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ゲームつよつよ系Vtuberはレティクルの向こうに何を見るのか  作者: 畑渚


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成年済み人妻女子高生

「おじゃましまーす!」


 どうしてこうなったと内心頭を抱えつつも、とりあえずは大荷物なララちゃんを家に上げる。


「うっわ……」


「なんですか部屋に上がるなり」


「いやぁだってさ……生活感ないなぁって」


 白を基調としたモノクロデザインの部屋。色がつきがちなPCデバイスにすらこだわりの一部屋を『うわぁ』と言われるのは少し遺憾である。


「これが筑紫ちゃんのセンスなのね……」


「ちなみに名誉のために言っておきますが、うちの姉のセンスです」


「アネ?」


「何故疑問系」


「あーね?」


「姉です」


「ANE?」


「どうして外国人風なんですか」


「いや、意外だなって思って」


「そうですか?私末っ子ですよ」


「え〜見えない。むしろ長女感あるし」


 そう言いながらララちゃんはスーツケースを下ろす。見かけだけでなく、しっかり中身も詰まっているらしい。スーツケースを横にして開こうとしたタイミングで、ララちゃんの動きが止まった。


「ん?ちょっと待って、末っ子ってことはまだ姉がいるの?」


「ええ、姉が2人と、それからその上に兄がいますよ」


「えぇぇぇ!?人は見かけによらないんだね」


 そんなに意外だろうか?むしろ兄や姉に甘やかされたからこそ、昔からゲーム漬けの生活ができていたのだが。


「それで、一体何を持ってきたんですか?」


「ああ、そうだった」


 予定では1泊するとの話だったのだ。それを週単位でいそうな荷物できたのだから明らかに怪しかった。


「じゃーん!これわかる?」


「えっと……ASMR用のマイクですよね」


「そう!借りてきちゃった」


「か、借りた?」


「うん。ハルちゃんに」


「ハルちゃんって朝蛇ハルさん?」


「そうそう。知らない?結構音響マニアなんだよねあの子」


 そういえば使っているヘッドセットについて詳しく聞かれた気もする。私はこだわりないから、兄のお下がりのイヤホンをイヤーピースを変えて使っているが。


「しかしなんでまた……しかも周りに詰めてある服、緩衝材の代わりですか」


「まあね。流石に値段を聞いたらこのくらいしないとなって」


「じゃあ私は値段を聞かないでおきます」


 下手すると、この部屋の中で今1番価値があるものかもしれない。戸締まりはいつも以上に気を使うようにしようと心に固く決心する。


「とりあえずご飯にしましょうか」


「うん!出前にする?どこかに食べに行く?それとも……私が作ろうか?」


「まあ作りたいのならそれでもいいですけど」


「へぇ、冷蔵庫に自信がありと見た。ララちゃんチェック入りまーす!」


 私が静止の声を出す前に冷蔵庫は開け放たれた。


「筑紫ちゃん?」


「は、はい……?」


 ララちゃんは目を白黒させながら私の方を向く。


「もしかして筑紫ちゃんって料理とかできる人?」


「ま、まあ一人暮らしを許される程度には」


 失望されたわけではないようである。一安心。


「いやいや、そんなレベルじゃないけど!?主婦ですかって感じだけど!?」


「そんなことないと思いますけど」


「いやいや!突然旦那さんが帰ってきてメシ〜って言っても驚かないよ」


 そう言ってると、ちょうど良くガチャリと扉が開く。


「はー疲れた〜、メシできてる?」


「ほら〜!」


 入ってきた男性を見てその場にララちゃんが崩れ落ちた。とりあえずその豊富な想像力の持ち主は置いておくとして、冷蔵庫からいくつかタッパを取り出して袋に入れて渡す。


「サンキュー!珍しいな、お友達か?」


「同僚?みたいなものです」


「そうか、仲良くな」


「はい。兄さんも気をつけて」


 慌ただしく男性は扉を閉めて出て行く。兄さんは仕事人間なのでご飯に関しては今は私に依存している。そろそろお嫁さんでも探せばいいものを、『お前以上の優良物件がない』と言って聞かない。血のつながりのある兄妹は結婚できませんよ兄さん……。


「えっ兄さん?」


「はい、うちの兄さんです」


「兄さんってお兄ちゃんってこと?つまりはbrother?」


「ま、まあそうですよ」


「な、なるほどね。良かった、成年済み高校生人妻とかいう同僚じゃなくて」


「前2つは合ってますけどね」


 とりあえずスマホで出前を調べてみる。意外と店舗が多い。オーソドックスにピザや中華、蕎麦うどんもアリだ。


「何にしますか?一応大体のジャンルはありますけど」


「えーっと、その」


「……?」


「せっかくだから筑紫ちゃんの手料理が食べてみたいなぁ……なんて」


「まぁ、いいですよ?でもそんなに料理得意なわけじゃないですからね?」


「いいのいいの!気になるだけだから!」


「それじゃあ待っててください」


 食材の残りを確認して、準備を始める。オムライスくらいならサッと作れそうだ。


「ねぇ筑紫ちゃーん!」


「どうしました?」


「待ってる間配信してて良いかな?スマホで」


「はい、どうぞ」


 特に断る理由もないので、何も考えずにすぐに了承してしまった。

 まさかあんな事態になるとは、この時の私は考えもしなかったのであった。


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