クロワッサン作り
「今日作ってもらいたいのはこのパンなんだ」
「クロワッサン、ですか」
俺が出した失われたもの図鑑に載っているパンを見てカリーナが言う。
「クロワッサン、三日月のような形をしたパン、サクサクしていて朝食にもピッタリのパン、バターやジャムなどを塗って食べると美味しい、これは見た事がないパンですね、三日月の形なんて面白いですね」
「面白い形でもあるし、見た目的に貴族の朝食とかに出て来そうですね」
そうルートが言う。
確かに三日月の形のパンって綺麗だから貴族に好まれそうだな。
「それで、これがクロワッサンだと思われる絵だと思うんだが」
「何だか随分やる事が多いな」
シルの言う通り、クロワッサンの絵がたくさんあるんだよ。
だから作り方がかなり大変だと思われる。
「とりあえず、一から作るしかないですね」
こうしてクロワッサン作りが始まる。
材料を混ぜなめらかになるまで生地をこねていく。
「これで綺麗に丸くして冷蔵庫に一時間ほど入れるみたいですね」
ボウルに蓋をして冷蔵庫で一時間冷やす。
早速大変な作業になりそうだな。
それから一時間して冷蔵庫から出す。
「それから包丁で切れ込みを入れてそれを広げて四角い形に伸ばします」
カリーナの言う通りに俺達は生地を四角い形に伸ばしていく。
「四角く伸ばしたこれを再び冷蔵庫で冷やすみたいですね」
「また冷やすのか」
「はい、冷やしている間にバターを叩いて適度な柔らかさにするみたいですね」
それからバターを叩いたりして適度な柔らかさになったらそのバターを生地と同じように四角い形に伸ばしていく。
「このバターの形と厚さが生地と同じくらいになったらこれを冷蔵庫に入れて再び冷やします」
「クロワッサンは冷蔵庫で冷やすのが重要になってくるって事か」
シルがここまでの工程を見て言う。
「次に四角い形に伸ばした生地とバターですが、生地の方はこのようにダイヤのような形に置いてバターの方は四角い形に置きます、そして袋で包むような感じで生地でバターを包みます」
俺達はカリーナの言う通りにする。
珍しい事にここまでは俺のも良い感じの形になっているな。
「そしてこれを少しずつ伸ばしていきます」
棒で生地を伸ばすが最初は優しくで徐々に力を入れて伸ばすのがポイントのようだ。
「伸ばしたら生地を四つに折って向きを変えて再び同じように伸ばします」
「同じ作業を何度か繰り返すのか、これはまた手間が掛かりそうなパンだな」
ルートの言う通り、かなりの手間が必要なようだ。
「そして再び四つに折って生地の厚さを薄くしてから冷蔵庫で一時間くらい冷やしますね」
「また一時間も冷蔵庫で冷やすのか、どれだけ長い時間作らせるつもりだ」
シルの言う通りだな。
ここまで長いとは思わなかった。
それから一時間経つ。
「冷やした生地を再び棒で伸ばしていきます、横に短く縦に長くする感じですね、伸ばし終えたら長い方の両端を短く切り落とします、ここからさらに均等になるように三角の形に切っていきます、これは私がやりますね」
そう言ってカリーナは俺達の伸ばした生地を均等に三角の形に切っていく。
「そして三角の形にした生地を下の方から緩ませないように巻いていってください」
カリーナ言う通りにする。
結構難しいけど何とか巻く事ができた。
「全て巻き終えたら均等に並べて乾燥しない場所に置いて約一時間発酵させます」
「また一時間か」
「はい、ですがこれが終われば後は焼くだけですよ」
そうカリーナが言う。
ようやく終わりが見えてきたな。
「そう言えばカリーナとルートはシオンとフレイアから話を聞いたか?」
シルが二人に問う。
シオンとフレイアからの話と言ったら。
「それは、その、子供についてですよね?」
「そうだ」
カリーナの言葉にシルは頷く。
やっぱりその話か。
「確かにシオンからその話を聞きました」
「私もフレイアから聞きました」
「ケイネスが当主になるまではって言うらしいが、そんなに待たなくても良いと思うぞ、仕事とかそう言うのは他にもできる者がいるんだから」
「確かにそうですね、結婚したばかりの頃はケイネス様の教育とか旦那様方の仕事の手伝いで忙しかったのでお互いに子供については考えなくてもいいだろうと思っていまして気づいたらここまで来ていて正直今どのタイミングで行けば良いのかわからないって感じになりまして、ならケイネス様が当主になったらって話になりました」
「私も同じようなものですね、気づいたらタイミングを逃してここまで来てしまいました、それでここまで来たらケイネス様が当主になる前にするのもどうかと言う話になったりしまして」
シルの言葉にルートとカリーナはそう答える。
なるほど、当時の使用人としての仕事や俺に勉強を教えたりとかでタイミングが合わずに気づいたらって感じか。
今はアニスに勉強を教えたりしているから余計にタイミングが合わなくなってしまったって事か。
そう考えると俺にも原因があって申し訳ないな。
「つまりちょうど良いと思えるタイミングがケイネスが当主を継いだ時だって考えたのか、なら別に今からでも良いんじゃないか? あくまで目安として考えただけなんだから」
「確かに今すぐでも問題ないと思うな」
俺もシルに同意する。
「い、今からですか」
「それはさすがに」
カリーナとルートは困惑している。
「今すぐとは言わないが、それでももう少し早めにしてみても良いと思うぞ」
「えっと、どうしましょう?」
「そうだな、今夜四人で話し合ってみるか?」
「そうですね、四人で話し合いましょうか」
俺の言葉に二人はお互いに話し合って今夜シオンとフレイアを加えた四人で話し合う事が決まったようだ。
「あ、そろそろ時間ですね」
カリーナが話題を逸らすように動く。
最後にかき混ぜた卵を生地にうっすらと塗ってオーブンで焼けば完成のようだ。
焼き上がってできたクロワッサンは本当に三日月のような形をしていた。
食べてみたらパリッと音がして外はサクサクしているが中は柔らかくてバターを塗って食べればもっと旨くなりそうだ。
これは朝食に出しても良いかもしれない。
作る時間は結構掛かるけど人気は出そうだなと思うのだった。
それからルートとカリーナは今夜シオンとフレイアを交えた四人で話し合った結果、俺が学園を卒業したらと言う事を報告したら親父も母さんも他の皆も安心したのだった。
皆気にしてたからなぁ。
リカード家の事を考えてくれるのは良いけど自分達の幸せもちゃんと考えてほしいし。
とにかく無事に決まって良かったよ。
それと今回のクロワッサンは俺のも中々良い形になっていたから割と満足だ。
読んでいただきありがとうございます。
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