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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0078 ペロン、魔法治療士になる

 そして俺は自分の食客となったペロンに、さらなる提案をしてみた。


「それと、ペロンは治療魔法が使えるんだろう?」

「はい、一番簡単ニャのですが」

「それだったら、このメディシナーにいる間だけでも、僕たちと一緒に無料診療所で働いてみないかい?

そうすれば寮に入れるだろうから、寝る場所もあるし、軒先で寝る必要も無いよ。

食事に魚が出るかどうかはわからないけど、御飯だって僕たちと同じだよ?

それならメディシナーにいる間だって、誰にも遠慮する事はないだろう?」

「はい!それもやってみますニャ!」


ペロンは俺の提案に乗り気のようだ。

そして俺はもう一つ、肝心な事をペロンに聞いてみた。


「それと、もう一つ聞きたい事があるんだけど・・・」

「ニャンでしょう?」

「その・・・ペロンは頭を撫でられたり、体を撫でられたりするのはイヤかな?」

「相手によりますニャ。

好きな相手ニャら嬉しいですが、嫌いな相手にニャでられるのはイヤですニャ」

「じゃあ、僕が撫でるのは大丈夫かな?」

「御主人様なら大歓迎ですニャ!」

「うっはー!じゃあ、早速モフ・・・いや撫でさせてもらって良いかな?」

「はいですニャ」


ペロンの許可を得たので、俺はペロンを思う存分モフる。

頭から背中から全身をモフりまくった!

うっわー、やっぱり、本物?はいいな♪

修行の妨げになるので、ハムハムを家に置いて来たが、やはりモフモフはいい!

ペロンは嫌がるふうでもなく、まさに猫のように俺にされるがままになっている。

しばらくペロンの全身をモフると、俺も満足して終わる。


「ふう~気持ち良かった。

また気が向いたら撫でさせてね?」

「はい、いつでも構いませんニャ。

御主人様に撫でられるのはペロンも好きですニャ。

むしろもっと撫でて欲しいくらいですニャ」

「そうか、ではこれからよろしくね、ペロン」

「はいですニャ」


そして俺はふと気になった事をペロンに聞いてみた。


「そういえば、ペロンがボクの食客になってしまって、アリスちゃんは大丈夫なのかい?

 今までペロンと仲が良かったんだろう?」

「はい、アリスはボクも大好きですニャ。

 半年前にこの町に来て、一番仲良くなったのがアリスで、ずっと家にお世話になっていましたニャ。

でもアリスの家でお世話になる時に、アリスの御両親が「ケット・シーはいつまでも同じ家にいない。いつかはわからないけど、突然家を出て行く物だ」と、教えてくれていたので、アリスも納得してくれましたニャ。

アリスの家は元々お金には困っていニャかったのですが、この半年でずいぶんと裕福になったので、ある程度は御礼も出来たと思いますニャ。

それに別にもう会えなくなる訳ではニャいし、メディシナーにいるうちは、いつでも会おうと思えば会えるから大丈夫ですニャ。

だからアリスと御両親にはちゃんとお礼を言って出てきましたニャ。

それに例えこの町から出て行っても、いつかはまたアリスとも会えますニャ」


どうやらペロンは今までお世話になっていたアリスの家にもきちんとスジは通してきたようだ。

確かにこれで永遠の別れという訳でもないので、俺たちと一緒にロナバールに行ったとしても、この先もいつかは会えるだろう。


「なるほどね・・・確かにまたいつかは会えるか・・・ん?そういえば、ペロンって、年齢とかレベルとかっていくつなの?」

「ケット・シーは生まれた時がレベル1で、最初の百年位は、毎年自然に年とレベルが一個ずつ上がって行きますニャ。

それ以降はレベルが上がるのは遅くなって、2年とか5年に一度しかレベルは上がりませんニャ。

ペロンは今年で65ですニャ」


何と!この見かけで65歳なのか?

しかし、それって年寄りなのか?それとも若い方なのか?

ケット・シー基準的にはどうなのだろうか?


「65?ケット・シーの寿命はいくつくらいなの?」

「ケット・シーの寿命はボクもよくわかりませんニャ」

「え?わからないの?」

「はい、短い者はボクくらいの年齢で消滅してしまいますニャ。

 でも長老とか長生きの人たちは1000歳を超えている人もいますニャ。

どうしてそうなるのかは、ボクたちケット・シーにもわかりませんニャ」

「そうなんだ・・・」


よくはわからないが、俺としてはペロンには長生きして欲しい。

そう俺が考えていると、まるでその考えを読み取ったかのようにペロンが答える。


「でも、ボクの場合は御主人様と一緒な気がしますニャ」

「え?どういう事?」

「何となく、御主人様がこの世からいなくなったら、ボクも一緒に消滅するような気がしますニャ。

でもこれは単なる予感なので、当たるかどうかはわかりませんニャ」

「なるほど・・・

でも僕はペロンには、出来るだけ長生きをして欲しいな」

「ありがとうございますニャ」


こうして何故かケット・シーのペロンは俺の食客で部下と言う事になった。

でも、それはあくまで建前で、実際には一緒に住む、猫友達といったところか?


