少女の出発
騎士団の建物に戻ってきた。
「戻りました。」
「あら、お帰り〜!依頼、完了出来たかしら?トルトさんって少し頑固なところがあるけど……」
「出来ました。報酬も貰いましたし。」
「え?報酬?依頼の報酬は、事前にギルドに払って、それを達成した人に渡す仕組みだから……トルトさんが直接渡すことは無いはずだけど………」
「それじゃあ……このお金、返してきます。」
「あ、待って待って!多分それ、あなたにあげるつもりで渡したんだと思うわ。」
「ん……でも、余分に報酬を貰うわけには…」
「大丈夫よ!貰っておきなさいな。」
「……分かりました。」
初めての依頼達成。
それと、トルトさんから貰った分も含めて、30バルも手に入れた。パン1つを買うのが2バルなので、生まれて初めての大金だ。
アリナさんが、パンとスープを持ってきてくれる。
「それじゃ、もう夕方だし、これでも食べて寮で寝ておきなさい。」
「あ…ありがとうございます。」
パンを頬張りながら考える。
友達を探す。
私の旅の目標だ。情報収集をしたら、すぐにこの街から出なければならない。
もちろん、お金を集める必要もある。騎士団の建物がある街に着けば食料と寝所が確保出来るけど、無ければのたれ死ぬことになるし…
夕食後、騎士団の寮で一泊した。
部屋にベッドや机、椅子、棚などの家具が置いてあり、洗濯はしてくれるらしい。私は洗濯してもらう服が無かったけど。
そうして、スラムから出て1日目は終わった。
翌朝。
朝食にパンのスープ、牛乳を食べる。
「これからどうするの?スラムから出てきた、んでしょ?この町で暮らしていくなら、色々教えてあげるけど…」
「私…やらなきゃいけない事があって。」
「…そう。」
アリナさんは、パンを食べながらこちらを見つめてくる。
「まぁ、あんまり深くは聞かないけど、無理しちゃダメよ?まだまだ子供なんだから。」
「はい…大丈夫です。」
この街から出る旨を伝えると、アリナさんがこの国、というか地上で生活するのに必要な最低限の事を教えてくれた。
お金のこと、野宿のこと、国のルール、何かあったらどこに頼ればいいか、騎士団員の証明書…
ずっとスラムで過ごしてきたので、知らないことばかりだったが、地上は難しいことばかりだ。
「それでは…アリナさん、ありがとうございました…!」
「本当に大丈夫?もう少し、この街で過ごしていかない?」
「はい。大丈夫…です。」
「そう…。」
扉を開けて、外に出る。
「ありがとうございましたっ!!」
そう言って、街の外に向かって走り始めた。
「気をつけてね〜!」
と、アリナさんとお兄さんが手を振ってくれた。
ガチャリ、と、ギルドの扉が開く。
「おいあんた、アリナ。こりゃいったいどういう事だい?あんなガキに15バルも渡せって、猫1匹にはとても釣り合わんじゃないか。」
「あ、トルトさん。今行こうと思っていたんですが。これ、10バルです。お返ししますね。」
「どういうこったい。そもそも金は先にそっちに出しただろう。依頼額の5バルをね。」
「ふふふ…。どういう事でしょうね。」
「とぼけるんじゃないよ!!」




