うぐいすの名前
レイが呼びに来て、六人まとめての授業が終わり、俺達は解放された。
レストランのあたりをうろうろしていた俺とコウヨウは、城の方から聞こえる悲鳴に驚く。
「なんだ?」
「行ってみよう」
二人で回廊を走って城への入り口に向かう。
「なんなんだ? 様子を見ても構わないか?」
俺が入り口を警護していた鎧の騎士らに尋ねると、中の二体が俺達の傍にやってきた。
警護でついてきてくれるらしい。
そのまま、悲鳴の聞こえたエントランスに向かう。
まさか、まさかレンに何かあったのか!?
エントランスの一階に到着すると、白い法衣を身に纏った男がユイにステッキで殴られていた。
え、何あれ!?
「びっくりだろ?」
不意に声がし、振り向くと、帽子の入っているらしきラッピングされたBOXを手にしたヒスイさんが立っていた。
「おまえらだろ!! 棺おけをおかしな状態でわざと送りつけたのは!! 嫌がらせか!!」
「知らん!! 私の管轄下ではないのだ!!」
「とぼけるな!!」
ユイと白い法衣の男は言い争い、法衣の男には再び、ステッキが振り下ろされる。
「ぎゃー!!」
「誰あれ?」
「天界のリュウセン担当外交官。分かりやすく言うと、天使の偉いさん」
俺の問いにヒスイさんが涼しげな顔で解説してくれる。
「え? そんなのを殴って大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。ドMだから。僕の上客、冥界のリュウセン担当外交官の死神もドMでセクハラすると喜んでくれる変態さんだよ。おじさんだけど」
わー。そっちですか……。
コウヨウが軽蔑の眼差しをヒスイさんに向けている。
「ところで、レンは?」
「プールの薬品棚をひっくり返したりして、暴れて暴れて、あれはもう、相当治療しないとダメだね。レイ先生が治療担当になったけど、僕なら、記憶喪失になるぐらい薬物投与するね」
「「ええー!?」」
「ところで、せいとかいちょーってなんだろうねー。美味しいのかな?」
「セクハラすると喜ぶなんて、酷いですよー!」
不意に背後から、灰色のコートを着た男が姿を現した。
これが冥界の外交官とやらだろう。
中年らしき男だが、整った顔立ちに中肉で背が高くわりと小奇麗な男だった。
「げっ!! あなた、いらしてたんですか!?」
「ところで、これは何の騒ぎですか?」
「……それより、町の美味しいお店を案内しますよー!! 新しくオープンしたんです!!」
「誤魔化さないでください!」
「さっ、君たちはさっさと帰って!!」
俺達は邪魔者扱いされて、追い返された。
よけいな事を喋られたくないんだろう。
俺達は西館の五階に戻った。
男子の各自の寝室があるフロアだ。
「生徒会長ってなんだろう。まさか、うぐいすの生徒会長か!?」
コウヨウの言葉に、俺は必死に最後の一人の名前を思い出す。
「戸田……」
「え? それが例の三人組の一人の名前なのか!?」
「確かそうだった」
俺達はユズハの部屋に向かった。
何かの間違いであってくれ!!
510号室をノックする。
「ユズハ?」
「ああ。何かレンの情報か?」
「戸田って知ってるか?」
「うちの生徒会長か?」
その瞬間、俺とコウヨウは凍りついた。




