死ぬ気で走れ
「・・・・・・は?」
ネロナの言葉が理解できないのか間の抜けた声を上げるエドウィン。
うん、まあそうなるわな。
「だからエドウィン様がいつも通りに走っているのを私が後ろから追いかけてこのマシンガンをぶっ放すんだよ」
「ぶっ放すって何だよ!? 私を後ろから追いかけてそれで狙撃するって事か!?」
「その通りだ」
「私を殺す気かっ!!」
エドウィンは大声を上げて言う。
まあ、普通にそれで狙われたら死ぬわな。
「大丈夫だ、使うのはこっちの方だからな」
そう言ってネロナが出したのは見た目は先程のマシンガンと同じ物であった。
「こっちは大した威力がないマシンガンだ、当たっても死なないから安心しろ」
「そ、そうか」
「まあ、せいぜい投げた石ころが当たった時の痛みだ」
「それなりに痛いじゃないか!!」
うん、石ころを投げられて当たったらそれなりに痛いよな。
「さあ、早速始めようじゃないか、エドウィン様体力回復のポーションを」
「わかったよ、やると言ったのは私自身だ、私だって自分の言った事に責任を持つくらいの意思はある」
そう言ってエドウィンは体力回復のポーションを飲んで体力を全回復させる。
「よし、行くぞ」
「まあ待てエドウィン、俺も一緒に走らせてもらうよ、さすがにあれをお前一人だけにやらせるわけにはいかないから」
「そうだな、私も付き合おう」
俺が言うとシルも付き合おうとする。
正直今からやるあれはエドウィン一人だけにしたら大変な事になるからな。
そんなわけで俺とシルも走り込みの特訓に付き合う事にした。
「では、始めようか、好きなタイミングで走って良いぞ、そこからある程度の距離が出たら私が後ろから機関銃をぶっ放しながら追いかけるからな、当たりたくなかったら、死ぬ気で走れ」
「と言うわけだ、エドウィン、お前の好きなタイミングで始めてくれ、俺達はそれに合わせるから」
「ああ、しかし良いのか? 私の特訓なのに二人が付き合わなくても」
「さすがにネロナが今からやるあれはお前一人だけにやらせるにはまだきついと言っても良いし、何より私も軽く運動したかったからな、気にするな」
「そう言う事だ、俺もちょうど軽く運動したいと思ってたんだ、それに本当にネロナが今からやるあれは
初めての人には地獄だからな」
「ああ、本当に地獄と言っても良いだろうな」
「・・・・・・今からやるのが怖くなってきたのだが」
そんな事を言いながらもエドウィンは走り出したので俺とシルも同じように走り出す。
「さて、行くか」
ある程度距離が離れたところでネロナが後ろから追いかけて来る。
まあ、それで終わりじゃないんだけどな。
「さあ!! 走らないと打たれるぞ!!」
そう言ってネロナはマシンガンをぶっ放す。
弾が打たれる音が後ろから休みなく聞こえてくる。
「おい、後ろからなんか凄い音がするんだが!?」
「エドウィン、振り向くな」
「そうだぞ、振り向いたら死ぬぞ」
「だからって気にするなって言う方が無理な話だ!!」
確かにエドウィンの言う通り、後ろから聞いた事ない音がしたら気になって振り向きたくなる気持ちもわかるが、振り向いたらエドウィンは間違いなく死ぬ。
だからこのまま走ってもらうしかない。
「エドウィン、何も考えずただ真っ直ぐ走り続けろ、安心しろ、そのままのペースで走れば大丈夫だ」
「そうだぞ、今ネロナは我々の足元に向けてギリギリ当たらないところを撃っているんだ、だからこのままのペースで走り続ければ絶対に当たる事はない、だからただ前だけを向いて走れ」
「いや、二人と違ってさすがにこのままのペースは」
そう言ってエドウィンの走るスピードが落ちていく。
あ、マズい。
「ふん」
するとネロナはマシンガンで撃つのを止めたと思ったら普通の銃を取り出しエドウィンに撃つ。
「いた!!」
弾は見事にエドウィンに当たる。
ちなみにこの銃も石ころを投げて当たった時の痛みの威力だから死ぬ事はないが当たると結構痛い事に変わりはないんだよな。
「ほらエドウィン様、このままだと弾が当たるだけだぞ」
そう言ってネロナは銃を撃ちエドウィンに当てまくる。
「いた、いたた!!」
「エドウィン走れ!! 俺とシルの所まで来れば大丈夫だ!!」
「ぐっ、うおおー!!」
エドウィンは何とか頑張って俺とシルの所まで走って来る。
「よーし、良いぞエドウィン様!! やればできるじゃないか!!」
そう言ってネロナは再び銃をマシンガンに変えてぶっ放す。
「な、何なんだこれ、地味に痛みがまだ残ってる」
「これがネロナの言っていた最初の地獄だ、後ろからマシンガンを連射されて止まったりスピードが落ちたりしたら確実に当てに来る、それによって常に撃たれる恐怖があるから皆辛くても苦しくても全力で前を向いて走るんだよ、止まったら撃たれて痛い思いをするだけだからな」
「な、なるほど、はあ、はあ」
「おい、エドウィン止まるな!! また撃たれるぞ!!」
そうシルが言うがさすがに体力的に無理があるか、仕方ない。
「ルティ!! レティ!!」
「「はい」」
俺が言うとルティとレティが走って来る。
「え?」
「だから言ったのですよ、クソザコ体力のエドウィン様にはまだ早いと」
「エドウィン様はまだクソザコ体力なのですからまだ無理はさせられないのですよ」
ルティとレティがエドウィンの背後を走り盾を持ってネロナのマシンガンの弾を防ぐ。
「私とルティがネロナさんのマシンガンを防いであげるんですから、クソザコ体力のエドウィン様はせめて止まらずに走り続けてください」
「私と姉様が盾でネロナさんのマシンガンを防いでいるのですから、クソザコ体力のエドウィン様は足が壊れても走ってください」
「お前達クソザコ体力って、わかったよ、終わるまで走ってやるさ!! どうもありがとうな!!」
「はっはあ!! 面白い!! ならば私に撃たれぬように死ぬ気で走れ!!」
歯を見せ、にいっと笑うネロナ。
あ、これ完全に乗って来たな。
それからエドウィンは走り続けた。
そして。
「・・・・・・」
そこには燃え尽きたエドウィンが倒れていたのだった。
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