0047 最後の御奉仕
「お待たせしました!こちらへどうぞ!」
「う、うん」
エレノアについてもう一つの隣の部屋へ行くと、そこは広い洗面所のような場所だった。
「ここでお召し物を脱いでいただきますね」
そういうとエレノアは手馴れた動作で俺の服を脱がしていくと、その服は近くにあった、籠の中へと入れる。
あれ?これって?ひょっとして・・・?
「さあ、こちらへどうぞ!御主人様」
エレノアに誘われるままに、さらに隣の部屋へ行くと、そこは豪華な浴室だった。
「うはっ!」
広さは12畳ほどもあり、奥の方にはお湯が満々と湛えて張ってあり、その横からはライオンのような生き物のレリーフがあり、その口からはジャバジャバとお湯が出ている。
「さあ、どうぞお座りください」
「う、うん」
俺は言われるがままにイスに座ると、エレノアが俺の体を洗い始める。
「さあ、今から坊ちゃまをエレノアがきれいにしてさしあげますからねぇ」
いかん!エレノアがお姉さまモードに突入した!
今日はどこかのお坊ちゃま扱いか!
こうなると俺にはもう逆らえない!
いや、逆らいたくない!
「はい・・・」
無抵抗になった俺にエレノアは石鹸をつけたタオルで全身を洗っていく。
「あの~エレノアさん・・・」
「はい、何ですか?」
「最後のご奉仕って、これ?」
「はい、そうです。
坊ちゃまは御風呂が好きですからね。
だからエレノアがどうしてもこうして、坊ちゃまの体を洗いたかったのですが、こうして二人っきりで入れる御風呂は、私の知っている限りでは、この辺では、ここしかなかったんですよ」
「そうなんだ・・
この世界にこんな風呂があるとは思わなかったよ」
「ええ?いかがですか?
気持ちいいですか?」
「はい~~」
エレノアの質問に俺は情けない声で答える。
何言ってんだ!このエロフ!
美人巨乳エルフと二人きりで豪華風呂!
これが気持ち良くない訳ないだろ!
ちくしょ~、また騙された気分だぜ!
てっきり最後の特訓だと思ったらこう来るとはな!
このホテルに来たのはこのためだったのか!
はっはー!このためなら金貨12枚程度、惜しくも何ともないぜ!
ヤッフ-!エロフ万歳!
全く巨乳エロフはたまらないぜぇい!
このまま明後日まで全身がふやけてシワシワになるまで、ここに入っていたいくらいだぜ!
「お気にいられたのでしたら、このまま三日間ここにいて、エレノアがご奉仕をしてもよろしいですよ?」
ぬうっ!このエロフめ!
またもや俺の思考を読んだな!・・・はい、もうバレバレです。
私の行動パターンは、この先生に完全に見透かされています・・・
「うん、もう、ホント、そうしたい・・・」
「でもせっかくですから、お食事だけはしますか?」
「そうだね」
俺は風呂から上がると、エレノアが甲斐甲斐しく俺の体を拭く。
「では、食事を頼みますから待っていてくださいね」
「はい」
俺が長時間の風呂でボーッとしていると、食事が運ばれてくる。
スープ、前菜、魚料理、肉料理と様々な料理が広いスイートルームを埋め尽くすように運ばれてくる。
給仕たちがさると、広い部屋を半ば占領した料理を見て、俺があきれる。
「これで2人前なんだ?」
「いいえ、これは1人前ですよ?」
「え?」
アホか!どこの相撲取りか、大食いチャンピオンだ!
こんなに一人で食える訳ないだろう!
俺の心の叫びを聞いたのか、エレノアが説明をする。
「まあ、そうは言っても実質は2人前以上ですけれどね。
本来は主人が食べた後に、奴隷たちが余りを分けて食べるわけです」
な~んだ、それなら納得だ。
「じゃあ、食べようよ?」
「はい、どうぞ、御主人様」
「いや、エレノアも一緒に食べるんだってば」
「いえ、先ほども説明した通り、奴隷は余り物をちょうだいするだけですから」
「だからいつも言っているでしょ?
