?」


心臓の鼓動が速くなり、鼓膜に心音が響いている。震えが止まらない。


「......なんの、話でしょうか?」


「貴様が、魔神の手のものということだ」


「............この世界は、滅びるべきだ。あんたも、もういい加減諦めろよ、こんな世界を救って、いったい何になるんだ?」


「......民を救い、導くことこそ王の責務。私は、ただそれを果たすまでだ。そして、不穏分子である貴様は、ここで処刑する」


その瞬間、私の意識は暗闇に落ちた──


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