思い残し
「何と美しい…」
これは私の心からの感想だった
髪を失くし右往左往するこの場の男性が
「えぇー!」
と叫んだ
ごめん、でも全員つるっぱげになったのは私の所為ではない
「おのれ!我らの髪の無い姿を嘲笑うか!」
王様が叫ぶけれど、気にしない
私は感想だけを述べる
「何と美しい!素晴らしい美丈夫たち!
私はその事だけを伝えているのです」
髪の無いハゲたちが、恐る恐るお互いの顔を見る
互いの顔に感動すら覚えているようだ
「おぉ!その様なお顔をされていたとは…」
「いやいや、其方こそ…お、お美しいのではないか?」
馬鹿なの?
「わ、我の顔をどう思う…」
王様が聞く
「「最も、お美しく思います!」」
声が揃う、確かに…顔立ちの整い方、断トツに美しいお顔をされています
「…そうか…」
王様はとても満足そうだ
直ぐに、近くにいたフェルト様が鏡を渡す
自分の顔と、その場にいた者の顔を見て微笑む
「嘘はないようだ」
うっわー凄いわ、どこから来るのその自信
クソピンクjrが『けっ!』て舌打ちしましたけれど、気持ちは分かる
「クソピンクjr?」
話かけてみる
「それ、やめて」
分かってて言う
「貴方は、『エリザベス』の残滓か?」
と、聞いてみる
くしゃりと泣き笑いの顔をして、
「それ、正解であって正解ちゃうわ」
と答えた
さて、ハゲでも自分の顔の良さに自画自賛しているおっさんたち
美醜の美を追求して、何代も費やして来たのだろうな
その努力と審美眼を、DNAを考えずにやって来れたのはある意味凄いのかもしれない
しかし
「そろそろ、私帰りたいのですが
そうそう、毛根死なないうちに
この『エンジェル』とお話した方が良いかと」
食いつくおっさんたち
この『エンジェル』が、『エリザベス』の残滓なら、
何か思う事はあるのかもしれない
色々考えていると
「あの…」
と声がかかった
「私たちも、このままですか?」
ハリーくんも、フェルト様も
それは、貴方たち次第
お話、聞いてた?




