表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/15

重要な密書が

 いつものように、学校での一日を終えて、家に帰ろうと馬場と公太郎と一緒に教室を出ようとしたところ、俺達はエミリーに呼びかけられた。

「オー、シノビー今帰リデスー?」

 結構オーバーに手を振って、コチラへと近づいてくる。俺の横で若干二名ほど、はう、ほう、などといったうめき声を発しているものも居るが。

「うん、今帰りだけど何か用事有る?」

「ハイ、チョーット行って見たい場所があるケド、一人じゃ心細いネー」

「へぇ、一人で行きにくい場所ってこの近くにあったかなぁ?」

 この近くで一人で行きにくい場所といえば、移動販売クレープ屋ぐらいか。それにクレープ屋も男である俺が行きにくいだけで、エミリーは関係ないだろう。

「しし、忍殿ぉぉぉぉ!!」

 い、今幻聴が聞こえたのか!? 桜花の声がしたような気がするけど……

「なぁハム太郎、コーサカ今、コーサカを呼ぶ声がしなかったか?」

 馬場が周りをきょろきょろしながら言う。

「しし、忍殿ぉぉぉぉぉ!!」

「ほら、やっぱり聞こえる!」

 ヤバイ、何で桜花がこの時間学校に来るんだ!? まさか、緊急事態!?

「はぁ、はぁ、忍殿…重要な密書が此処に……」

 教室に残っている皆の視線が窓の外に集まる。

 俺もそれに習って俺の背後の窓を恐る恐る見ると……

「ぶっ!!」

 窓を開けて、上半身を覗かせている桜花が其処に居た。ちなみに言うと、此処は二階。

「忍殿、ほら、みてく……」

 素早く窓にぶら下がっている桜花の腹の辺りを両手で捕まえ一気に引き起こし、仰向けの状態で肩に担ぎ、一旦片手を外し鞄を持つ。

「皆、見るな、これは七不思議の一つぶら下がりお化けだ!! まともに見たら呪われるぞ!?」

 某きのこ男のレースゲームで黄金きのこが出たときの如く、全力ダッシュで俺は教室を後にする。ボタン連打だ、ひぁうぃ、ごー!!

「しし、忍殿ーーー何するんですか!?」

「うるせーーーお前には常識が無いのか、この馬鹿ーーー!!」

 なんとか、人ごみを避けて公園まで走って、そこで桜花を下ろす。

「で、どうしたのよ…その緊急事態は?」

「は、はい、実はこれを!」

 そう言うと桜花は携帯を開き、メールを見せる。

「何々…合格おめでとう、第三段階目の修行に移ります…詳細は……」

 デコメールで装飾されたメールである。突っ込むべき所が多すぎて何に突っ込んでいいかわからない。

「と、とりあえず、おめでとう、桜花」

「はい、ありがとうございます、忍殿! 手前のような半人前が合格できたのも全ては忍殿のご指導、ご鞭撻のおかげです!」

 ぎゅっと俺にくっついてくる桜花。喜ぶ桜花を見ながら、俺は先ほどのメールの事が気になって仕方がなかった。

「も、もう一度褒めて欲しいです…忍殿」

「あ、あぁ、何度でもお祝いしてやるよ、おめでとう」

 そう言うと、桜花の手から無数の花弁が空に踊る。

「忍法、花吹雪……」

 舞い踊る花弁を見つめながら俺は娘が志望校に合格した父親の気持ちってこんなのかな…なんて事を考えていた。

 その時だった……

「お、オォウ! シノビはやはり忍者だったのデスネー!」

 焦りながら振り向くと公園の入り口で両手を組んで喜んでいるエミリーが居た。

「え、エミリー!? こ、これは……」

 言い訳を考えていた俺にエミリーは笑いかけ、全てわかってますよという表情で口を開いた。

「ニンジャハ正体ヲバラセマセーン、シノビガニンジャトイウコトハ二人ノ秘密デース!」

 喜々としてそう言うエミリーに一抹の不安を覚えた俺だったが、とりあえず桜花の事が大々的にばれなくてよかった。

「其処ノニンジャガールノ名前ハナンデスカ?」

 桜花に詰め寄るエミリー。心なしか鼻息が荒く感じられる。桜花は桜花で未知との遭遇にかなりビビっている様子。

「て、手前は桜花です!」

 しゃがみ、片手を腰に、もう片手を膝の前につく。いつもの忍者スタイルで自己紹介をする。

「私ハエミリーデス、ミスオーカ!!」

 そんなこんなで日米代表の初顔合わせだった……。

「こら、コーサカ!! 何を勝手に終わらせようとしている!!」

 べしっと脳内で綺麗に話をまとめていたのを、脳内霧雨がその考えを蹴り飛ばす。くそ、脳内でも猪口才奴……ッ!!

「で、エミリー、そういえば学校で言っていた行って見たい場所ってどこよ?」

 桜花の登場で中途半端になっていた質問をエミリーに問いかける。数秒後、何の事柄か思い出したエミリーはオーバーなアクションで、

「オー、ツンデレ委員長から七不思議ノ話、聞いたデス、それで、確かめに行きたいデスケド、一人じゃ怖いネー!」

 エミリーからの認識もツンデレ委員長になってる委員長が少し不憫に思え、そしてまだ明るいうちに七不思議を見に行く、と言うちょっと間違った認識のエミリーを見て俺は吹き出した。

「あはは、エミリー暗くないのに七不思議調べに行くの?」

「ハイ、だって夜中に行って本当にゴースト出たらびっくりネ! ゴースト出ない時間に調べるネー!」

 む、そういう考えもあるか。気になるけど実際に見たくは無い。それだったら夕方とかに怪しい場所見て回ろうと。うーん、文化の違いって考え方も変わるのか。

「あー納得。じゃ、明日当たり、馬場やハム太郎も誘う?」

「おー流石シノビ!! 善は急げ、急がば回れデスネー!!」

 うん、日本人でも最近はたまにしか使わないことわざを使うとは、流石。しかし素晴らしく矛盾しているぞ。

「じゃぁ明日にでもやるか?」

「オーケー、オーケー!!」

 こうして、明日肝試しを行うことになったんだが、事態は大きく動き出していた。


何とか次話投稿でっす。

ようやく終わりの見えてきたこの話。

ラストまでもう少しがんばるぞぉ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