完成品
「これが完成したもんだ」
親方が完成した物を見せる。
「おお」
そこには見た目は確かにランニングマシンと思われる運動魔道具があった。
「王女様の描いたこの独特過ぎる絵、こいつを理解するのに二日くらい掛かっちまったわ、けど理解しちまえばこっちのもんだ、後は材料さえ用意して何とかそれっぽい形にできたぜ」
「確かに見た目は図鑑に載っていたランニングマシンにそっくりだな」
「おう、こういうのは初めて作ったが、中々楽しかったぜ」
職人魂と言ったところか。
作るのはもちろんだがあの絵を二日で解読したのも凄いな。
「それで、あんたこれどうやって使うんだい?」
「おう、説明するぜ」
ラキムの問いに親方はランニングマシンの説明をする。
「まず、ここに赤いボタンと青いボタンがあるだろ? 青いボタンを押すとこの運動魔道具が作動して赤いボタンを押すと止める事ができるんだ」
そう言って親方は青いボタンを押すとランニングマシンと思われる運動魔道具が音を立てて動き出す。
「それで次に三つの白いボタンがあるだろ? これで歩くスピードを決めるんだ」
「ほお」
親方が試しに一番左のボタンを押すとランニングマシンの下が動き出す。
「このように回転する感じに動くんだ、向こうから地面が移動する感じだからその流れに逆らって歩けば良い」
「なるほど、これならその場から動かずに歩く運動ができるって事か」
「その通りだ、ケイネス坊ちゃん、試しにやってみるか?」
「良いのか? なら遠慮なく」
親方が言うので俺はランニングマシンに足を乗せる。
正直面白そうだから試したいと思ったんだよな。
「おお」
俺はこれは良いものだなと思った。
「どうだ?」
「悪くないな、向こうから地面が動いているからその場から動かずに済むし、落ちないようにするにはずっと歩き続けないといけないしな、嫌でも身体を動かす運動になるな」
「だろ? しかも部屋においても大丈夫な大きさだし動力源は魔石だから動かなくなったら魔石を新しいのに交換すれば良いし、何より部屋でもできるから雨の日でも外に出ず運動できるって事さ」
「確かに」
普段から身体を動かしてる者達には雨とか雪で外での運動ができない時に部屋で運動できるだけでもありがたいものだ。
「三つボタンがあるって事は三段階くらいのスピードになるって事か?」
「おうよ、今坊ちゃんがやってるのは一番遅いので老人とか運動不足の奴が最初に運動するって感じのスピードだな」
「なるほど、道理でなんかスピードが物足りないなと思ったが」
「スピードを上げたいなら左から順番に押していくと良い、だんだんこの運動器具のスピードが上がっていくからな、スピードを上げたい時は両側に手すりがあるから片手でどっちかを掴んでから押すと良いぜ」
なるほど、この両側の手すりはそのためのものだったのか。
俺は片手で手すりを掴んでもう片方の手で左から二番目のボタンを押すと地面のスピードがさっきより速くなる。
「さっきより速くなったな」
「二段階目は長距離を走る感じのスピードだ」
「なるほど、それで最後の三段階目は相当なものって事か?」
「ああ、こいつは普段から運動している奴じゃないとおすすめしないが、坊ちゃんなら問題ないだろ」
親方が言うので俺は三つ目のボタンを押す。
するとスピードはさらに速くなる。
「親方、このスピードって」
「おうよ、三段階目は完全に全速力で走るスピードだ、騎士団とかが訓練で走り込んでるようなものだ、あれは地獄のようなものだろ?」
「確かにこのスピードは騎士団の走り込みの訓練だな」
騎士団達がスタミナや持久力をつけるために走り込むスピードだな。
あれはきついよなぁ。
終わる頃には新入りの騎士達が大勢死んでいたところを目撃したものだ。
それから俺は再び手すりを掴んで赤いボタンを押すとランニングマシンは動きを止めるのだった。
「どうだい坊ちゃん? 要望通りのもんになったか?」
「ああ、想像以上に良いものだ、ちなみにこれは量産できるか?」
「ああ、できるぞ、作り方はもうわかってるからな、うちの鍛冶師達全員で作れば数日で十台は用意できるぞ」
「さっすが、物作りをさせたらあんたの右に出る者はいないね」
「よせやい、照れるじゃねえか」
ラキムに褒められて親方は顔を赤くしてそっぽを向く。
実際親方は鍛冶師としての才能が高い。
だからこそ親方に武器を作ってほしいとわざわざ広い王都から冒険者や騎士達が依頼しに来たりするんだよな。
「親方、このランニングマシンを持って帰って良いか? 他の皆にも試してもらって良かったら正式にこれを作る依頼をしたいんだ」
「おう、別に良いぜ、坊ちゃんからの依頼なら優先するぜ」
「ありがとう、依頼するから当然代金を払わせてもらうから」
「おう、待ってるぜ」
親方からの了承を経て俺はこのランニングマシンを持って帰るのだった。
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本日二話目の投稿です。
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