金とオーガとモヒー
モヒーはどこまで生き残れるのか!?
オアシスがピラミッド建てるような王国になっていたことにげんなりした俺は、しばらく駐留する予定を切り上げ、小娘を担ぎなおすとさっさと先へ行くことにした。
「おい、なんでこいつ一人だけくっついてきたんだ?」
俺が担いでいる小娘に尋ねたのは一人のヒャッハーについてだ。確かヒゲの作った国に全員労働力として使われていたはずだが・・・・・・?
「あれかしら、伝令にきた人?」
あー、そういやそんな奴いたな、すっかり忘れていた。
「ゼロ様ひでえっす・・・・・・俺っちの名前はモヒーっすよ。結構便利っすから連れていってくださいっす」
モヒー・・・・・・の割りにはモヒカンではない。むしろこいつはハゲだ。顔には変なペイントがしてある。こいつこれでかっこいいと思っているのだろうか。
「ねえ、モヒー?貴方の顔のペイントって流行なの?」
「気安く呼んでるんじゃねえぞクソアマが!!食っちまうぞオラア!!」
「ちょ!?そんなに怒ることないでしょう?ただ、おんなじペイントしてる人がいたから、はやってるのかなって思っただけよ」
「ああ?そんなわけねえだろうがクソアマ!!これはオーガタトゥーだ!!」
モヒーのいうことも最もである。今の俺達は砂漠を越えて岩山のようなところを移動しているのだ。ちなみに俺の旅の目的は、はるか彼方に見える謎の塔、あの上に登ってみたいからだ。他に理由はない。
「って、ほらいるじゃない」
俺は衝撃的なモノを見ていた。確かに似たようなペイントをしている。しかしその肌は緑色、筋骨隆々の体、ハゲあがった頭部、顔には牙がむき出しになっており、不細工なヒャッハーを更に不細工にしてもここまでいくかわからないレベルの造形だ。
「なんだテメエ?」
俺が聞くと同時に緑の不細工は吼えて棍棒で殴りかかってきた。
「機神破砕拳・重心障打!貴様は立ち上がることができなくなる」
俺の素早い拳を顎に食らわされたそいつは衝撃に脳を揺らされ、膝から落ちる。
「ゼロ様すげえっす!」
よくわからないから半殺しにして町まで運ぶことにした。
「えええ!?これオーガですよ!!金貨にすると10枚です。って生け捕りじゃないですか!?きいたことない」
岩山の町のギルドに運びこんだ緑のヒャッハーみたいなやつはオーガとかいうこの世界の怪物だった。強いらしい。生け捕りはレアなそうな。受付の女はかなり興奮していたが、モヒーのテンションが低い。
「どうした?」
「ゼロ様、どうせなら食料がよかったっすよ。こんなもんあっても役にたたなくねえっすか?」
「バカねー。それはお金なのだから、食料買いなさいよ」
『!?』
俺とモヒーの視線が合致する。
「ゼロ様」
「モヒー!!、食料買ってこおおおい!!!!」
「はいいい!!」
―――30分後―――
「ひゃっはー!!食料だあ!!うめええ!!ガツガツムシャムシャ」
「手づかみで肉を食べるのどうにかできないの?」
モヒーが片手で肉を掴んで食っている。確かに品がない。だがどうにもならぬ。
「無理だな。ヒャッハー共はそんなに器用ではない。せいぜいフォークが使えるくらいじゃないか?」
俺とモヒーは金の使い方を習得した!!
ギルド受付のメモ
オーガの生け捕りなんて前代未聞の偉業なのに、彼らは換金だけしてあっさりかえっていった。何事なのだろう。彼らにたのんでみようか、あの件を。
※ちょこっと人物紹介
ゼロ様・・・・・・略奪ばかりしてきたので、金の使い道を理解しているかあやし・・・・・・かったが、今日は覚えた。
小娘・・・・・・貴族なのでテーブルマナーは完璧。金の使い方は実は怪しい。
モヒー・・・・・・ヒャッハーのレギュラー。長生きできますように。
オーガ・・・・・・ただの巻き添え。
長生きできるかなモヒー・・・・・・。