アウレリア先生
よろしくお願いします!
「おう!アウレリア!遅くなって悪かった。ま、中で話そうか。どうだったそっちは?」
引っ越しですかの様な大荷物を抱えるアウレリアは弥太郎にも手伝ってもらいながら全ての荷物を運び入れ、弥太郎とともに向かい合ってソファーに座った。
「こ、こちらは大丈夫です。皆喜んでおりました。本当にこんな話があっていいのか、と。1度川崎さんにも来てみていただきたいとのことでした。」
今度は弥太郎は何も言っていないし何もしていないのにまた頬を赤らめながらアウレリアは報告した。
「そうか!それは良かった。もちろん必ず顔を出すよ。生産者の顔を覚えておかなきゃ仕事はできないさ。…じゃぁあとは、首都テールに行くか!アウレリアも付いて来てくれるか?道とか色々わからなくてな~」
「テールに行くのですか?わたしも?それは構いませんが、何しにいくんですか?」
「そりゃもちろん販売所の確保さ。いいりんごを安く売るっていっても売り場を確保しなきゃだろ?だから路面店の人たちに話をつけにいくのさ。りんごは予定通り1ヶ月後に収穫できそうか?」
まだ頬を赤らめて、もぞもぞしているアウレリア。
「は、はい。昨年と同じく1ヶ月後には出荷を始める予定だそうです。」
「わかった。で、さっきからずっと気になってんだが聞いていい?夕方はあんなに毅然としてたのになんで今はそんなもぞもぞしてるの?」
「あと、あの荷物ってなに?」
流石にアウレリアの異変に気がついた弥太郎は意を決して聞いてみることにした。
「そ、そ、そ、それはですね。あ、あ、あの、さっき家に話をしに帰った時に、あの、あの、は、母にですね、そんなにいい人がいるなら、一緒になりなさいってい、言われたんですぅーー!」
顔を真っ赤にして語るアウレリア。
「?????????」
「ま、ま、まてよ。ちょ、ちょ、ちょっと待ってアウレリアさん!僕たちまだ会ったばっかりじゃないですか??お、俺だって嬉しいけども、けども!ちょっと早いんじゃない?」
言葉に詰まりまくる川崎弥太郎。
「わたしも流石にありえないと思ったので、そこはお母さんにちゃんと言っておきましたから安心してください。」
顔はなおも真っ赤ではあるが、なんとか平静を保った様に振る舞うアウレリアだが、一方の弥太郎は全く取り乱したままであった。
「ぼ、ぼくも26歳ですから、そ、そういう経験もありますが、結婚は流石にね。そ、流石にないから。と、と、ところでそのお荷物は?」
取り乱し方と突然言葉に敬語が入り混じっているところを見ると本当に経験があるのかは疑わしいがそれはまたのお話。
「こ、ここの募集の張り紙に、住まいありってあったので……それで、うち、妹もいて家も狭いですし…お願いします。」
「い、いいですよ。もともと1人じゃ寂しかったんでそういうとこにしてありますし、と、とりあえず2人とも落ち着きましょうか。」
「わ、わたしには敬語じゃなくていいですよ。さて、ご、ご飯作りますね。一緒に食事して落ち着きましょ?」
「ふぅ。美味しいなこのスープ。こっち来て初めてのちゃんとした飯だけど最高だよ。あとこのめっちゃうまい肉はなんの肉なんだ?」
「ありがとうございます。家では食事は私の仕事なんですよ。だから慣れてるんです。これは、マントガニのスープとスカイトンの肉です。」
「へぇー!すげー美味しいなぁ!これから毎日食えると思うと最高だよ。」
「えっ!いまなんて?」
「いやいや、だってここに住むんだろ。ありがたいねー」
なんとなくぎこちなくではあるが2人とも落ち着きを取り戻し(またアウレリアは赤くなっていたが…)食事を終えた。
「ホントうまかったよ!ありがとう。」
「いえいえ、これも仕事ですので。で、明日からはどうされますか?」
「あぁ。今日はとりあえず寝て、明日から一緒にテールに行ってもらう。そこで手分けして露店を回ろうと思ってる。」
「わかりました。やりましょう!よろしくお願いします。」
立ち上がって深々と頭を下げた。それを椅子から見つめる弥太郎。しかし、弥太郎の目当ての上着からの胸チラは拝めなかった。
「おはよう。アウレリア。もうすぐ出発だけど準備はできたか?」
弥太郎がゆっくり1階に降りていくと下でアウレリアの影が見え声をかける。するとアウレリアはすでに朝食を作り終え、食卓で待っていた。
「おはようございます。弥太郎さん。こちらは準備できてますよ。わたし、久しぶりのテールなので楽しみですが、なにより多くの店にりんごを置いてもらえる様頑張りましょう。」
「お、おう。そんなに気合入れてるともたないぞぉ!まず、行くのに2日もかかるんだからさ。行きがけに色々教えてくれよ!この国の歴史とか。
「え、えぇ。いいですけど、本当に何も知られないんですか?」
朝食を2人で食べながらアウレリアは不思議そうに覗き込む。
「あ、あぁ。本当に知らないんだ。この王国や魔族の国より随分遠いとこらから来たんだよ。」
「そうなんですか。いいですよ。でも、そんなに面白くないですけど。何の為に知りたいんですか?」
「歴史ってのは大切だよ。この民族が何を大切にして、何を守ってきたのか分かるでしょ?こんな言葉を知ってる?歴史とは過去と現在の対話である。って言った人がいるんだよ。いい言葉でしょ?カーって人の言葉なんだよ。」
「そうですね。いい言葉ですね。私たちにぴったりです。」
「うん?どういうことだい?……やばいっ!もうこんな時間だ。さぁ急いで馬車乗り場までいこう。」
「はいっ!」
こうして2人は、2日かけて首都テールまで向かっていった。
その間、みっちりとアウレリアによる歴史の授業が行われ、最終日にはテストまで行われた。
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