009
本日二話目
おはようございます。元魔法少女のクールビューティー、スカーレットちゃんです。
異世界転生謎解き編で、世界中に厨二病がバレていたことにショックを受け、とっとと不貞寝してしまいました。
前世ではあんなに頑張ったのになー
ハードボイルド冒険活劇してたはずなのになー
どうやら、お母様にとっては厨二病魔法少女とステキな勇者様のドタバタ大冒険だったみたいです。
そもそも私なんか戦死してるのに、最期コメディ風にされてるし、そんなに頑張ったのに、生まれ変わったら母親から前世の黒歴史ほじくり返されるし。
もう前世のことは封印します!
なかったことにして、はいスタート!
「おーほほほっ! ワタクシがスカーレット・バイロンですわ!」
悪役令嬢ってこんな感じで良かったでしょうか。正直あの小説あんまり憶えていないんですよね。
もっと思い入れのある話にしてくれたら良かったのに。
まあ、思い入れのある小説なんてないのですけど。おーほほほっ!
こんな感じで大丈夫なんでしょうか。不安です。
どこかにテンプレ転生腐女子とかいないのでしょうか。演技指導を希望します。
そもそも私、コメディ女優じゃなくて、本格派女優なんですよね。
えっ? 厨二病の本格派なんて無理がある? 厨二病ってなんのことですの、おーほほほっ!
とりあえず、髪型を縦ロールにしてフワッフワの扇子とか持ってたらいいんですよね?
で、誰を虐めたら良いのでしたか。
確か従兄弟の王子と婚約するのですが、なんちゃら学園に入学すると平民の特待生がいて、その女の子に王子が惚れてしまうという感じだったはず。
適当過ぎる?
いや、だって、テンプレを愛するテンプレマスターですよ? テンプレの中のテンプレみたいな話ばっかり読んでたので、登場人物の名前だけ違うだけで、似たような話しばっかりなんですもの。
共通していたのはランスロットとエリザベスの娘が悪役令嬢ということです。
考えてみると、勇者と王女の娘が悪役って結構不敬ですよね。よく発禁にならなかったものです。名前だけ借りてるだけなのでセーフとかでしょうか。
その設定が流行っていて、悪役令嬢シリーズ二十冊セットで銀貨一枚だったのでセット買いしたのですよ。
全部両親はランスロットとエリザベス。
作者が全部違うので、他の登場人物はバラバラ。
結末もバラバラ。
ざまぁして女王になったり、王子と結ばれたり、ギロチンだったり、追放だったり。
悪役令嬢の名前もバラバラだったはずですが、昨日の黒歴史蒸し返しによって、何冊かスカーレットになっていたことを思い出しました。
お母様が言うように、愛され魔法少女スカーレットちゃん扱いだったなら、多分スカーレットちゃんをギロチンはないでしょう。
まあ、どうせどれか分からないので、無理に原作通りにしなくても良いですね。
どれにしたところで、テンプレには違いないのですし。
テンプレマスター的にはギロチンもどんと来いですし、逃げる理由もありません。
あ、『お話の強制力が働いているわ! スカーレット怖いっ!』とかやるべきでしょうか。
でもなー
それやるとなー
また厨二病とか言われそうだしなー
やりたくないなー
いっそ、小説の世界というのは無視して違うテンプレに沿ってみるという手もありますけど・・・
テンプレチートのスキルも無くなったし、魔法もないから無双テンプレは今のところ無理。そもそも魔物なんていないし、戦争も無いので何を相手に無双するのか。
知識チートしようにも、享年13歳なので魔法と戦闘知識以外は大した知識もないし。そもそも文明的に、こちらの方が進んでいるところが多いです。
うーん、選択肢がない。
仕方ないので、令嬢としての完成度を上げるために、まずは美容と運動とお勉強から始めましょう。
手っ取り早いのは見た目ですね。
「セーラ、髪を縦ロールにして!」
「縦ロールですか?」
「うん、クリクリ巻いて!」
「ほほぅ! いいですね、いいですよ! お嬢様! 超可愛くしましょう! ささっ、お召し物も替えましょう」
セーラの鼻の穴が膨らんでいます。
セーラったら、いつもは眼鏡が似合う知的美人で、できる女感が凄いのに、時々残念です。