そして次の日に、俺は第三無料診療所の人事担当のステファニー診療部長に、ペロンの事を頼みに行った。


「・・・と言った訳で、このペロンをここで臨時魔法治療士として雇っていただきたいのですが?」


俺の話にステファニーさんは考え込んでしまった。


「シノブ治療士・・・あなたはどうしてこう、私を悩ませる事ばかりするのですか?」

「え?何かまずい事を言いましたか?」

「ケット・シーを診療所で雇うなんて、聞いた事もありません」

「え?じゃあ、だめなんですか?」

「いいえ、ダメという話も、聞いた事はありません」

「え?ではどっちなんですか?」


俺がそう質問すると、ステファニーさんは頭を抱えて答える。


「だから、どうして私を悩ませるのかと言っているのですよ」

「はあ、では私の時の様に、所長か、副所長に聞いてみたらいかがでしょう?」

「確かにこの件は私の裁量の範疇を超えています。

 でも確か今日は、生憎と所長とドロシー副所長はおらず、オーベル副所長しかいないんですよね・・・

あの人に聞いた場合、答えはもう決まっているような気がします」


あ、それは何となく俺もわかる気はする。

ステファニーさんは渋々と立ち上がると、オーベルさんを呼びに行く。

すぐにステファニーさんはオーベルさんを連れて戻ってくると、副所長が嬉しそうに話し始める。


「やあやあ、シノブ君!

今日は例のケット・シーが治療士の応募に来たんだって?」

「はい、ペロンですニャ」

「やあ、ペロン君、君は治療魔法が使えるのかい?」

「はい、一番簡単な低位治療だけですが、使えますニャ」

「ふむ、つまりこちらの基準で言うと8級と言う事だね?

それだと臨時治療士で、日給が銀貨1枚にしかならないが良いのかね?」

「はい、寮に住まわせてもらえて、御飯を食べさせてもらえれば良いですニャ」

「うちの診療規則は守れるかな?」

「はい、それはもう読みました。大丈夫ですニャ」

「なるほど、はい、では採用決定!」


え?そんな簡単に決めちゃうの?

俺が驚いていると、ステファニーさんも同じ事を感じたようだ。


「そんな!副所長!

そんな、簡単に決めてしまって良いのですか?」

「うん、何か問題がある?」

「え、だって・・・その・・・相手はケット・シーですよ?」

「別にうちは人間じゃなくても、アイザックだろうが、妖精だろうが、治療魔法が出来て規則さえ守ってくれるなら、何も問題はな~いの!

そもそもジャベックだって治療に使っているくらいなんだから。

だからケット・シーだろうが、ドラゴンだろうが、治療魔法が使えて規則を守ってくれるなら何も問題はなし!

診療規則は守ってくれるんだろ?ペロン君?」

「はい、大丈夫ですニャ」


ペロンがそう答えると、オーベル副所長も満足げにうなずいて答える。


「ほら、本人が大丈夫だって言っているよ」

「はあ・・・」


ステファニーさんは困惑気味だ。


「それにケット・シーは幸運を呼び込むって言うじゃないか?

 それなら治療士としてでなく、ただのマスコットとして、うちにいてくれるだけでも大歓迎さ」


やはり、想像した通り、この副所長はノリノリでペロンの採用を決めた。

まあ、俺としてはありがたいから良かったけれどもね。


「よし!じゃあこれでペロン君の採用は決定!

寮の部屋は空いているね?

今日から入っても構わないよ。

うちは忙しいから早速明日から勤務してくれ。

ははっ!これが本当の猫の手も借りるって奴かね?」


いや、誰がそんなうまい事を言えと言った?

って言うか、こっちの世界にもその言葉あるのか?

しかし、無事、ペロンが採用となったのはありがたい。

これでペロンもここでの居場所が出来たし、俺もエレノアと気兼ねなく暮らせて、宿屋でイチャコラできる。


次の日になって、ペロンが初出勤して来たが、考えてみれば、ケット・シー用の白衣などない。

急いで事務員の一人がシーツを使って、間に合わせの白衣を作ったが、ペロンはそれで満足のようだった。

羽根つき帽子とマントとサーベルを外し、長靴に白衣を纏った姿のペロンは中々様になっていた。

それにしても猫が白衣着ているのって、初めて見たな。

まあ、正確には猫ではないけれど。


レオニー所長とドロシー副所長が出勤してきて、ペロンが魔法治療士になっているのを見て驚いたようだったが、しばらく様子を見ていると、問題なく患者の治療をしているので、安心したようだ。


「はい、これで大丈夫ですニャ」

「ありがとうございます。猫先生」

「また、体の具合が悪くなったら遠慮なく来るのニャ」


ケット・シーのペロンは、たちまち診療所の人気者となっていった。

猫先生と言われるペロンに診てもらいたがる患者はたくさんいたが、無料診療所では治療士の指名は出来ず、あくまで診療する順番はその場で決まるので、ペロンに当たった者はそれだけで幸運だと言われていた。

一番低位の治療魔法しか使えないのだが、その魔法が不思議に効くと評判が立っていった。

おそらくは単なる気のせいで、いわゆるプラセボ効果の一種なのだろうが、とにもかくにもペロンの人気は上がっていった。

こうしてペロンは第三無料診療所の人気者として、その居所を得たのだった。


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[良い点] すっごく面白いです。
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