002
001までしか公開してないのにブックマークしていただけるという、サプライズをいただきました。
ありがとうございます!
すごく嬉しいです!
今後ともよろしくお願いします
テンプレマスターの称号は、テンプレを守護するための加護やスキルをもたらします。
テンプレを守護するためには、まずテンプレを観測しなくてはなりません。
テンプレを観測すること、それは世界を俯瞰し運命を見通すことに至ります。
テンプレの前には世界は小さな箱庭。
テンプレの前には運命も単なる台本。
テンプレの前には宿命も単なる配役。
そして、テンプレマスターはテンプレを守護するとともに、不出来なテンプレを破棄し新たなテンプレを作り出すことも可能です。
まさに神の領域です。
その視点は神の視点であり、運命を観測し、運命を破壊し、運命を作り出す。
ただしこれらには制約が存在します。
この世界には様々な称号や加護が存在しますが、それぞれに役割に沿った制約が科されているのです。これも一つのテンプレです。
テンプレマスターは世界の演出家。
脚本が悪いときは手直しをし、キャストの能力が足らなければ指導し、世界を演出していくのです。
演出家ですので主役にはなりません。
敵役にもなりません。
役者に欠員がある場合を除けばですが。
勇者と魔王がともに倒れた場合、舞台を続けるために裏ボスと二代目勇者を見つけなければなりません。相打ち終了もまあ悪くないのですが、テンプレと言っていいのか微妙なのです。
もし裏ボスがいなければ私が代役で裏ボスになることもあるかもしれません。私が適当にやられればいいので、勇者はその辺の脇役に任せます。
まあ、とある事情でそのような事態にはさせませんが。
この世界は勇者と魔王を中心とした冒険活劇です。
勇者と魔王のテンプレを観測操作するため、私は大賢者として勇者パーティーに入ったのです。
まあ、入らなくてもできるのですが、舞台は生で見易い席で堪能したい派なのです。
魔王側でも良かったのではと言われればそうなのですが、私こう見えても一応人間ですし、可愛い女の子なのです。
魔王軍四天王にはセクシーなサキュバスがいましたが、勇者パーティーには女性がいませんでした。
当然勇者パーティーに参加することにしました。サキュバスは乳や尻が大半はみ出たエロ痴女です。そしてキャラかぶりは御法度ですから、私は貧乳ロリツンデレ毒舌系大賢者です。
紅一点のためキャラの詰め込みが大変です。ツンデレは本意ではなかったので、もう一人くらい女性が欲しかったのですが。
勇者パーティーは許容範囲内とはいえ、若干テンプレを外れたパーティーです。
勇者がムッキムキのヒゲモジャオッサンなのです。まあ、すこぶるダンディーですが。
勇者のテンプレは民族によって異なるので仕方ありません。
人間族には白人族、黄人族、黒人族がおり、貧乳ロリを好む黄人族では少年の勇者が、白人族と黒人族ではムッキムキの無精髭中年勇者がテンプレです。
白人族の勇者なのでムッキムキです。テンプレとしては勇者の女仲間はエッロエッロの露出狂なのですが、ほぼサキュバスなのでキャラかぶりとなってしまいます。
ではサキュバスをコッソリ殺害してすげ替えるかとなると、私が露出狂をしないといけなくなりますから、却下した次第です。
白人族のテンプレと黄人族のテンプレを混ぜてしまったので、パーティー内の恋愛というテンプレが発生できませんでした。
まあ魅了を使えば発生するのですが、そこは王道テンプレの捕らわれの王女との恋愛を採用させていただきました。当然王女は美人です。テンプレですので。
いや、別に洗脳とかしてませんよ。シチュエーション調整による吊り橋効果と多少の演出は影響していますが。
「はいはい、起きてくださいー」
手を叩いて促すと、勇者と魔王はモソモソと起き上がってきました。
「覚悟しろ、魔王!」
勇者が仕切り直しました。長い旅で私のツッコミ魔法になれているのです。
「えっ!?」
魔王は戸惑っている!
しかし、勇者はつけ込みません。落ち着くのを待ちます。だって勇者なので。
そして私は二人の視界から外れる位置で、コッソリ紅茶とクッキーをたしなんでおります。
頑張れ勇者。