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雷帝の後継者  作者: 森戸 玲有
第3章
16/56

2

 ――あれは、十年前のことだ。


 ユラは、トワと手を取り合い、砂漠の中を歩いていた。

 国にいたところで、どうせ殺されてしまう。それならば、平和な国に行こうと……。

 隣国に行ったら何とかなるだろうと、ただそれだけの思いで、無謀な砂漠横断を決めた。


 ――結果、死にかけた。


 実際、ユラもトワも、砂漠がどんな所かよく知りもしなかったのだ。

 視界を(けが)す風。どこまでも広がる黄色い砂だけの大地。


 ――もう助からないだろう。


 丸二日、飲まず食わずで、熱波の中にいて、自然とそれを理解した。


 ――……でも。二人はいつまでも死を迎えることはなかった。


「…………まだ、生きたい?」


 赤髪の男が、そう訊ねた。


 そう。

 ――――それが、すべての始まりだった。

 

 エンラのおかけで、ユラは生き延びることが出来た。

 あの時の選択を、後悔したことなんて一度もない。

 でも、エンラはどうなのだろう?

 二人に血を与えたことで、エンラの人生は、大きく変わってしまった。


(……父様は、もしかしたら、悔やんでいるのでは?)


 後悔していたとしても、おかしくはない。

 エンラ側に利点など一つもないのだから……。


(むしろ、私たちを助けたせいで父様は……)


 強くならなくてはいけない。

 能力だけではない。

 あらゆることで、ユラは頑張らなければならないのだ。

 (エンラ)を、がっかりさせるわけにはいかないのだ。


 ―――だけど。 

 後継者に選んだ娘のこんな醜態を知ってしまったら?


 そうしたら、きっとエンラは…………。

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