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第26話 新ポーション師はお茶さえ入れれない【side:ヘルダー】


「おいおいおい、なんだか今日はみんな元気がないじゃないか!」


 ガイアック医院長が、従業員たちに呼びかける。


 正直、勘弁してくれよ、という感じである。


 これだけ働かされてたら、元気も無くなるっていうもんだ。


 まさかここまで休みなしとは思わなかった……。


 優秀な人たちが働くギルドだとは思っていたけど、スパルタにもほどがある。


 しかもガイアック医院長は容赦なくみんなを罵倒してくるし……。


「おい、ポーション師。疲れに効くようなポーションはないのか!?」


 来たよ、俺に。


 本当、新人いびりなのかしらないが、いい加減やめてほしい。


「そんなの用意できませんよ……」


「ふん、無能だな」


「ていうかみなさん働き過ぎでは? 一日にそんなに魔力使ったら、そりゃあ疲労しますよ!」


「なに言ってんだ。いつもはこれでやってるんだよ」


「そんな無茶な……」


 俺もさすがに疲れたな。


 やっぱり一人でポーション部を支えるのは無理がある。


 お茶でも飲もうか……。


 って、アレ?


 このお茶……。


「あの、これって……?」


「ん? ああ、それは前の無能が置いて行ったやつだよ。そいつにできることといえばそのお茶をだすくらいだったがな。ガッハッハ」


「これ、かなり上等な魔力増強効果のあるお茶ですよ!?」


「なに!? そんなわけあるか。あいつがそのへんにある素材で適当につくってただけだぞ?」


「だからみなさん魔力の使い過ぎにならなかったんですよ!」


「おい、お前もそれを作れるんだろうな?」


「え!? そんなの僕には無理ですよぅ……」


「なに? お前は平民以下の無能なのかよ?」


「う……」


 そんなことを言われても、俺には無理だ。


 こんな高度な効果を持ったお茶を入れるなんて……。


 すごく慎重な作業が必要になる。


 前任者の平民……。


 そのポーション師はいったいどれほどの腕前だったのだろうか。


 やっていたことが凄すぎて、もはや想像がつかない……!





「くそう……疲れた……」


 ガイアック医院長がそんな言葉をこぼしながら、本日最後の手術を終えた。


 口は悪いが、なんだかんだすごい人なんだろうなぁ……。


「もう無理だ……」


 ――バタッ!


「ガイアックさん!?」


 突然、ガイアック医院長が倒れた。


 きっと魔力切れを起こしたのだろう……。


 無理もない。


 あれだけ働いたのだから。


 まあ少し無謀ともいえるけど。


「とりあえずガイアック医院長をベッドに運びましょう!」


 俺たちは手分けして、ガイアック医院長を看病した。





「おい、ポーション師!」


 ガイアック医院長の怒り声だ。


 あんな人でも目覚めればやはりホッとする。


「よかった、目覚められたんですね!?」


 ――ドン!


「……!?」


 ガイアック医院長は壁を思いっきり叩いて威嚇(いかく)した。


 その短絡的な行動は、まるでサルかゴリラみたいだ。


 おっと、そんなこと思っちゃいけないな。


 一応はこれでも上司だ。


「なんです!?」


「お前のせいだ……!」


「はい?」


「お前が疲労回復のお茶を入れられなかったせいだぞ!」


「そんな! 八つ当たりですよ!」


「うるせぇ!」


 ――ドン!


 また、今度は机をたたく。


「明日までに代わりの方法を考えておけ……。俺が倒れないようにな……!」


「は、はい」


 そんなに忙しいのなら、人を雇えばいいのに……。


 と思うのだが、口には出さない。


 きっとこの人はそんなこと許さないだろう。


 金の亡者、守銭奴だろうしな。


 まったく、こまった上司だよ……。


 前任者はこういうとき、どうやって対処していたのだろうか?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >第26話 新ポーション師はお茶さえ入れれない【side:ヘルダー】 正確には【入れられない】が正しいんじゃないかな?
[一言] そろそろ、ヤバい時が近づいて来てると思うんだ。 というか、ガイアック(笑)も、魔力が切れるまで働いているんだな。 このままじゃ、完璧に潰れるんじゃないかな? 今まではヒナタが居たから、…
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