↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カーテン・コール/冒険者の宿屋アーポット亭  作者: 春夏かなた
序幕 出会いは森の中

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/27

シーン1:森の中の出会い

ロールブレア王国の王都、オーディビルへと続くアーカストの森。



木々の隙間から陽光が差し込む小道に、リュートの音色が響いていた。



ミアラ:「それっ!」



赤毛の三つ編みを揺らし、小人族の少女が弦を強くかき鳴らす。



リュートから放たれた音の波が、飛びかかってきた魔物を正面から吹き飛ばした。



魔物は地面を転がり、道端の木にぶつかって動かなくなる。



ミアラ:「ふう……」



ミアラ・リードは額の汗を拭い、リュートを背負い直した。



小さな身体には、パンパンに膨れ上がった大きなリュックも背負われている。



後ろから見れば、まるでリュックが一人で歩いているようだった。



レックス:「君、強いんだね」



突然、背後から声をかけられ、ミアラは振り返った。



ミアラ:「えっ?」



振り返ると、そこには一人の青年が立っていた。



大柄な体格をしているが、その顔立ちは穏やかで、どこか人懐こい笑みを浮かべている。



ミアラ:「こんにちは」



ミアラが軽く頭を下げる。



青年もにっこりと笑い、同じように頭を下げた。



レックス:「こんにちは」



ミアラ:「さっきの、見てたんだ」



レックス:「ああ。ちょうど後ろからね」



レックスは地面に倒れている魔物と、ミアラの持つリュートを交互に見た。



レックス:「でも、楽器を使って魔物を倒す冒険者なんて、初めて見たよ」



ミアラ:「そりゃ、そうだよ」



ミアラは得意げに胸を張る。



ミアラ:「そんなことができる吟遊詩人は、わたしくらいだからね」



レックス:「へえ、そうなんだ」



感心しているのか、呆れているのか。



レックスは額にうっすら汗を浮かべながら、苦笑した。



ミアラ:「その顔、信じてないでしょ」



レックス:「いや、信じてるよ。実際に見たからね」



ミアラ:「なら、よし」



ミアラは満足そうに頷いた。



レックス:「ところで、俺はオーディビルへ行くところなんだけど……君も同じ方向なら、一緒にどうだい?」



ミアラ:「いいよ。わたしもオーディビルへ行くところだから」



迷う様子もなく、ミアラは答えた。



そして右手を差し出す。



ミアラ:「わたしはミアラ・リード。あなたは?」



レックス:「レックス・アーポットだ。よろしく、ミアラさん」



レックスは差し出された手を握った。



ミアラ:「よろしく、レックス君」



レックス:「……へえ」



手を離したあとも、レックスはどこか不思議そうにミアラを見ていた。



ミアラ:「ん? 何か変だった?」



レックス:「いや。君は、ほかの人とはずいぶん違うんだなと思ってさ」



ミアラ:「そう? 普通だと思うけど」



ミアラはきょとんと首を傾げる。



レックス:「俺の両親は、結構有名な冒険者なんだ」



ミアラ:「知ってるよ。アーポット夫妻でしょ」



レックス:「なんだ。知ってたのか」



レックスは少し拍子抜けしたように眉を下げる。



レックス:「それにしては、ずいぶん反応が薄いね」



ミアラ:「だって、わたし、そういうのに興味ないんだよ」



ミアラはあっさりと答え、肩をすくめた。



レックス:「吟遊詩人がそれでいいのか?」



ミアラ:「いいんだよ」



ミアラはにっこりと笑う。



ミアラ:「興味がなくても、吟じればお金になるでしょ」



レックス:「そういうもんかね」



そのときだった。



森の向こうから、馬の甲高い鳴き声が響いてきた。



二人は同時に顔を上げる。



続いて、何かが倒れるような鈍い音と、人々の叫び声がかすかに聞こえてきた。



レックス:「向こうの街道からだ」



レックスの表情から笑みが消える。



レックス:「何かあったな」



ミアラ:「行ってみよう」



レックス:「ああ」



二人は顔を見合わせて頷くと、声の聞こえた方角へ駆け出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。