僕と二人きりの時はそういうのはなしだって」
「承知しました。
それでは御一緒にいただかせていただきます」
「うん」
そうそう、やはり、食事は二人で食べた方が断然おいしい!
ましてや相手がエレノアのような美人ならなおさらだ。
いや、それにしてもうまいわ!
この食事、さすが高級ホテル!
俺はこの世界に転生して、これほどうまい食事は、初めて食べた。
パンにサラダにスモークサーモン、ジャガイモのスープにステーキ、
最後は数種類の果物の盛り合わせだ。
正直、味付けは単純で、複雑な料理は一つもないが、全てが良い素材らしく、とてもおいしい。
食事が終わると、エレノアが俺に尋ねる。
「どうしましょう?また御風呂に入りますか?」
「うん・・・そうだね」
それは抵抗しがたい魅力的な提案だったが、俺は別の提案をする。
「でも、せっかくあんな良いベッドがあるんだもの。
少しはあそこで寝てみようよ」
「承知いたしました」
そう言って二人は寝室へと向かった。
ベッドで横になったエレノアに俺がポツリと尋ねる。
「ねえ、エレノア・・・」
「はい、なんでしょう?」
「君は僕にまだ言えない事があるって言ってたよね?」
「はい・・」
「あさって・・もし僕が君を買ったとして、いつか君がそれを僕に言ったら・・・君は僕のそばからいなくなっちゃうのかな?」
「いえ、そんな事はありません。
それだけは保証させていただきます」
そのエレノアの言葉に俺は一安心した。
しかし、俺はこの3ヶ月考えていた事がある。
エレノアは俺を探していた。
正確には俺のような能力を持つ者をだ。
そしてそれは見つかった。
そして奴隷として仕えようとしている。
しかしなぜそんな事をするのか?
もちろんそれには何か重要な理由があるのだろう。
エレノアはいずれ話す時が来ると言っている。
それは俺がエレノアの望む能力を身につけた時なのではないだろうか?
そしてそのためにエレノアは自分を鍛えているのではないだろうか?
だからもし俺がエレノアの望む能力をつけた時に、その頼みごとを断った時は?
そう考えた俺は質問をしてみた。
「もし君が将来、僕に何らかの重大な頼みごとをして、僕がそれを断ったらどうするの?」
その俺の質問にエレノアは間髪をいれずに答えた。
「何も問題ございません。
それでも私は御主人様に仕えさせていただきます」
「でも・・・そうなったら君は僕を恨むだろうね・・・」
自分がこれほど尽くして相手に頼みごとをしたとして、それを断られたら、いくら何でも怒るのではないだろうか?
そうしたらエレノアは自分の下を去ってしまうのではないかと俺は恐れた。
「いいえ、そんな事はありません。
元々私は隠し事をして、シノブ様にお仕えしているのです。
それを話してあなたがその話しを拒否するとしても、恨む筋ではございません。
こちらで勝手にしている事なのですから・・・そのような事をシノブ様がお気になさる必要はございません」
「そうか・・・僕も、もし君がその話をする時は、一生懸命聞きたいと思うよ」
「ありがとうございます」
「エレノア・・・」
「何でしょう?」
「エレノアは以前、僕に目的は何って聞いたよね?」
「はい」
「僕に目的ができたよ」
「何でしょう?」
「エレノアに尊敬してもらえるような人間になる事、
そしてエレノアが困っている時に助けてあげられるような人間になる事」
「私は今でも御主人様を尊敬しておりますよ」
もちろん、それはわかっている、しかし俺がいいたいのは、そういう事ではないのだ。
「うん、ありがとう」
そう言って俺は眠りについた。
エレノアの手を握りながら・・・
こうして俺とエレノアの最後の3日間が過ぎていった。




