緊急事態
ご感想頂けると大変喜びます。
「な、なんてことを‥‥あ、あれほど私がなんとかするから手を出してはいけないと言ったはずですよ!スインタクス!!」
武力蜂起を知ったクラッチは茫然自失とした様子で頭を抱え込んでいる。
そこへさらにノック音とともに来客がやってくる。
小さなシルエットからしてクロエである。
「スインタクスさん!!大変です!!鉱山にいる奴隷の人たちが貴族様の軍隊のことを知って集まっています!今にもマルセールに雪崩れ込もうとしてるようなんです!!!」
あのおっちょこちょいのクロエが噛まずに言っていることからもいかに重大な事態が起こっているかがわかる。
「な、なんだって!!!クロエほんとでこごわすか!!!」
言うが先か走り出すのが先か、クロエの話を聞いたスインタクスが走り出していく。そのスインタクスに弥太郎が声を張り上げる。
「スインタクスさん!!3日でいい!なんとか3日暴走を抑えてくれ!」
予想外の声がけにスインタクスが思わず振り向く。
「3日でなんとかなるでごわすか?わかり申した!なんとか抑えてみます!」
そう言うとスインタクスはまた走り出していった。
その後弥太郎とクラッチ、クロエは部屋でしばらく沈黙のままそれぞれ考えを巡らせるように俯いていた。
そこに、アウレリアがやってくる。
「ど、どうされたんですか?皆さん!!弥太郎さん?」
何かがあったことは分かるが何があったか分からないでいるアウレリアが弥太郎に説明を求めている。
それに対して弥太郎は自分自身にも言い聞かせ、事態を再認識するように一言一言丁寧に現状をアウレリアに報告していく。
「そ、それってここで戦争が起こるってことですか?」
話の全容を聞いたアウレリアから弥太郎達が思ってはいても言葉にしていなかった素直な感想を述べる。
「そうさせないためにこれからクラッチさんたちとなんとかしようと思ってる!アウレリアも協力してくれるか?」
「もちろんです!!!私にできるとこがあればなんでも言ってください!」
「し、しかし弥太郎さん何か手立てはあるんでしょうか?先ほど3日耐えてくれとスインタクスには仰りましたが‥‥」
クラッチは心配そうに、また少しの希望を持ったような目で弥太郎を見ている。
「3万人もの軍隊の暴発をそう長く止めておけるとは思いません!おそらく3日が限界でしょう。それまでに貴族たちも軍隊を組織して戦争になります。クラッチさん!あなたがこの戦争を止めなきゃならないんだ!」
「わ、私にそんなことができますでしょうか‥‥。」
急変した事態に自信を失ったのか、クラッチがうなだれながら呟く。
よろしくお願い申し上げます。