あっという間にフリフリの可愛らしいドレスに着替えさせられ、母譲りの柔らかな金髪が手際良く整えられていきます。
「超可愛いですわ、お嬢様!」
「なんか違うっ!」
全然クールビューティーじゃありません。ゆるふわスイーツ女子です。
これまたお母様譲りの垂れ目の碧眼が、金色のゆるふわ縦ロールによく合い、紅をさしたように赤くふっくらとした頬が子供らしさを強調します。
セーラが選んだフリフリのお洋服がぴったりとマッチし、全体的に甘く柔らかな感じにまとまっています。
垂れ目と合わさって、これ以上ないと言うほどに似合っていますが、悪役感が全くありません。
「早く奥様にもお見せしましょう!」
釈然としないまま、セーラに連れられてお母様の元へと参ります。
お母様はテラスでお茶をしておられました。お母様って働いているところ見たことないですね。
「キャーッ! 天使が降臨しているわ! カメラ、カメラをここに!」
お母様は興奮で頬を上気させながら、私の周りをグルグル回ってあらゆる角度から私のおめかしを堪能しています。
この世界は魔法がない代わりに、科学技術が発展しているので、前世には無かった人物や風景を画像として残すカメラと呼ばれる映写機が存在します。
侍女が持って来たカメラを受け取ると、再びグルグル回りながら撮影を始めました。
お召し物が汚れるのも厭わず、ローアングルからも激写です。
「はい、スカーレット、こっちに笑顔ちょうだい! いいね! もうワンポーズ!
よし、次はティーカップを持って! そう! その小首を傾げた感じ、最高!」
今日はお母様が荒ぶっておられます。誰かリラクゼーション魔法を!
そして一頻り撮影を終えると、いい仕事をしたとばかりに笑顔で汗を拭っておられます。
「これ、現像、ASAPね!」
まだ荒ぶっておられるようで、謎言語が飛んでいます。
「スカーレットったら、凄く凄く可愛いわ! 今日はいつもと違う髪形なのね」
「はい、お母様。セーラに髪を巻いてもらったの」
横で鼻の穴を広げたセーラが自慢気です。
「やるわね、セーラ! ウエルダン!」
「イエス、ユア・ロイヤル・ハイネス!」
お母様はサムズアップとともにウインクをセーラに送りました。
セーラも変なテンションで返します。
「もうっ、セーラったら! 今は王女ではありませんよ」
「失礼しました。ユア・グレース」
そう言えばセーラはお母様が元王女と知っていたのですね。昨日も驚いていませんでしたし。
まあ、ある日突然王弟が妻を連れて来たら、さすがに身元は確認されますよね。
ちなみに下の階級から上の階級を呼ぶときの呼称が決まっており、王子王女にはユア・ロイヤル・ハイネス、公爵・公爵夫人にはユア・グレースとなります。侯爵以下もまた別にありますし、王・女王もまた別にあります。
ややこしいですね。厨二病をくすぐってきます。けしからん、もっとやれ!
「分かりましたよ、スカーレット。テーマはビスクドールでしょう? 本当にお人形さんみたいに可愛いわ」
「違います! 悪役令嬢なのです! クールビューティーなのです!」
「あらあら、うふふっ。悪役なの? 悪役というよりマスコット、クールというよりスウィートですよ」
「もうっ、お母様ったら!」
もう、ほっぺたぷっくりです。ぶりっ子したいわけではないのですが、私の中の幼女成分が勝手にぷっくりするのです。
私が頬をぷっくりすると、お母様は必ず頬をつついてきます。
しかしプンプンなので避けちゃいます。ツーンです。
ツーンと顔を背けたら、セーラと目が合いましたが、また彼女は鼻を押さえていました。
我が家唯一のクールビューティーな彼女もすっかり鼻血キャラです。子煩悩過ぎですよ。
こんにちは! 無敵大賢者改め、いじられ幼女スカーレットちゃんです。
いつも読んでくれてありがとうございます。
でもね、評価や感想がなくてショボーンなのです。
まあ、ブックマークも少ないんですけど。
ブックマークしてくれた方、ありがとうございます! 特別に『スカーレット嬢を愛でる会』に入れてあげても良くってよ? おほほほっ
失礼しました。
ブックマーク・感想・評価などしてくれたら、スカーレット、にぱっとしちゃいます!
よろしくなのです。




