第2話「疾きこと風のごとく」
貴方は誰よりも疾く動きたい、そう願ったことはないだろうか。
自分だけが素早く動くことができる世界。
今日はその世界を実現する「能力」を持った二人の話である。
山口沙耶 17歳 現役の女子高生。成績は中の中。容姿は平凡。サイズは上から…
「死にたい?」
プ、プライバシーに関わることはもらせません。
「よろしい。」
さて、彼女にはある「能力」があった。それは『思考加速』である。
他の人にとっては1秒の時間が、彼女にとっては「100秒」に当たる。
つまり、100倍の思考速度を持っているのだ。
他人の100倍考えることができるのだから、成績は優秀…。あれ?
「悪かったわね。」
ちょっとインタビューしてみますね。
-100倍考えられるのになぜ、成績が平凡なんですか?-
「言いにくいことをはっきり聞くわね。」
-すいません。-
「簡単よ。頭が良いわけじゃないから。」
-でも100倍のスピードで考えられるんじゃ?-
「わかりやすく言いましょうか。」
-ぜひ、お願いします。-
「漢字テストがあるでしょ。」
-はい。-
「いくら100倍で考えても、憶えてない字は書けないわよね。」
-確かに。つまり漢字が憶えられない馬鹿ではだめだと(うんうん)-
「…計算問題があるわよね。」
-ええ、まあ。-
「公式を憶えてなきゃ解けないでしょ。」
-つまり、いくら速く考えられても、公式が憶えられないくらい出来が悪いと?-
「…意味がない、ってことね。」
-なるほど、ということは絶壁で頭が悪い沙耶さんには宝の持ち腐れな能力だと。-
「…。」
-…なぜ、そこで握り拳を固めて?-
「人のことを絶壁とか、出来が悪いとか、頭が悪いとか言う奴を殴りたくならない?」
-そりゃ、なりますよ。…はっ!-
「わかったら、私が何をするかも予想できるわね。」
-は、話せばわかっ…ゲフッ!-
※自主規制中※
「インタビューしてきた馬鹿、もとい人は急用でどこか逝きました。それじゃね。」
山口沙耶はこの場から立ち去っていった。
後にはぼろくず(推定、元作者)が一つ。
復活!この程度で作者を滅ぼすことはできん。
それでは次の能力者の所に行ってみましょう。
今度は『加速』の能力者。実際に肉体が100倍で動きます。
今度こそ大丈夫、多分、大丈夫、おそらく大丈夫、大丈夫だといいなぁ…。
近藤 勇二、32歳。現役の自衛隊員である。
ちなみに名前は幕末好きの父親がつけた。
そして彼は『加速』の能力を使い、日夜国防のために働いているのである。
「もしもし。」
彼の日常は、きっと「能力」を使いこなし、その姿はまるでスーパーマン!
「ちょっと。」
それでは彼が訓練している現場まで、行ってみましょう。
「あー、不審者発見。直ちに拘束します。」
えっ、なに。なぜ両側から腕を捕まれているんでしょう。
はっ、まさか国家機密に触れてしまったのか!これぞ内閣情報局のエージェント!?
「自衛隊宿舎の前で、騒いでいた不審者を拘束。直ちに世田谷署に連行します。」
わ、私は何も悪くなーい!
あ、あれから何とか内閣情報局(?)の手を逃れ、私は無事、近藤勇二氏と接触することに成功した!
「何ですか。せっかくの休暇に。」
あ、すいません。ちょっとお話を伺いたくて。
「ちょっとだけですよ。」
もちろん。
では、インタビューしてみたいと思います
-お時間をお取りして申し訳ありません。-
「そう思うんなら早くしてください。」
-ではさっそく。『加速』の能力でどんな活躍をされてるんですか?-
「何も。」
-えっ?-
「これでいいですね。それでは…」
-ちょ、ちょっと待ってください。なぜ何もしてないんですか?-
「できないから。」
-だって『加速』すれば人の何十倍も早く動けるんでしょ?-
「正確には98倍。」
-微妙な数字ですね。-
「ほっといてください。これでいいですね。」
-だから、ちょっと待って。そんなに速いのになぜ使わないんですか?-
「だから、使えないんです。」
-まさか国家機密とか?-
「まさか。」
-じゃあ?-
「ぼくは98倍にしかなれないんです。」
-それが何か問題が?-
「貴方(馬鹿)にもわかるように説明しますね。」
-ありがとうございます、って今、けなしませんでした?-
「気のせいです。」
-では説明よろしく。-
「ぼくは100mを13秒で走ります。」
-へぇ、それで?-
「加速すると100mを13÷98で約0.13秒で走れます。」
-すごいじゃないですか!-
「1秒では約770m。つまり秒速770mですね。」
-それなら無敵でしょう。-
「マッハで約2。こんなスピード出したら燃え尽きます。」
-は?-
「燃え尽きます。おまけにソニックブームで周りは壊滅します。」
-…えっと。-
「能力使っても肉体の強化はされないんですよ。」
-肉体を鍛えれば…-
「無理に決まってるじゃないですか。人間はマッハで動くことには耐えられません。」
-そ、そんな。…あれ?-
「どうしました?」
-能力使えないのになぜ98倍だなんてわかったんですか?-
「能力が発動したのは3歳の時です。当時は50m30秒でした。」
-ということは…-
「100mなら1分。これの98倍ですから秒速160mくらいですか。」
-…それで、どうなりました。-
「転びました。」
-あちゃー。-
「もちろん、全身複雑骨折です。自分でもよく生きていたと思いますよ。」
-本当ですねー。-
「その時に計算できたんです。それから能力は使ってません。」
-そうですか…。-
「もういいですね。それじゃ。」
-ありがとうございました。-(肩を落として立ち去る作者)
「時々いるんだよね、ああいう人…。あっいけない。デートに遅れる!」
(慌てて走り去る近藤勇二氏。もちろん慌てても加速はしない。ちなみにお相手の名前は土方歳子さんだとか)




