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復讐は竜の味  作者: 猫殿
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出会い

初めて書き出した小説から一年が経っていました、、。

温かい目で見てもらえると嬉しいです。

秋が近づき、南から吹く風が徐々に冷たさを増してきた。窓から外を見ると父が畑仕事をしているのが見える。


畑に植わっている最後の野菜たちを収穫しているのだ。


私も手伝おうと上着を着こみ畑に出る。



「もうすぐ冬が来るね」


そう父に言うと、屈めていた腰を伸ばしつつ父がこちらを見た。


「そうだな、去年ほど雪が降らなければいいが、、」



そう困り顔で言う父の顔を見て、私は少し切なくなった。 去年より白髪が増えたような気がする。


私の家は男爵位を頂いているが、いわゆる貧乏貴族。自分たちで野菜を育て、家畜の世話をしなんとか生活している。


父の苦労の程は知れない。



大きく育った芋を収穫していると、ことさら強い風が二人に吹き付けた。


「よし、これで最後だ。風も強くなってきたし家に入ろう」


父は芋が入ったカゴを持ちながら私を急かした。



家に入ると母が夕食の支度をしていた。

「ノラ、夕食の手伝いをして。芋の皮をむいてくれる?」


エプロンを付けた母を見て、寒かった体がほぐれるような気持になった。


「いいよ、でもメイズとサティアは?」


姉と妹の名前を出すと母は少し気まずそうな顔をした。


「あの二人は良いの、忙しそうだし、、」



ああ、またか。。


私は毎度の事だと分かってはいたけれど、がっかりする表情を隠しきれない。


あの二人は私より美人で器量も良い。つまり、二人とも彼氏がいて、恋愛話が尽きることを知らないのだ。


ましてや姉は来年の春に結婚式を挙げることが決定している。羨ましいことだ。


「はあ、分かった。早く作ろ」


父が持っていた芋を数個受け取り、キッチンへ行き母と料理を始めた。



***



「もう雪が降りそうだな、外に雪虫が飛んでたよ」

父が誰にともなく喋りかけた。


「そうね、そして雪が解ければすぐ私の結婚式よ!」

姉がルンルン気分でそう言った。



「今から準備を始めないと間に合わないわね、ドレスはどこで作るかもう決めた?」


母が姉に問いかける。横で話を聞いている妹も混ざり、若い娘のように騒いでいた。


私は話を聞いているような顔をしていたが、内心早くこの話題が終わってくれと願っていた。



一通りドレスの話をした母がこちらを見て嬉しそうに話しかけてきた。


「それで、ノラは良い人いないの?」



姉たちに比べ、私は顔も良くはないし、おしゃれより動物の世話や、釣りをするほうが好きだ。


もちろん彼氏はいない。私の手は父に似てごつい。


髪を短く切れば兄にそっくりになるだろう。



そんな期待に満ちた目で言われても、いつも返している言葉を繰り返すだけだ。


「居るわけないでしょ、毎日畑やら動物の世話の手伝いしかしていないんだから」


「そっか、残念」


母ももう50歳を過ぎているはずなのに心はいつまでも若いままだ。


黙々と食事をしていた父も少しあきれ顔だ。



その後も三人はきゃあきゃあと話を続け、私と父は静かに食事を済ませた。



***



「おはようノラ」


家にいる羊たちの世話をしていると、後ろから声をかけられた。


振り返ると、見慣れた顔の女の子が立っていた。長いブロンドの髪は美しくウェーブしていて、目は猫のように挑発的な目をしている。


小屋の外からの光が後光のように射していて、お姫様のようにキラキラしていた。


「おはようアミー」

眩しさに目を細めながら挨拶を返した。



アマンダはご近所さんで、私と同い年の18歳の女の子だ。


いわゆる幼馴染。


愛嬌と少しわがままな性格で小悪魔的な可愛さを持っている。もちろん彼氏持ち。私の身の回りには幸せそうな人しかいないのか、、。誰も憎んではいないが、たまに寂しくなってしまう。



「羊たちもおはよう~」


アマンダは羊にも挨拶をしながらこちらに近づいてきた。


「どうしたの?羊を見に来たわけじゃないでしょう?」


彼女に問いかける途中、小屋の入り口にもう一つ人影があることに気づいた。


アマンダの彼氏だろうか?彼らはいつも一緒にいるから、そう思った。



「ショーンの彼女が羊を見たいって言いだすから、遊びに来たの」


そう言われて、心臓が一度大きく跳ねた。


ショーンはアマンダの兄だ。身長は高く、眼鏡をかけている優しそうな男。


家族にも、もちろんアマンダにも、私の心のうちは話していない。



「おはようノラ、彼女と来ようと思ったんだけど、急用で来られなくなってさ」


そうこの人には彼女がいる。とてもいい人で近々結婚するだろうと噂されている。


私が誰にも言い出せない理由の一つだ。



「それでわざわざ二人できたの?」

ショーンの彼女が来ない時点でなぜ予定を変更しなかったのだろう?


胸の痛みを無視しながら問いかけた。



「そうそう!ノラに報告したいことがあるの!」


こっちが本題だった!とアマンダが興奮してぴょんぴょん飛び跳ねながら私の手を握った。


「最近魔獣たちの活動が活発でしょ?それで、町の近くに騎士団がたまたま来てるみたいなの!その人達に魔獣退治を頼んでみたらどうかなって思って!」


一息で言い切ったアマンダの話を飲み込むまでしばらく時間がかかった。



最近町と森とが面しているところから、魔獣達が頻繁に町に降りてきていた。父を悩ませている要因でもある。


人間に害をなすことは稀だが、家畜を襲うことはしょっちゅうだ。


ただでさえギリギリの生活をしているのに家畜を襲われてしまっては生きていくのに支障が出てしまう。


父も騎士団に頼んで魔獣を退治することを考えはしたが、その人数を泊めて食事を提供するだけの資金がない。


このまま行くと今回の冬をギリギリ越せるかどうかという状況だ。



ぼーっとしていた思考を目の前のアマンダに戻す。


「アミー、あなたも分かってると思うけど、うちには騎士団を泊まらせてあげるほどの資金も食料もないのよ」


そう伝えても彼女の瞳の輝きは消えなかった。



「それがね、ノラ!その騎士団がなんと竜騎士団なのよ!」



「、、、うそ」


それしか言葉が出てこなかった。


竜騎士が何でこんな辺鄙な場所に?相当な理由がないと国の中心部から出てこないはずだ。



「ここから遠い町で、かなりやっかいな魔獣が出たみたいでね、帰り道の隣町で一日だけ休憩しているらしい」


ショーンがそう言うとアマンダが続きのセリフを引き継いだ。


「それでね、隣町なんだし、ついでにパパっとやっつけてもらえないかと思って!」



私もこれだけ陽気だったらどれだけ良いか、、つい現実逃避をしてしまった。


「分かった。父に話してみる。情報をありがとうアミー、ショーン」


そう伝えると二人は少し世間話をして家に帰っていった。



小屋から外に出ると、痛いほど冷たい風が頬を伝っていった。


空を見ると大きな分厚い雨雲が見えた。


竜騎士団が条件を飲んでくれればこの町の人たちも安心するだろう。


しかし何故か胸の中にも重い雲が垂れ込めているようだ。


嫌な予感がする。




読んでいただき有難うございました。

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