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仮の少女  作者: 白玉
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スラムの少女

スラム。


それは、この世界で最も地位の低い者が集まる土地だ。



ここ、バルロ王国の地下スラムは、「平民」達の捨てたゴミや残飯が捨てられる廃棄場に出来た土地で、「下民」と呼ばれるゴミの掃き溜めだ。


そんな所に住む人間は、日々の飢えを凌ぐのでも精一杯で、到底外に出ようなどとは考えない。





ガサガサ…


と、ゴミの山を探す。


「うーん…ここはもう取られちゃったかなぁ…」


スラム第7地区に住む私、名前は無いが、住んでいる場所が廃棄場に近かったので、小さいながらになんとか生きることが出来ている。


そして何より、スラム内の暗黙の掟、「暴力禁止」があるからだ。


昔、スラムで1番偉かった人が、ただでさえ苦しい生活で、争いまで起こすことなどあってはならないと言ったかららしい。



ただし、第6地区は除かれる。


第6地区は、スラムに陣取る悪い奴等の本拠地で、廃棄物の壁に囲まれている。あそこは、一度入れば2度と帰れないと噂されていて、実際連れて行かれた人間が帰ったところを見たことが無い。



親も、兄弟も、親戚も居ない私は、スラムの色んな地区を行ったり来たりして、ギリギリの生活を送っていた。



そして今日も、板小屋の家の近くにあるゴミ山で、食料を漁っていたのだった。


見つけたのは、腐ったパンの切れ端と、ネズミの死骸。

運が良い日は魚や肉が見つかるのだが、今日はあまり良くなかった。パンを口に放り込み、ネズミは軽く炙って食べる。  


最初の頃はお腹を下してばかりだったが、今は随分慣れてきた。コツがいるのだ。もったいないが、頭は取り除く、足は食べない、とか。


たまに、ネズミを食べて、ぶつぶつが出来て死んでいる人がいるので、注意しなければならない。




いつも通り、ゴミだらけの道を通って小屋に戻った。

「え…………何…これ……」



そこにあったのは、燃え尽きた、灰の山だった。





目の前の状況を把握する事ができず、少しボーっとしていたが、ハッと意識を取り戻す。


「家が燃えて…」


どうしてだ……。自然発火かな?あり得なくは無いが、私はそこまでゴミを溜め込んではいなかった。


とすれば、放火……。でも、暴力禁止には、そういう行為も含まれていた筈だけど。



「……!」


灰の山を掻き分け、私の宝物が盗られていないか確認する。地面の下に埋めていたけど…。




「……良かったぁ〜…。あった!」


それは、小さな箱。そして、その中に入っている、生き別れた友達との思い出の指輪だ。


純金製のリングに、ピンク色のダイヤモンドが付いた、指輪。内と外で2つの指輪を取り外し出来た指輪を、内側が私、外側を友達が持っていたのだ。




それじゃあ、この小屋をどうするか。


第6地区の奴等がここ一帯を仕切っているから、もし何かトラブルが起きたら、第6地区に言いに行け、と言われている。でも、出来れば行きたく無い。

怖いし、何をされるか分からない。


「どうしよう……」


また別の場所に引っ越す?


でも、持っていた小銭や、売れそうな皮、非常食などは全て盗まれてしまった。

スラムでは、行き倒れて終わりだろう。




外は………


友達は、外に連れて行かれた。理由は知らないが、偉そうな人が来て、友達を選んで連れていった。


もしかしたら、もしかしたらだけど、今も友達は外で生きているかも知れない。


2年前のあの日、指輪を分けて再会を誓ったあの日から、私の生活は暗いままだった。


もし友達が、まだ外で私を待っていたら、思っていてくれたら………。







私は、外の世界に出ることにした。

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