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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0048 エレノアの値段

 そして、約束の3ヶ月目がついにやってきた。

それはあっと言う間だった。

そう、たったの3ヶ月なのに、俺はもうエレノアを手放せなくなっていた。

何しろ炊事・洗濯と家事万端をさせてよし、戦闘をそつなくこなし、話し相手としても最高、魔法や戦闘の師匠としてなどは何の欠点もない。

この世界のあらゆる事に精通し、万能な秘書のように状況を整える。

そして夜に至っては、もはや言う事なしである。

さすがに万能型奴隷の名に恥じない状況だった。

いや、それ以上だ!


こんな人材がこの世界に二人といる訳がない!

いや、例え別の世界を探してもいないだろう!

仮にいたとしても俺と縁がある訳がない!

そんな人物が理由はわからないが、とにもかくにも自分に献身的に仕えてくれているのだ!

これはもう手放せない!

むむむ・・・まんまと相手の策略に乗ってしまった気がする。

・・・いや、もういいです!

私の負けです!

完全敗北です!

素直に言います。

エレノア様には一生勝てません!

仮に将来自分が彼女よりレベルが上回ったとしても、永久に勝てないと思います。

色々な意味で。

彼女なしの生活なんてもうありえません!

土下座だろうがなんだろうが、自分に出来ることなら何でもします!

いえ、させていただきます!

だからどうか一生自分のそばにいてください!


 もう俺は完全に卑屈な奴隷根性だ。

どっちが奴隷だか、わかりはしない!

それほど俺はエレノアなしではいられない体に身も心もなってしまっていた。

完全にスーパー御姉様エロフに調教されてしまった格好だ。

正直数日前まで俺も迷っていた。

結局はこのエルフは俺を利用するためにこうして尽くしているのではないかと。

しかし最後の三日間で俺の心は決まった。

もしエレノアが俺を騙していても構わないと思った。

極端な話、それこそ仮にエレノアを買った瞬間に、悪魔に変化して俺の命を奪ったとしても構わないとさえ思うようになった。

この3ヶ月は本当に楽しかった・・・

前世の数十年がつまらなかった事だらけという訳でもなかったが、この3ヶ月はその数十年を補って余りある3ヶ月だった。

そう、仮にこれで俺の転生人生が終わったとしても悔いがないと思ったほどだ。

それほどエレノアは俺に尽くしてくれた。

もちろん俺は何度もそれは俺を何かに利用するために、仕方なくしている事なのかとも考えた。

しかしもう俺は仮にエレノアが俺を騙しているのだとしても、騙してもらえている限りはずっと騙され続けようと思った。

盲信、溺愛、というのはこんな感覚なのかなと思ったし、美女奴隷のサロメに騙された主人もこんな感じだったのだろうか?とも考えた。

しかし、どちらにせよ、もう俺の答えは決まっていた。



卑屈な重い気持ちで、俺がエレノアと共に奴隷商館を訪ねると、アルヌさんが笑顔で出迎える。


「お待ちしておりました、シノブ様」


すでに覚悟を決めたとはいえ、今や卑屈な被害妄想の塊の俺には、その笑顔ですら何かの罠に見えてくる。

くう~~、全く・・・どうですか?エレノアは気に入ったでしょう?

さあ、買いましょうよ!

買わないと一生後悔しますよ?と薦めているようにしか見えない。


「ああ・・・」


暗く答えた俺にアルヌさんが心配そうに答える。


「どうされましたか?

随分と気が滅入っているご様子ですが、エレノアはお気に入りませんでしたか?」

「いや、そんな事はないです!」


俺は即座にブンブンと全力で首を横に振って否定した。


「では何か心配事でも?」

「・・・いや、そのエレノアに関してです」

「エレノアに関して?」

「彼女は結局いくらなんですか?」


この3ヶ月、俺はエレノアに何回か聞いてみたが、結局それだけは彼女は答えてくれなかったのだ。

ただ必ず購入は出来るので、安心してくださいというだけだった。


「では気に入っていただいてご購入という事で?」

「そうです、一体彼女はいくらなんです?

 私に購入できる額なら買いたい!」


もうエレノアが買えるなら俺の持っている物、全部と交換でも良い!

そう大声で叫びたい位だった。

そんな俺に奴隷商人のアルヌさんはついにその額を口にする。


「はい、エレノアの金額は・・・」

「金額は・・・?」

「あなた様の財産の半分でございます」

「は?財産の半分?」


その意味は、今ひとつ俺にはわからなかった。

財産の半分ってなんだ?


「はい、お客様のお持ちの財産の半分を料金としていただきます」

「え~と?財産の半分と言っても、色々あるような気がするんですが?」

「はい、具体的に言えば、装備品と日常雑貨を除いた所有物の全ての半分でございます」

「装備品と日用雑貨以外?」

「はい、例えば剣や鎧、特殊効果がついた指輪などの装備品、そして薬草や回復剤などの類は入りませんが、金貨、銀貨、銅貨と宝石類に貴金属、それに土地家屋などがあれば、全てそれの半分を料金としていただきたいのです」


自分は土地や宝石など持っていない。

装備品と雑貨を除くのであれば、金銀銅貨のみが財産と言っていい。

それと念の為にと、もらった金の延べ板が、大小合わせて200本だ。

しかしその額を相手はどうやって知るのだろうか?

どうやって相手が言った額を本当かどうか調べるのだろうか?

