十一話
「エマ、転校生の事気になるの?」
友人がそんなことを言い出したのは昼休みだった。
「…私、もしかして見てた?」
エマは不安になった。自分の態度が分かりやすかったかと思ったのだ。
「ううん、普通だったけど…。エマは転校生のことちょっと気にしてたでしょ?」
「どうする?グループに入れる?今なら大丈夫そうだし…」
「それは…うーん。」
キャロル達を断った様子を思い出して、本人にとって迷惑じゃないかと考えてしまった。でも。
「…ご飯を一緒に食べなくてもいいかなあ?」
「別にいいよ」
「うちのグループゆるいしね」
「…じゃあ誘ってみよっか、ありがとう二人とも」
「いいのよ」
次の時間は移動教室だから、そのときに声をかけよう、という話になった。
「アンジェラさん、次どこに行くか分かる?一緒に行かない?」
そうアンジェラに言うと、びっくりして目を見開いていた。
「…ありがとう」
その時のアンジェラは震えていて、もしかしたらあの言葉は寂しさの裏返しなのかもしれない。と思った。
◇◇◇◇◇◇
アンジェラは基本なんでもできる。勉強も運動も。この国では女子は体育の時に比較的動きやすいロングスカート(足を見せてはいけないので)に着替える。今日の授業の内容は球を板のついた棒で打ち合う競技だ。といっても本気ではなく、女子供のお遊び程度の内容だ。だけどその競技をメインでやるクラブに所属する子は授業でも本気だったりする。そんな子達相手とアンジェラは授業内での試合で渡り合っていた。
…無視されている時もその調子だったのでキャロルの反感を買ったのかもしれないが。
ともかく、アンジェラは身体能力が高いので運動部系の子達から熱烈な勧誘を受けていた。
「アンジェラ、うちの部活に入る気はない?あなたとなら全国大会に行けるわ!」
「ごめんなさい、忙しくて」
だけどどの勧誘も断ってしまっていた。
「…なんで断るの?もったいない」
アンジェラはちらりとこちらに視線だけよこして言う。
「…やらないといけないことがあるから」
だけど、何をやらないといけないのかは教えてくれなかった。そんなある日のこと。
エマはあれを見た。




