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愛の歌  作者: Dust
10章
250/250

246話 月が輝くのは

距離は再び取られた。

本来であれば、それは愛花の望む展開ではある。

だが、今は怜奈が普段見ない戦い方をしている。

(さっきの斬撃だけなら距離を取っていれば躱すのは可能だけど・・・それは向こうも承知のはず。わざわざ機動力を最大限活かすための、動きを阻害しない短剣から大きな鎌を取ったということは何かあるはず。)

魔力を展開しながら、愛花は考える。

(考えろ・・・考えろ私・・・舜兄ならこういう時・・・。)

再度放たれた漆黒の斬撃。

「・・・月光反転(アドソレム)!」

避けた斬撃の位置に、怜奈が現れる。

愛花の至近距離、背後を取り―

「纏魔・無限アークエンジェルス・ホルン!」

「・・・っ!?」


膨大な魔力が愛花から放たれ、その背に天使のような羽が生成されていく。

怜奈は慌てて後ろに下がり―纏魔の魔力に巻き込まれ、軽く火傷した左手を擦る。

「・・・それ、友達に使う技?」

「友達に勝つために使う技!」

愛花の取った手段は単純明快。

(一度きりの勝負なら、先に勝ったもん勝ち!何をしてくるかじゃない、先に勝つ!)

かつて、舜から教わった内容。

(・・・それと時間があんまりかからない方がいいんでしょ?)

怜奈もまた、愛花の考えを理解する。


裏で何かが動いており、こちらから対策に動く手段が少ないのであれば、その裏で何かが動く時間を極力減らしたい。

試合時間が少なくなればなるほど都合がいい。

(・・・(次で決める!)。)

2人の考えが以心伝心する。

「・・・我が名はムーンビースト!」

「・・・!わぁ、初めて見たその魔力。」

赤くなった瞳で、怜奈は愛花を見る。

「・・・なんか、セクシーになった?」

「・・・なにそれ、ふふっ。・・・変なの。」

他愛のない話をしながら。

笑い合いながら、最後のやり取りの前の心の準備を。


(・・・ねぇ、愛花。・・・貴女なら、私の全て、受け止めてくれるでしょ?・・・()()姿()()()。)

そして、怜奈は武器も持たずに突っ込んでいく。

愛花の膨大な魔弾が、それを阻止せんと動く。

(・・・例え、貴女に記憶がなくても。・・・例え、貴女が貴女と別人であっても。・・・私たちを受け入れてくれる。)

怜奈は両の手に魔力を込めて、弾いていく。

その指先からは血が流れる。

(・・・だから、(あの人)と私は貴女が好き。・・・ううん、貴女と知り合った全員が貴女を好いた。・・・だって。)

愛花の魔弾と怜奈の手。

それが、同時にお互いの目の前で止まる。

(・・・だって、貴女は太陽なのだから。)


暫く静まり返る。

ようやく、ぽつりぽつりと声が聞こえ始める。

誰も、どっちが勝ったのか分からない。

慌ただしく審判が映像を確認しようとし始める。

「・・・あーあ、負けるつもりはなかったのにな。」

そこに、そう宣言され、誰もが動きを止める。

「・・・強くなったね、愛花。・・・まるで、(あの人)のよう。」

「えへへ、そうかな?確かに舜兄に影響されなかったら勝てなかったかも。」

「・・・恋人に影響されるタイプかぁ、愛花は。」

「・・・・・・。」

愛花は嬉しそうにはしているが、喜びを現そうとはしない。


「・・・どうしたの?」

「ううん、最後、怜奈ちゃんが気を遣って、あれで決着しようと思わなかったら・・・また違ったんだろうなって。」

「・・・・・・負けず嫌いの癖に、フォローしようだなんて生意気だよ。・・・貴女の勝ち、そうでしょ?」

「そうだね、()()()私の勝ち。またやろうね。」

怜奈は渾身の笑顔で、返した。

「ぜっっっったいに嫌!!!」

そして二人で笑いあって、会場を一緒に後にする。

学生時代からの付き合いが、絶対に受け止め合えるという信頼が、確かな友愛を築く―。



「・・・よし!」

控え室で、漣は闘志を燃やす。

愛花と怜奈の激戦を見て燃え上がってるというのが1つ。

そして、もう1つ。

3回戦―次勝てば決勝というタイミングにして。

各2回戦も終わりを告げようとしている。

トーナメントに乗ってる3回戦の第1戦の名前。

漣の相手は―オピス。

リベンジを絶対にしてやると言わんばかりに、漣の目は燦爛と煌めく。



一方その頃。

舜は誰かとの電話を終えて、頭を搔く。

「準備は出来たかい?」

待っていたクーユーが声をかける。

「ああ―向こうが石を盗むつもりなら先に盗み出す。」

「それは・・・どうなんだい?」

「決勝が終わる頃にこっそり返せばいい。で、優勝した人にそのまま渡して、解決だ。」

クーユーは少し悩んだものの―

「まあ、ちゃんと問題になる前に返すなら―ただ、盗むのではなくて保護と言って貰いたいな。」

「なら保護だ。いいな?」

クーユーはニコリと笑って返答とした。

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