第2話 人間への代償
おっさんの起床は朝7時。
加齢で酷い激臭がする枕から頭を起こし
顔も洗わずキッチンへ向かう。
朝起きるとおっさんは必ず砂糖とコーヒーの割合を1:1にした壮絶に苦いコーヒーを口に運ぶ。
石炭のように真っ黒だが、これを飲むと疲れと眠気が一瞬で吹き飛ぶのだ。
朝食はたったのこれだけである。
いや、正しく言えば この一杯が朝食なのだ。
贅沢はできないのにはワケがあった。
理由は一つ。飲料も食糧もいらないロボットにとって"食べ物"の概念は"この地球を駄目にする有害物質"なのだ。
かろうじて生き残った"人間"は安い賃金で、安い食べ物で生き抜きしてるのである。
おっさんもその"人間"の一人に過ぎなかった。
おっさんは職場に向かう。
さすがにこんな腐った世の中と言えど、生きる為にお金は必要だった。
外に出ると見渡す限りの電子掲示板。そして言葉を話す"ロボット"
人間は汚れた生き物、または下僕だという解釈がこの世の中では正しく、人間がロボット様に話す事は禁じられている。
しばらく歩いてると商店街に入る。
おっさんは昼食を買う為、財布からお金を取り出した。
買うのは安いパンである。味も何もない。当然作っているのはロボットである。
本当に薄いパンだ。前に並んでいたロボットが30円で買ったパンをおっさんは100円で買った。 これがこの時代の"常識"なのだ。
『ロボットの癖になんでパンなんて必要なんだよクソが』
おっさんは口ずさんだ。
ロボットが生んだ"道具の不必要"経済は大きな日本の進歩となった。
世界と比べても日本のGDPは"世界第1位"
100年前は3位だったらしいが、現在は2位のアメリカと大差を付けて堂々の1位に座している。
だがそれ相応への代償は凄まじく、人間へと対する"デフレスパイラル"の鳴りは多く響いた。
おっさんはそのまま商店街を歩き続けた。




