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私をあなたの番(運命)にして下さい  作者: ゆきもも


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㉑惨状

残酷な表現があります、ご注意下さい。

鳥のさえずりが聞こえ目が覚める。


あ、もう朝…。昨日あのまま寝てしまったのね。

意識がはっきりしてくると、自分がテントの中で寝ている事に気付いた。


え?ここテントの中よね、誰が運んでくれたのかしら…


そう思いながら体を起こすと

「えっ!?」

なんと後ろにアラリオンが寝ていたのだ。


えっ??まさか一晩中一緒だったってこと!?

私の声に目が覚めたのかアラリオン様の目が開く。


「エイルリス嬢起きたのか…」

何だかまだぼーっとしているアラリオンがちょっと可愛く見えてしまう。


「あの…一緒のテントで寝たのですか?」


「ああ、同じテントはどうかと思ったがエイルリス嬢を1人にするのは危険だからな」


確かに1人で寝ている所を襲われたらひとたまりもない。

「そうですか、お気遣いありがとうございます…」

なんだかアラリオン様に迷惑掛けっぱなしで心苦しい。


「エイルリス嬢、多分今日中には目的地に着ける予定だ。そこには想像以上の悲惨な光景が広がっている可能性がある」


私はその光景を想像しゴクリと唾を飲み込んだ。


「今なら見ない事も出来るぞ?出発してしまえばもう後には引き返せない、どうする?最終確認だ」


ここまで来て何も確かめず逃げるなんてそんな事は絶対にする気はなかった…


「いえ、行きます。同行させて下さい、お願いします」

私はアラリオン様の目をしっかり見て返答した。


「そうか、わかった。俺の側を決して離れるな」

アラリオンもエイルリスの目を見つめ返しながら言う。



***


そして数時間後、その目的の村へと到着した。

獣兵達は村中を回り亡くなった方の遺体を探し、見つかると村の一番広い場所へと移していった。


その際生き残った人がいないかと希望を抱きながらも捜索したが残念な事に1人もみつからなかった。


広場は次第に沢山の物言わない村人達でうまっていった。


私は動けなかった。

覚悟を決めてきたつもりだった。アラリオン様にも偉そうに自分の目で真実を確かめたいなどど豪語した…なのに到着してから私が出来たのはただ立って震えている事だけだった。




「エイルリス嬢、君は向こうの村長の家で待ってると良い。そこは綺麗に片付けてあるから大丈夫だ」


「わ、わたしは、大丈夫です…ここに…います」


「おい!レアム!エイルリス嬢を村長の家まで連れていってくれ」

するとレアムがすぐに私の元へとやって来た。

「承知しました、エイルリス様此方へどうぞ」


「アラリオン様!私は本当に平気なので…ここに」

しっかり見なくちゃ…私の目で…だから


「すまない、正直迷惑なんだ…獣兵達だって仲間を無残に殺され皆辛い中動いてるんだ、人間はどうかは知らないが獣人は仲間意識がとても強い。見ず知らずの村人達でも身内が殺された様に苦しみを感じるんだ」


「それは…ええ…わかります、ですが」

もうどう答えたらよいかもわからなくなってきた。


「そんな中、人間である君が突っ立って涙目で震えて見てる?皆どう思うだろうな」


人間に残酷に殺された村人達…そこに人間の女が憐れむようにただ立って見ている。


敵の女が…


「頼む、大人しく村長の家へ行ってくれないか?」

もうその言葉に反論する術も気力もなかった。


「わかりました…ご迷惑かけてすみません。レアム宜しくお願いします」


そう言いその場を後にした。



***



村長の家へ着くとレアムが

「エイルリス様、こんな光景を初めて見たのだから仕方ないです。気を失わないだけで立派ですよ」


優しい人だわ、慰めようとしてくれているのね…

本当に情けない…


「レアム様、私は大丈夫ですのでもう戻ってください」


「…ですが」

少し躊躇したがやることは山程あるため


「何かありましたら呼んでください、すぐ戻って来ますので」

と、言い村長の家を出ていった。


私はその場にズルズルと座り込んだ。

あまりに不甲斐なくて…想像以上に壮絶だった、匂いも強烈で今にも吐きそうだったが手のひらに爪を食い込ませて堪えた。


あそこで吐いてたら状況は更に悪化していただろう。


手のひらを見ると何ヵ所か切れており血が滲んでいる…こんな些細な傷でも痛いのにこの村で殺された人は耐え難い痛みと恐怖の中殺されたのね。


私と同じ人間が。


落ち込んでる暇などない…私に出来る事をしなければ。

私は立ち上がって窓から外を眺めた。


沢山の獣兵が亡くなった方を運んだり、村の片付けに追われている。


それを眺めながら考える。


この村は草食系の獣人の村だと聞いた。

確かに肉食系の獣人に比べれば力も劣るだろうが、ネリスのあの攻撃力を見ると草食系でも十分に戦えると思う。何故こんなに一方的に…この中に人間の遺体は今の所は見当たらない、人間達が連れ帰った?いや、こんな酷い事をする奴らが仲間を大切にするわけがない。


と、なると人間側には多少の負傷者しかいないのかもしれない。人間と獣人との力の差は歴然、それが圧倒的に人間に有利に働くとなるとやはり魔法を使ったとしか思えない。


しかも、相当な魔力を持った人間になる。

私の家族もかなりの高レベル魔力保持者だったがそれよりも上。私が知ってる限りでは例え高レベルの魔法が使えたとしても人物や物に対してここまでの攻撃力や破壊力はなかったはずだ。一般市民ではまずありえない、貴族の中でも聞いたことがない…


そうなるとかなり限られてくる…。そう…帝国の誇る最高レベルの魔法集団。


帝国魔法騎士団…それしか考えられない。

でなければ、まさか…皇帝も関与してる?

はっきりとしているのは、これはそこら辺の素人の烏合の衆がやってるのではなく大きな力を持った組織が関わっているのだと。


わからない…でも、国を揺るがすような事態になるのかもしれない。私は震える体を自分の腕で抱き締めた。














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