その1
「あのさ、綾子。ちょっと時間良い?」
昼休み、突然意中の男子生徒に呼び出されてやってきたのは、まさかの人気の少ない校舎裏。
これは!!! これはもしかするともしかしなくても――
(告白か!?)
こんな夢みたいなことあって良いのだろうか。
好きな男の子に告白されるっていうことは、そう、これはまさかのミラクル両想い!
「ま、待って!! 私、まだ心の準備が」
いくら結果が分かっているからといって、私にだって心の準備というものが。深呼吸くらいさせてもらいたい。吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って……
「あのさ、絢也が部活やめるっつってるんだけど」
「はい……?」
「ん? だから、1年の絢也が部活やめるって」
待て待て。そういうことではなくて、そんなことはどうだっていい。あ、いや良くはないけども。
今何て言ったの、この男は。
『俺、綾子のことが好きなんだ。付き合ってくれないか』
そうそうこれこれ!! 校舎裏のイベントといったら……え? 違うの?? 乙女心をくすぐる告白シーンじゃないっての!?
「……そ、そう。絢也が。でもなんでそんなこと京介が知ってんの?」
私はかろうじて残った平常心を保つべく、下腹に力を入れて声を絞り出した。
「こういうことは、まず部長に報告しておくべきかと思って」
「うん。なるほど。じゃあ、なんでこんなとこで?」
なんでこんな告白のベストスポットで!?
「だって、内密な話だし」
何かいろいろ間違ってないか!?
次話へ続きます。全4話の短め連載です。
ラブコメ目指して書いたものの……いかがだったでしょうか?