善は急げ
よろしくお願いします!
「よし、善は急げだ。やると決めたらやる。」
「もうですか?で、でもなにをすれば?」
「「いつかは誰かがやらねばならない事がある。 だからうちがやる!」これは俺の好きな言葉なんだ。さぁこれから夜だがまずはアウレリアは家に帰ってりんごの買取の話をしてきてくれ。おれは馬車調達の話をつかにいく。」
「いい言葉ですね。わかりました。すぐに家と周りのりんご農家をまわってみます!!」
「すまんが、博労の場所を教えてくれ!まだ全然場所が分からんないんだよ。」
申し訳なさそうに頼む弥太郎にアウレリアは折角のやる気を反られ呆れ顔になりつつも場所を求人の張り紙の裏に書き込み弥太郎に渡し走ってでていくのであった。
「ドンドン!ドンドン!…すいませーん!誰かいませんか?すいませーん!馬と台車が欲しいんですが!」
アウレリアに別れかけに博労の場所を聞いた弥太郎は行きがけに見つけた、たい焼きの様なサメの形をした甘いお菓子を手に博労の家を訪ねていた。
「誰だこんな時間に!」
壁の向こうから大きな怒号が聞こえ、ガラッと大きな音を立てて扉が開く。
「すいませーん!馬と台車を売って欲しいんですが?」
「はぁ?兄ちゃんいま馬と台車の価格知ってんのか?平時の倍だぞ?それでも買えんのか?」
やはり博労の男も見慣れない弥太郎のスーツ姿をみて不審に思ったのか少々語気を強め威嚇する様に言った。
「大丈夫です。話は聞いてますから。それでは、馬車の形で10台ください。いつ頃ご用意頂けますか?」
馬鹿にされているのには気付きながらも商談相手を見くびらないとこの大切さを元の世界で学んでいた営業マンである弥太郎は丁寧な接し方を続けていく。
「じゅ10台だとぉ~~!!うちは現金だけだぜ!本当に大丈夫かお兄ちゃん!!」
10台もの一括購入は珍しいのだろう。博労の男は悲鳴にも似た声をあげ、さらにはさっきまで兄ちゃんだったところをお兄ちゃんに変更した。
「1000万ドラですよね?大丈夫ですよ。それで、りんごがあと1ヶ月で出来るのでその1週間前、だからいまから2週間後には用意しておいてください。ではこれは手付金ということで!」
あっさりと手付金として300万ドラを出す弥太郎に驚きながらも博労の男は誓約書を書き弥太郎に渡した。
「お兄さん、冗談じゃないよな?な?よし!わかった。男、クラッススの名にかけて最高の馬車を用意してやるからな!!」
博労の男、クラッススは弥太郎の手を取りながら誓い、そして小さな声で…
「やった!!これで娘にあれを買ってやれる!」
とつぶやいてた。
弥太郎は呟く男を他所に誓約書をカバンに入れ、お土産として買っていたサメ焼きを手渡し、また丁寧にお辞儀をして屋敷に帰っていった。
屋敷の前まで帰るともう完全に陽は落ち、午後8時を回っていた。そして、扉の前には大荷物を持ったままこちらを見つめるスレンダー美女アウレリアの姿があった。
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