俺は不思議に思って、それを聞いてみた。


「しかし・・・その金額というか、財産をどうやって教えるのですか?」

「お客様がおっしゃった額の半分が、そのまま料金となります」

「えっ?」


その言葉に俺は驚いた。


「では、私が銀貨十枚が全財産だと言えば?」

「はい、当然エレノアの値段は銀貨5枚となります」

「しかし、それでは私が全財産は銅貨が2枚しかないと言ったら?」

「もちろん、その場合は銅貨一枚となります」


まさに言い値だった。

驚いた俺がアルヌさんに尋ねる。


「いや、ちょっと待って!それじゃ買う方が騙し放題でしょ?

そんなんで商人としていいの?」

「しかし、私どもと当人のエレノアがそれで納得をしています故に」

「では、もし私が一文なしだと言ったらどうなるんです?」


その俺の質問にアルヌさんがちょっと考えて答える。


「その場合はそうですねえ・・・仮に一文なしと言っても、何かしらの御品物はお持ちでしょうから、それを売っていただいて、その売った金額の半分で、手を打つといたしましょうか」

「何を売ればいいのですか?」

「それは薬草でも、予備の剣でも服でも何でも・・・」

「・・・・」


あきれた話だった。

これではただで最上級の奴隷を売るというのも同然だった。


「本当にそれで良いのですか?」

「はい、当店はそれで全く構いません。

何度も言いますが、エレノアは色々と特別な扱いでございますから。

それにこれは元々エレノアが提案した事ですので」


俺は考えた。

これは一体どういう事なのだろうか?

これではこちらの言った値段で売るというのも同様で話にならない。

エレノアほどの万能奴隷を、銅貨1枚でも売ろうと言うのだ!

しかし自分はエレノアに対して嘘をつきたくなかったので、考えた。

もちろん虚偽の金額を言うのは簡単で、決して相手にはわからないだろう。

銅貨1枚は極端にしても、金貨500枚と答えれば、その半分で250枚。

今までの聞いた相場からすれば、十分に大きな商売になるはずだ。

それで問題はないだろう。

そう考えながらも俺はエレノアを見た。

エレノアはいつものように微笑んで立っている。

俺は向き直ってアルヌさんに聞いた。


「・・・一つ聞きたいが、その金額は誰にも言わないでもらえるのですか?」

「もちろんそれは可能です。

商人としての信用にかかわりますからご要望とあれば、誰にも話したりはいたしません。

ただし私は当館の仕事を任されておりますが、エレノアの支払だけは父が受け取る事になっておりますので、本当にご購入するのであれば、父を呼んでまいります。

そしてその金額は私にもエレノアにも内密にさせていただきますよ」

「いや・・・エレノアには知られても構わない。

ただ、エレノアもその事を誰にも言わないのであれば」

「もちろん御主人様の御命令とあれば、誰にも話したりはいたしません」


横にいたエレノアが保証する。


「そうか・・・では少々自分の財産の計算をしたいので、待ってもらってよいですか?」

「ええ、どうぞ、ごゆっくり・・・

もし銀貨や銅貨の枚数が多いようでしたら、多少の誤差は構いませんよ」


それはそうだろう。

相手はこちらが銅貨2枚と言おうが、金貨が100枚と言おうが、どちらでも良い状態なのだ。

多少の貨幣数枚など、まさに誤差の範囲内だろう。

そう考えた俺はすぐさま方針を決めた。


「わかった、それならば計算するまでもない。

 今すぐ支払おう!」

「え?よろしいのですか?」


俺の即断にアルヌさんも驚く。


「ああ、構わない。

 ただし先ほども言ったが、この額は必ずこの3人とあなたの父上以外には内密にしていただきたい」


俺の財産を不特定多数の人に知られる訳にはいかない。

そんな事を知られたらどれだけの盗賊たちが俺を狙ってくるか分からないほどだ。

その点だけは確実に釘を刺しておきたい。

俺の話にエレノアが答える。


「それはもちろんです」


同じくアルヌさんも答える。


「心得ました。しかし私は除かれても結構ですよ」

「いや、あなたにはここまで関わってもらったし、私はあなたを信じよう。

 だからあなたのお父上を呼んできて欲しい」

「わかりました、ではそちらに座って少々お待ちください」


俺がソファに座り、エレノアがその場で立って待っていると、ほどなく、アルヌさんとその父親らしき人物が入ってきた。

見た目は50代後半の、いかにも大商人という感じの男性だ。


「これはこれは・・・私、この奴隷商館の先代主人でベルヌ・バ―ゼルと申します」

「はじめまして、シノブ・ホウジョウと申します」

「何でもこのエレノアをご購入いただけるとか・・・失礼ながら本当でございますか?」

「はい、本当です」

「購入金額のお話も伺っておりますね?」

「はい、全財産の半分ですね。

 それもこちらの言い値で」

「はい、まさにその通りでございます」

「しかし、先ほど息子のアルヌさんにも確認しましたが、それでこちらが銀貨1枚と言い出したらどうするのですか?」


俺の質問にベルヌさんは笑顔で答える。


「それでも構いません。

 銀貨1枚であれば、その半分、銅貨50枚で結構でございます。

 それがこのエレノアとの取り決めでございますから」

「そしてその額は、今この部屋にいる者以外には内密にしていただけると?」

「はい、それも息子から伺っております。

当然御客様の秘密は商人として守らせていただきます。

私も息子も決してエレノアの購入額を口外する事はございません」


その言葉に俺は覚悟を決めた。

エレノアを買おう!



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