芸術コレクション5
っと、そこで吉野先輩が持っていた俺のスマホの呼び出し音がなった。
「メッセージが来たみたいだ」
「何やってんだよ、電源切っとけよ!」
内海先輩は声を荒げる。
その隙に、俺は内海先輩を突き飛ばして、逃げだした。
「あ、待て!」
俺は廃工場の中を南に走る。
隣の部屋のドアを開いて、内側からカギを施錠し、次の部屋のドアを探す。
しまった!!
この部屋、行き止まりみたいで、外に出られそうな場所も高い位置にある窓ぐらいだ!!
「二人がかりで体当たりして壊すぞ!」
まずい。
俺はきょろきょろと辺りを見回して、暖房器具の後ろに隠れた。
ドンドンと激しい音が何度かし、きーっとドアの開く音がする。
俺の隠れた暖房器具は、ドアからすぐの場所だ。
二人が奥を探すのと入れ違いに、部屋から脱出できれば……。
「なあ、内海。手前から探さないか? 戸田は原田を捕まえているから、部屋から逃げられたら取り逃がすぞ」
「そうだな」
まずい!!
「さーて。鬼さんはここだよー。どこに隠れたのかなー」
俺は暖房器具の真後ろで三角座りをしたまま、震えていた。
「ここかなー」
冷蔵庫の方から声がする。
「あれ? いないなー。暖房のところかなー」
……。
「あー。いたじゃん! 震えてる、可愛いなー」
内海先輩が俺を発見し、迫ってくる。
「さー。じゃあ、お兄さんたちと遊ぼうなー。でも鬼ごっこはもう飽きたよ?」
俺は工場の床にひっくり返されて押さえつけられ、口をふさがれて、手足を押さえられ、じたばたと暴れた。




