16/63
金なしハックルベリー・フィンの話
それから
僕は立ち上がって
空を仰いだのさ
そこには
満天の星空が広がっていて
それは僕がそのとき
捨てちまったものなんかより
遥かに値打ちがあったね
世界は捨てたもんじゃないと
そう思ったよ
そうして僕はまた
前を向いて歩き出したのさ
道は後ろにも前にも続いていて
どっちにいっても
そのときの僕には関係なかったのさ
夜明までにどこかの
カフェまでたどりついて
一杯のストレートコーヒーと
バタートーストにでもありつければ
それでたくさんだと思ったわけさ
タバコはまだたくさんあったし
わけの分からない連中に
自由とこいつを取り上げられるのだけはいやだね
さてと
これからまだまだ
おいらの旅は続くわけさ
まったく人生ってやつは
予想がつかなくて
楽しいもんだよ




